ひまわりてんびんへの道

会社は変われど、一貫して企業法務に携わってきました。思いつくまま、気の向くまま、気長に書き続けます。

ブルドックソース買収防衛策に関する抗告に対する東京高裁決定~そして、ひまてんの思い出

2007年07月11日 | 法律一般
ブルドックソースさんのプレスリリース

高裁の決定全文は、まだ裁判所のHPには、アップされていないようなので、
その要旨は、新聞報道に拠りました。

ひまてんは、妥当な判決だと思っています。

取締役会という会社の内部組織だけの決定ではなく、株主総会という会社の意思決定機関で、株主の意思を問うたのが評価された、ということだと理解しています。

しかも、スティールにとって、金銭が交付されているのですから、所有比率は下がるとはいえ、損害は軽微です。

何よりも、スティールをグリーンメーラーと断じていることは、ブルドックソースさんにとって大いに意を強くされているところではないでしょうか?

ところで、この決定の裁判長の名前に、どうも見覚えがあるな、と思い、過去の記録を繰ってみたところ、ありました。

もう10年ぐらい前に、当社が原告となった請負代金請求訴訟の第一審の裁判長の方でした。

この裁判は、ひまてんがこの会社に入って間もないころの裁判で、代理人の先生とともに苦労しながら、一部勝訴一部敗訴の事案でした。

なぜ、この事件が印象に残っているかというと、証人尋問が対質だったからです。

「対質」とは、有斐閣の法律学小事典に拠れば、
訴訟上,同時に数人の証人を在廷させて同一事項について尋問し,あるいは1人の証人の証言を聞かせた上で他の証人にその真偽を確認し,また不一致な部分につき弁明討論させること。証人間で矛盾した供述のいずれを真実と認めるかの判断に必要と思われるとき,裁判長の裁量で行われる〔民訴規118<1>,刑訴規124〕。当事者相互間又は当事者と証人の間で行うこともできる〔民訴規126〕。なお,英米法では証人を被告人に対面させることをいう場合がある。
とあります。

通常は、証人一人に対して、主尋問、反対尋問を行い、そのときには、相手方の同意がないかぎり、反対証人は、在廷しません。
対質は、その場で「A証人は、こう言っているけれど、B証人は、どう思いますか?」と、双方の証人の尋問を一度にやるのが、対質です。

これは、結構きついです。

気も遣うし、準備に相当時間をかけました。

この裁判長の部は、モデル部で、民事訴訟の先例となるようにいろいろな手続を模索していたようです。

ブルドックソースの高裁決定を読んで、その会社法的な意義もさりながら、裁判長の名前で、ちょっと、ひまてんの駆け出し時代の訴訟対応を思い出してしまいました。



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