東大阪親睦会

個人的な観点からの意見、情報、感想、思い等の記述です。

百匹目のサル

2009-06-16 10:39:59 | Weblog
 「百匹目のサル」と呼ばれる現象が広く伝えられている。これは、宮崎県のある島にいた1匹のサルが、イモを食べる際にたまたま海水で洗い食べたところ、適度の塩味がおいしいことに気づいた。その行動を周囲のサルがたちも真似をするようになり、その数が徐々に増え、あるレベル(100匹目)に達したとき、驚くべきことにその行動は海を渡って、他の地域のサルたちも大規模的に伝播したとの現象。
概して言えば、ある文化を持つ個体の数が一定数(ここでは100匹)を超えると、その文化は繋がりのない遠くの地でも自然発生するというもの。 

 この話が、新製品やファッションの普及、イデオロギーや思想、宗教、習慣などを定着させる方法等々への教訓として引用されることが多い。

 しかしながら、このサルの逸話は全くの創造の産物で、実際に観察してみると、芋を海水で洗って食べる事を覚えた個体が出現し、長期間おこなっていたために、群れでそれを真似するものが数頭現れたという程度とのこと。

 同じような話が、「水に言葉をかけると、結晶の形がその言葉に影響される」との内容が写真と並行して語られている「水からの伝言」(江本勝 著)というベスセラーとなった書物。人の思いや心情がものにも影響を与えるとのことだが、こちらも第三者が客観的に実験をしたものの、再現することはなかった。ついに、著者も「この本は「ファンタジー」もしくは「ポエム」であり、科学ではない」と語ったとか。

 これら2つのエピソードは、「こうあってほしい」との潜在的な思いに沿った話であったがゆえに、多くの人が信用したのではないかと推測する。しかしながら、客観的観察や、現在の科学からは否定されてはいるものの、日々の生活において、ある種の教訓を得ることができたという意味で卓越したエピソードではないか。