東大阪親睦会

個人的な観点からの意見、情報、感想、思い等の記述です。

木を見て森を見ず

2009-11-25 14:36:58 | Weblog

 普段から健康診断の結果に留意し、少しでも不具合な数値が出ると改善に励む「健康オタク」ほど早く死ぬとの統計がある。あまり診断結果を気にせず、おおらかに目標を持って生きる人のほうが長生きするとのことである。
健康に限らず、最も気をつけなければならないことは、「良かれ」と考え重点実行することが、実は取り返しのつかない事態に陥ることではないだろうか。

 国政において、大多数の国民から支持を得て、その一挙手一投足がマスコミから注視される「事業仕分け」に「健康オタク」と同様の危惧を感じる。
「事業仕分け」を論ずる際に必ず出てくるのは、「様々な課題はあったとしても、予算編成の過程がガラス張り状態で明らかになることは画期的である」との評価。そのこと自体には異論のないものの、あまりに強調され過ぎて「事業仕分け」がメイン業務となり、政治が「木を見て森を見ない」状態に陥っていることに恐ろしさを感じる。

 デフレ不況が懸念される折、一刻も早くデフレギャップを無くす政策が急務である。デフレギャップは潜在的な供給能力と需要との差であり、一説によると潜在的な供給能力は900兆円程度で、現状の需要は500兆円位とのこと、すなわち、400兆円ものデフレギャップがあると言われている。
「無駄の削減」を中核とする民主党のやり方は、あえて言うならば、「潜在的な供給能力」を低くしてデフレギャップを小さくしようとするものである。しかしながら、「潜在的な供給能力」を抑えることは、同時に「需要」をも抑えることであり、デフレギャップ解消に至らないのは自明である。
デフレ下においては、無駄を削るのではなく、政府が積極的に財政出動することに重きをおくことのほうがより重要ではないか。


事業仕分け

2009-11-17 23:58:48 | Weblog
 鳴り物入りで始まった民主党による事業仕分け 連日マスコミがその状況を伝える。しかし、明確な方針、基準なき判断に首をかしげたくなる事例が目立つ。

 次世代スーパーコンピューター、大型放射光施設「スプリング8」、科学掘削船「ちきゅう」、細胞膜を無傷に保つことを可能とする「CAS冷凍」、GXロケットのエンジン開発などの科学技術関連の予算は軒並み凍結、見送りもしくは大幅カットされた。
一方で、「優良児童劇巡回事業」は廃止もしくは削減との意見が多かったにもかかわらず、「子どもたちに夢や希望を与える事業は、基本的に大切にすべきだ」として議長判断で初の「予算要求通り」となった。

 この差はいったいどこからくるのか理解に苦しむ。資源のない日本は、何よりも技術立国を目指すのではなかったのか。直ぐには実用化、商業化が困難であっても、新技術にチャレンジすることこそ、演劇などのフィクション以上に子どもたちに夢や希望を与える事業と思うのだが。

 そんな中、国債貢献として、インド洋沖の給油支援をしていれば80億円程度で収まる(しかも多くの国から継続を切望されている)ものをわざわざ中止して、既にマニフェストで約束したことだから、あるいは自民党との違いをアピールするといった単なる鳩山内閣のパーフォーマンスとしか思えない理由で、4500億円という膨大な民政支援を約束してしまった。これこそ、最大のムダである。
さらに、前原誠司国土交通相の旗振りの下、急きょ組成された「JAL再生タスクフォース」、10億円もの費用を使って、その成果は、単に「企業再生支援機構送り」、すなわち再度一から資産査定をし直すこととのこと。時間と費用の無駄遣いに他ならない。