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情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

情報交換会

2006-05-24 | 教材研究
久しぶりに都立東大和高等学校で、IT教育普及支援校の情報科の先生方を中心とした集まりがありました。先週は全てのIT教育普及支援校に所属する情報科の先生1名ずつが集まる会が同じ東大和高校でおこなわれたのですが、授業があったために私は参加できませんでした。私以外は先週顔を合わせたばかりにも関わらず、本日の参加者は15名でした。みなさん勉強熱心ですね。今日は多くの学校が中間考査期間だったため、集まりやすかったことも理由として挙げられますが。

私が東大和高校のパソコン室に到着すると、府中西高校の佐藤先生とY先生が既に来られていました。Y先生は今年度新規採用された方で、佐藤先生が私を紹介してくださるときに『ちゃんとした「情報B」をやっている』と言われてうれしく思いました。私のブログもたまに見ていただいているようです。色々な方に見ていただいてご意見をいただけると励みになりますし勉強になります。

さて情報交換会とは言ってもお互いの授業実践について発表したり意見交換したりします。授業以外の校務の話なども先輩の先生方の話はとても参考になります。帰りは土砂降りの雨でしたが、来てよかったと思いました。
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授業開き

2006-04-13 | 教材研究
技術教育研究会会報「技術と教育」第387号(2006年3月)に、授業開きが特集されています。私も昨日、授業開きでした。昨年もこの時期に授業開きが特集されていたと記憶していますが、どの先生も個性豊かな実践をされていて勉強になります。自分はまだまだ未熟だと思い知らされもします。

さて、今回は中学校技術科教諭の佐藤和敏先生が、技術科の中の「情報とコンピュータ」の単元について書かれた内容に注目しました。佐藤先生は以下のように述べられています。

「私はキーボードの早打ちや様々なソフトウェアを使いこなすことは、立派な『技能』だと思います。(中略)しかし、上記のような技能は、"広義の技能"であり、"技術科の範疇で必要な技能"、"技術科でなければ取り扱えない技能"とは言えないのではないかと思います。」

各校での高校情報科での取り組みを見ている中で、私が考えていたことを分かりやすく述べられていて共感しました。「パソコン教室以下」と批判されるように、「情報」=「パソコン」という捉え方をされる場合が多いように感じます。「情報科でなければ扱えない内容」が大事ですね。
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並べ替えのアルゴリズムの性能比較

2006-02-24 | 教材研究
3学期には、1年生の「情報B」で並べ替えのアルゴリズムを学習しています。アルゴリズムを実行したときのデータの並び変わる様子をトランプを用いて生徒に取り組ませています。もっとたくさんのデータで並べ替える様子を見られるように、ExcelのVBAとグラフ機能を用いたものを作りました(写真)。Web上にJavaを使ったものなどを目にしたことがありますが、今回は自分で作ることに重点を置きました。データの比較回数と交換回数も記録できます。並べ替えの時間はExcelでの描画時間も含まれるので、アルゴリズムの特徴をとらえていません。

sorting_algorithms.xls

以下の表1、2は、各アルゴリズムの実行結果です。実行環境は以下の通りです。
OS : Windows XP
CPU : Intel Pentium4 2.8GHz
RAM : 512MB

表1 : データ100個の場合
比較回数交換回数実行時間
バブルソート4950259115.95
選択ソート4950990.64
挿入ソート2687259115.95
シェルソート11179315.77
クイックソート7461721.06


表2 : データ500個の場合
比較回数交換回数実行時間
バブルソート124750630551153.65
選択ソート12475049910.45
挿入ソート63546630551150.28
シェルソート5766393172.20
クイックソート5174123422.95


表2から、Excelでセルの値を比較、交換する時間を計算できます。
比較にかかる時間 : 約 5.5/100000 秒
交換にかかる時間 : 約 0.018 秒

Excel上で、Cells(x, y)に値を代入したり、Calculateでグラフを描画させたりする時間は、比較にかかる時間よりもかなり大きくなってしまうことが分かりました。そのため交換の回数が最も少ない選択ソートが、並べ替えにかかる時間が最小となってしまいます。生徒に誤解を与えかねません。

描画させずに配列を使って、並べ替えをすれば正しい結果が得られると思いますが、ここでは並べ替えの様子を視覚化することが目的です。

参考文献
近藤嘉雪 著「Cプログラマのためのアルゴリズムとデータ構造」,ソフトバンク, 1992年

この本は私が始めてC言語を本格的に勉強しようと思ったときに買ったものです。それまではN88 BASICを使っていました。この本は初心者にとって、アルゴリズムを理解するのにとても読みやすいと思います。
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中学校「技術・家庭」技術分野

2006-02-09 | 教材研究
技術教育研究会会報「技術と教育」第385号(2006年1月)には、高等専門学校の6名の先生方が中学校技術科の教科書について書かれています。これを機会に私も開隆堂の『「技術・家庭」技術分野』を読んでみました。

まず最初に驚いたのは230ページに及ぶ厚さです。とてもこの本全部を中学校で学習するのは困難だと思いました。吉田喜一先生が述べられているように「小中高一貫した技術教育」が必要なのだと思います。

次に高等学校情報科の教員として技術分野「情報とコンピュータ」の単元に絞ってこの教科書をみました。たくさんの内容が盛り込まれているのですが、ページ数はそれほど多くはありません。ワープロやWEB検索などは小学校から「総合的な学習の時間」などで学習しているので、あえて教科書からは詳しい説明を省いているように見受けられました。また坂村健先生の「どこでもコンピュータ」について1ページを割いて書かれているのが興味深かったです。「情報」の科学的な側面についてページ数をある程度割いて書かれているのは好感を持ちました。高校の情報科でも使えそうです。

ただ、氷室昭三先生は「中学校の教科書を読んで技術教科の内容が、この目標(技術教育の目的)を達成できるのかが疑問に感じる」と述べられています。ワープロや表計算ソフトを生徒に使わせる授業は楽なので、そちらに重点が置かれ、本来の「ものつくり」がおろそかになってしまうことを危惧します。キット教材を組み立てることが技術教育とは思いませんが、今の高校に来る生徒の中にはそれさえもやっていないものもいます。私が教具を調整するために半田ごてを使っているのを見て、「半田ごて使ったことな~い」という生徒もいるのに驚かされます。
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産業協力情報授業

2006-02-07 | 教材研究
東京都立町田高等学校でおこなわれた産業協力情報授業を参観させていただきました。「宇宙と先進技術~GSPの活用~」というテーマで、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の岸本さんが講師を務められました。昨日と今日の2日間の講座で、2日目のみ参加させていただきました。

1日目の内容は、町田高校情報科の小原先生のブログに書かれています。2日目の今日も参加者は1年生11名でした。内容は、「GPSの新しい活用法を考えよう」というテーマで生徒のプレゼンテーションの準備と実演でした。参加していた生徒のみなさんの発表を聞いて、とても科学技術に関して興味を持っていることと、発想の豊かさに驚きました。

例えば、子どもの誘拐対策にGPSを利用するのは考えられることですが、ある生徒はそれに温度感知機能や個人認証の技術を組み合わせたものを発表していました。またGPSと温度センサーを組み合わせた気象システムを発表していた生徒もいました。このようなシステムはITSとして研究されていますよね。その他にも実現可能かどうかや利用価値があるかどうかは別にして、コンタクトレンズとGPSとメモリを組み合わせた録画システムなどおもしろい発想が多く見られました。

世界中の人々にGPS発信機を持たせて、一人一人の位置を把握することが講師の方の考えていることだと話していました。確かに、犯罪が起きたとき、捜査に役立つのかもしれませんが、プライバシーがないように感じて嫌です。教員として、大人としては、犯罪がおきないような社会になるように子どもたちと接していくことができれば理想だと思います。
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生徒発表会: 卒業旅行

2006-01-19 | 教材研究
午後から都立調布南高等学校(以下、調布南)の研究授業に参加させていただきました。10月21日以来の訪問です。駅から近くてうらやましいです。

調布南は本年度からIT教育普及支援校に指定されています。情報科の必修科目は、3学年に「情報A」2単位なので、今年から教科「情報」の授業がスタートしました。3学期は「卒業旅行」をテーマにプレゼンテーションソフトを用いて発表をするためのグループワークをしてきたそうです。今日は単元最後の日で、発表を聞いてきました。生徒が発表(自分・他人に関わらず)に臨む姿勢がとてもよかったように見えました。発表がうまくできてみんなからほめられた生徒はとてもうれしそうでした。

学習指導要領に位置づけられていないのに、情報Aの教科書の中に「総合実習」と名づけられた主にプレゼンテーション学習の章を設けいているものがあります。これはなぜなのでしょうか。プレゼンテーションソフトウェアを利用しなくても、発表はできます。そのような体験を生徒たちは高校に入学してくるまでに「総合的な学習の時間」や「ホームルーム」において何度か経験しているでしょう。高校の情報科であえてプレゼンテーションをおこなう必要があるのか、この学習によって情報科として生徒に何を学ばせたいのかというのが私の疑問点です。
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SIP

2006-01-17 | 教材研究
日経ネットワーク2005年3月号の特集『SIP大百科』を読みました。恥ずかしながら、この特集を読んで初めてSIP(session initiation protocol)の存在を知りました。SIPは「通信を始めるために相手を呼び出したり、やりとりするデータ形式などをすり合わせる手順の枠組み」と説明されています。IP電話のサービスのしくみが少し分かりました。しかし、SIPのRFCの記述にあいまいな点があるため、SIP対応の機器同士でも通信できない場合があるようです。

この特集で紹介されていたWindows用フリーソフトは以下の通りです。IP電話を利用したことがないので、機会があればこれらを利用してSIPについて勉強してみたいと思います。
  • SIPサーバ
    • OnDO SIP Server (ブレケケソフトウェア)
  • ソフトフォン
    • X-Lite (XTENネットワークス)
  • パケットキャプチャ
    • Ethereal
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MIME

2006-01-10 | 教材研究
日経ネットワーク2005年3月号の特集『「MIME」のお仕事』を読みました。MIMEは電子メールで英文の文字以外をエンコードして送るためのものという誤った理解をしていました。この特集で正しいMIMEの基本を学びました。

  • 英語以外の言語やテキスト以外のデータを扱うためのしくみ
    • データの種類を通知
    • データ領域の分割
    • 送信可能な形式にデータをエンコード
  • 日本語文字コードISO-2022-JPはMIME以前から電子メールで日本語を送るために作られた
    • 日本語の1文字をASCIIの2文字で表現
    • シフトJISやEUCコードはBase64でエンコード
  • Base64で様々なデータをASCII文字にエンコード
    • データを6ビットごとに区切り、あらかじめ決められた64種類のASCII文字に置き換えるアルファベット大文字・小文字(52文字)、数字(10文字)、+、-
  • Media Type
    • データの種類を表す
    • 拡張子とMedia Typeの対応表を利用する対応表は以下の2通りがある
      • ソフトウェアで用意する
      • OSの対応表を利用する場合
  • Multi Part
    • 添付ファイルやHTMLメールで利用される
「最近のWebブラウザは、HTTPヘッダで通知したMedia Typeの情報を信用せずに、受け取ったデータの文字コードを自分で調べてから表示する」らしいです。これはWebページの作者がMedia Typeの概念と文字コードを理解していないために指定した文字コードと実際の文字コードの間に矛盾が起きてしまうことが多かったためだそうです。Geocitiesでは、Metaタグで文字コードを指定しないと、IEでは間違った文字で表示されたことがあったが、今はそのようなことはないのでしょうか?
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書籍『工業高校の挑戦』

2006-01-05 | 教材研究
技術教育研究会会報「技術と教育」第384号(2005年12月)に『工業高校の挑戦-高校教育再生への道-』(学文社, 2005)について特集されています。

湘南工科大学学生の大波慶次さんは、工業高校出身者としての立場からこの本の感想を述べられています。大波さんは、中学校での苦役化した学習観が工業高校での実習などにより学習観が変わったと言うのです。「中学校の授業は、教師が黒板に書いたことをノートに写すという作業の繰り返し」であり、「記憶力のよい奴は『優秀』と評価され、教師も注目するが、そうでない生徒は、授業の中で『落ちこぼされ』ていった」のに対し、工業高校での物品製作では「自分の中で『100点』と思えるまで、何度でもやり直すことが可能」であり、「物品を完成させたときには」試験では味わえない達成感があったと述べています。大波さんの書かれていることは一つ一つが共感できるものであり、今一度自分自身の教育実践を振り返ろうと思うきっかけになりました。

大分工業高等専門学校の梅津清二先生は、高専の教員としての立場からこの本について述べられています。「日本の高校教育の根源的問題」について分かりやすくまとめています。センター試験の弊害については自分が漠然と考えていたことがすっきりとまとめてあり、頭の中を整理できました。

私も『工業高校の挑戦』を読みました。今回の会報に書かれている読者のみなさんと同じように多くのことを学ばせてもらいました。毎日持ち歩いている私のバイブルです。ぜひ普通科の先生方にも読んでもらいたいです。
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2学期を振り返って

2005-12-21 | 教材研究
今日で2学期の授業がすべて終了。明日は2学期終業式です。

1年生の授業では新しい授業を多く取り入れました。パケット化の授業とルーティングの授業は逆の方がよかったかもしれません。逆に昨年は授業で取り上げたのに今年は扱えなかった内容として、以下の2点が挙げられます。
  1. データ圧縮とデータ解凍
  2. 通信速度
1については、1学期の画像のディジタル化とからめて、画像保存形式によって圧縮率が違うことを確認させる方法が考えられます。来年は1学期にできるようにしたいと思います。上記2点については体験的に学べる教材開発が今後の課題です。

2年生の授業では、「モデル化とシミュレーション」をテーマに、前半は待ち行列モデル、後半は動的モデルについて学習しました。Excelを使ってシミュレーションをおこなったのですが、できるだけExcelを使いこなすことを目標とせず、モデル化とシミュレーションの実際を生徒に体験させることに注意を払いました。それでも、授業に遅刻することが多い生徒や、欠席の多い生徒は、Excelでの作業についてこられませんでした。このような生徒に対して授業時間外のフォローをもう少ししてあげられたらよかったと思いました。
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