情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

2学期を振り返って

2005-12-21 | 教材研究
今日で2学期の授業がすべて終了。明日は2学期終業式です。

1年生の授業では新しい授業を多く取り入れました。パケット化の授業とルーティングの授業は逆の方がよかったかもしれません。逆に昨年は授業で取り上げたのに今年は扱えなかった内容として、以下の2点が挙げられます。
  1. データ圧縮とデータ解凍
  2. 通信速度
1については、1学期の画像のディジタル化とからめて、画像保存形式によって圧縮率が違うことを確認させる方法が考えられます。来年は1学期にできるようにしたいと思います。上記2点については体験的に学べる教材開発が今後の課題です。

2年生の授業では、「モデル化とシミュレーション」をテーマに、前半は待ち行列モデル、後半は動的モデルについて学習しました。Excelを使ってシミュレーションをおこなったのですが、できるだけExcelを使いこなすことを目標とせず、モデル化とシミュレーションの実際を生徒に体験させることに注意を払いました。それでも、授業に遅刻することが多い生徒や、欠席の多い生徒は、Excelでの作業についてこられませんでした。このような生徒に対して授業時間外のフォローをもう少ししてあげられたらよかったと思いました。

2学期第11週 : HTMLのしくみ

2005-12-19 | 情報科・授業
期末考査後の2週間も通常通り授業があります。期末考査の採点、成績処理、HRの生徒の個人面談、成績不良者への補習などをしながら授業準備をしなければなりません。都立高校の教員って本当に大変だと思います。

今日は期末考査後、3回目の授業のクラスがあり、HTMLのしくみについて学習しました。授業の目的はWebページを作ることではなく、HTMLによってWebページがマークアップされていることを知ることです。中学校までにホームページビルダなどのツールを使ってWebページ作成を経験している生徒はいますが、HTMLのしくみまで知っている生徒はほとんどいません。Tim Berners-Leeが提案したWWWの構造を説明したあと、実際に生徒にWebページを作成させました。学校のサーバーでApacheを実行して、生徒にHTMLファイルをアップロードするところまでできるといいのかもしれません。

待ち行列の調査

2005-12-16 | 情報科・授業
2学年選択「情報B」の2学期の前半で、待ち行列について学習しました。そのまとめとして実際の待ち行列を観察し、待ち行列をシミュレーションをおこない、レポートを作成させました。校外で調査をさせるのは初めての取り組みだったので生徒たちがどの程度取り組んでくれるのか不安がありましたが、予想以上によく取り組んでくれました。待ち行列を調査する場所は指定しなかったのですが、渋谷駅の人気のシュークリーム屋や地元のスーパーのレジにできる待ち行列を観察した生徒もいました。中には地元の幼稚園で年1回おこなわれるバザーでの待ち行列を観察した生徒もいました。調査目的もはっきりしていて、よく書けたレポートでした。

この課題から以下のような点に気づいた生徒がいました。
  1. 駅の券売機
    • 路線図を見て料金を調べてから買わなくてはいけないので時間がかかる。販売機を音声認識にするという意見や、Suicaとパスネットを普及させるという意見があった。
    • 年齢によって切符を買うまでにかかる時間が違う。
  2. シュークリーム屋
    • 店員によってできあがるまでの時間が大幅に違うことに気づいた。アルバイトなので仕方がないが、ある程度訓練してから店頭に立ったほうがよいという意見があった。
  3. シミュレーション方法に対する疑問
    • 実際の調査とシミュレーション結果が異なること。
3の疑問については、モデルに問題があったためにシミュレーション結果が妥当とは言えない場合があることを補足説明しました。生徒自身がいろいろなことに気づいてくれたことで、やってよかったなぁと思うと同時に本当に能力のある子たちだなぁと思いました。

パケット通信に関する教材

2005-12-14 | 教材研究
技術教育研究会会報「技術と教育」第383号(2005年11月)に安倍孝司さんが書かれた「パケット通信に関する教材研究」を読みました。以前ここでも紹介したサイコロキャラメルを用いたパケットの教具に関する内容です。

情報科教育実践研究会で指摘されたことが2点挙げられています。1点目はルータの役割についてですが、これは今年実際に授業をしてみてパケット交換とは切り離して授業をしたほうがいいと感じました。パケット化について理解させるにはこの教材は十分にインパクトがあると思います。その上でパケット交換やルーティングについて学ぶのにこの教材を利用することも可能かもしれません。

2点目は、データ量の問題ですね。これはパケット化を考える上で重要だと思います。送信データの大きさを変えてパケットの個数を生徒個々に異なるようにしたほうがいいかもしれません。

今学期の期末考査において、パケット交換の特徴に関する問題での生徒のできが意外に悪く、生徒にとって理解するのが難しい事柄かもしれません。この教材をうまく使って授業を工夫することが今後の課題です。

普通教科「情報」の実施状況

2005-12-13 | 情報科・全般
技術教育研究会会報「技術と教育」第383号(2005年11月)に「東京都及びその近隣の公立高校における普通教科「情報」の実施状況」というタイトルで私が書いた文章が掲載されました。東京都の情報科の先生方や関東地区情報教育研究会合同研究大会の資料などを元に、現状についてまとめました。会員以外の方は、なかなか目にする機会はないと思いますが、何かご意見、ご批判等がございましたら、お寄せいただければ幸いです。

試験範囲

2005-12-01 | 教材研究
来週から1年生の期末考査が始まります。東京都立大泉高校の田崎先生のアイディアをいただき、期末考査の試験範囲をQRコードにしてプリントして生徒に提示しました。これも「情報のディジタル化」だとこじつけて生徒に話をしました。

生徒たちは大喜び。さっそくケータイを取り出して、読み取っていました。初めてQRコードリーダーを使ったという生徒が多かったのは意外でした。

QRコード作成に使用したソフトウェアは、2次元コードメーカー(KDDI)です。もちろん端末はauではなくても読み取り可能です。

2次元コードメーカーは以下のサイトからダウンロードできます, (2005.12.1現在)http://www.au.kddi.com/ezfactory/tec/two_dimensions/kit_dl.html