情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

2学期第3週 : 足し算回路を作ってみよう!

2005-09-30 | 情報科・授業
第3週のHR教室での授業では、今まで学習したことを生かして、実際に回路を設計する課題に取り組ませました。回路は、1ビットの足し算(半加算器)です。授業の流れは以下の通りです。
  1. 半加算器の作成
    1. 1ビットの足し算を書き出す
    2. 表にする
    3. 上の表を2つの表(上の位と下の位)に分ける
    4. それぞれの結果になるように回路を作成する
  2. 半加算器の計算をして確認
昨日1クラス、今日3クラスで上の内容の授業をおこないました。3までは単純な作業なんだよということを生徒に言い聞かせてゆっくり説明しました。ここが理解できないと回路は作れません。4で上の位を計算する回路がAND回路1つでいいことに気づく生徒は、6割から7割くらいでした。下の位を計算する回路は論理演算に慣れていないと難しいので、論理回路を最低4つ使うことや、最初に線が分岐するなどのヒントを与えました。クラスに1人か2人が10分くらいで回路を完成させました。
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待ち行列モデル (到着間隔ランダム)

2005-09-28 | 情報科・授業
待ち行列モデルで、今日はサービス時間が一定、到着間隔がランダムな場合を授業で取り上げました。授業をしていて生徒の理解を得るのが難しいと感じた点は以下の2点です。
  1. 累積確率と乱数を用いて到着間隔を求める
  2. 到着時刻を求める
1については、累積確率に関する説明が不十分でした。Excelならすぐにグラフをかけるので、図示すればよかったと思いました。1学期の授業で、累積確率を求める課題を生徒はやっていたので、生徒が累積確率について理解しているかと誤解していました。

2は、到着時刻を求めるときに、前に並んでいる人がサービスを受け終わったら、次はその人の番だというのがなかなか理解してもらえませんでした。図に描いて説明するか、実際に生徒を並ばせて説明するのもいいかもしれません。前の人が既にサービスを受け終わっていて、その人が窓口に到着したときには窓口が空いている場合もあるので、板書で説明したのですが、難しかったようでした。
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2学期第3週 : 論理回路シミュレータ

2005-09-26 | 情報科・授業
前回の予告どおり、生徒にExcelを使って論理回路での電気の流れ方をシミュレーションしてもらいました。授業で使ったのは、授業支援教材「論理回路のシミュレーション」(実教出版) 山口弘泰先生(立教池袋中学校・高等学校)です。紙の上で回路の計算をすると、回路間の電気の流れが分かりにくく、慣れていないと間違えてしまうことがあります。この教材のいいところは、簡単な操作で論理回路を作成でき、回路間の電気の流れを可視化してくれることです。

授業では、AND回路、OR回路、NOT回路の単独のものと、それぞれを組み合わせたものをパソコン上でシミュレーションしてもらいました。生徒の多くは、回路を作成することに力を入れすぎてしまって、シミュレーションをすることまで頭が回らないようでした。回路を作ることが今日の課題ではないので、そこを何度も注意したのですがうまくいきませんでした。生徒のパソコンの画面をキャプチャしてその生徒に説明させるなど、作業の時間と回路での電気の流れを可視化する時間と分けて進めたほうがよかったかもしれません。

パソコンをたくさん触れたことで、生徒はそれなりに楽しめたようですが...
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2学期第2週 : 論理演算(2)

2005-09-20 | 情報科・授業
文化祭も無事終わり、今日は片付けのあと、授業が3時間ありました。精神的にも肉体的にも疲れました。今回は普通教室での授業で、論理演算の続きです。授業の流れは以下の通りです。
  1. OR演算
    1. 「A OR B = C」の式の意味を説明
    2. 携帯電話の契約(未成年者契約)を例に説明
    3. OR回路図を図示
  2. NOT演算
    1. 「NOT A = B」の式の意味を説明
    2. NOT回路図を図示
  3. AND, OR, NOT回路を組み合わせた回路図での計算
携帯電話の契約をしたときに、保護者の署名、捺印はなく、保険証を持っていっただけで契約ができたという生徒がいて驚きました。授業後にDoCoMo, au, TUKA, vodafoneを調べたのですが、どこも「親権者の同意書」が必要になっています。生徒の勘違いなのでしょう。私の説明が悪かったせいかもしれません。回路図の計算では、論理回路を複数組み合わせたものでも、ほとんどの生徒が正解を導き出せていました。よく理解できていたせいか、おもしろいと言っている生徒もいました。昼休みにわざわざ私のところにきて、もっと計算したいから複雑な回路図を欲しいと言ってきた生徒もいました。
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イベントの待ち行列

2005-09-14 | 情報科・授業
2学年選択「情報B」では、先週に引き続き待ち行列モデルのシミュレーションをおこないました。教科書の例題で、2つのイベントの入場受付を3つの窓口でおこなうというものです。窓口を増やすことや、イベントの開始時間を変えると待ち行列がどう変化するかをExcelで計算させました。

先週と同じく到着間隔が観測結果から与えられており、サービス時間が一定の場合の例なので、生徒各自で取り組んでもらおうと考えていました。しかし、進んで取り組もうとする生徒は少なかったです。まだ待ち行列モデルを理解できていないようでした。
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2学期第2週 : 論理演算

2005-09-12 | 情報科・授業
今日から次の単元である「論理回路」に入りました。論理回路は、コンピュータでの演算のしくみを理解する上で欠かせない事項であり、教科書でも取り上げられている重要な概念です。ただ、「論理回路」の元となる論理演算は、人間の思考で日常的におこなわれていることであり、高校生にとって難易度が高い分野ではありません。

授業は以下のような流れで進めました。
  1. 論理回路とは
    1. 教科書を読む
    2. 説明を板書
  2. AND演算
    1. 「A AND B = C」の式の意味を説明
    2. 大相撲の新弟子体格規定を例に説明
    3. AND回路図を図示
  3. AND回路での電気の流れをパソコンでシミュレーション
    • 授業支援教材「論理回路のシミュレーション」(実教出版) 山口弘泰先生(立教池袋中学校・高等学校)
導入では、1学期に学習した「コンピュータは電気の流れで計算をおこなう」ことを口頭で確認しました。言葉の説明だけでは不十分なので、1学期に見たビデオ教材「ディジタル進化論」のCPUに電気が流れている様子を表した画像や、実物の半加算器を用意して計算させてみる方がよかったかもしれません。

2のAND演算の具体例として大相撲を取り上げたのは、クラスによっては反応がよかったです。舞の海関の頭にシリコンを詰めた話は、今の高校生は知らない人が多いのですね。みんなびっくりしていました。ちょうど昨日、横綱・朝青龍が負けていたので、それもネタになりました。

最後のパソコンでのAND回路の電気の流れをシミュレーションは、時間がなかったため教員用のパソコンで演示するだけに終わりました。興味を持って自分でやってみたいという生徒もいました。
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夏季課題発表

2005-09-09 | 情報科・授業
1年生の「情報B」の2学期第1週が終了しました。各クラスで生徒がグループごとに夏季課題の発表をしました。期日までにレポートは出せなかったけど、他の生徒の発表を聞いて、刺激を受けてレポートを提出したものもいました。それだけできるのなら、もう少し早くから取り組んでくれれば良かったのにと思います。こちらの指導の方法も変えていかなければならないと思います。

生徒の感想は、大きく分けると以下のような内容のものが大半を占めていました。
  • 自分の取り組みを反省してレポートの作成、発表のしかたを改善しようというもの
  • いろいろなグループの発表を聞いて、情報化社会における危険な部分を認識したもの
今回の夏季課題の発表での生徒に取り組ませる上での問題点を考えていたら、東京都立航空工業高等専門学校の斉藤武雄先生の「みんなが先生に変身する授業」(工業高校の挑戦,2005,学文社)が目に留まりました。課題発表授業のネーミングがおもしろいし、テスト問題と模範解答まで生徒に作らせるなどの取り組みを通して生徒の「学習観」「先生観」を変えさせてしまったところに興味を持ちました。

いろいろ課題はありますが、今回の取り組みを来年につなげていきたいと思います。冬休みの課題を考えなくてはいけません。英語の文献を前文訳する課題をやってみたいと考えています。どなたか、ICTに関連した内容のおすすめの文献があれば教えてください。
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進路指導の進めかた

2005-09-08 | 教育問題
東京都教職員研修センターで選択課題研修「進路指導I」を受講しました。全3回のうちの今日は最終回でした。テーマは「ホームルームでの進路指導」です。

前半は東京都立あきる野学園養護学校の原主幹が実践報告されました。知的障害を持つ生徒が不況のなか、さまざまな分野で活躍されていることを紹介され、うれしく感じました。

後半は東京都立中野地区チャレンジスクール開設準備室の笹先生が、進路指導の進め方について講義をされました。「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(PDF File)」(国立教育政策研究所生徒指導研究センター)では、「職業観・勤労観」の形成に関連する能力を以下の4領域に大別しました。
  • 人間関係形成能力
  • 情報活用能力
  • 将来設計能力
  • 意思決定能力
この4つの能力をさらに2つずつ、計8つの能力に分けています。このうち「人間関係形成能力」のうちの「自他の理解能力」について学びました。実際に笹先生が開発された進路学習教材(ワークシート)を用い模擬授業をされました。活動は、「個人ワーク→集団ワーク→個人ワーク」という順で進められました。進路学習のうちでも特に自己の理解にかんする活動でグループ学習を取り入れられているのは、他の生徒が見ることで色々な視点でのアドバイスが得られるからだそうです。ただし、グループ学習で気をつけなければならないのは、個人情報の開示をお互いに強要しないように注意することだと言われました。ジョハリの窓の盲目の窓にあたるんだそうですね。東京都高等学校進路指導協議会(都高進)の進路学習部会では、今日紹介されたようなワークシートを作られているそうです。

最後に「自己理解」をテーマにワークシートを作る課題を与えられました。短時間で作るのは難しかったです。笹先生は、「ある1人の生徒をイメージして作ると具体化できる」というようなことをおっしゃいました。

3回の研修を通して、キャリア教育について多くのことを学びました。キャリア教育は教科指導でもおこなわれることなので、この教科のなかでの職業指導の研究に取り組んでいきたいと思います。
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発券窓口の待ち行列

2005-09-07 | 情報科・授業
2学期の2年選択「情報B」の授業が始まりました。学習内容は、待ち行列モデルです。待ち行列と聞いただけで、生徒たちは「ラーメン」とか「ディズニーランド」などを発想していました。学期の最初だからか、1学期の最後に比べて、生徒たちの学習に取り組む姿勢がよかったように感じました。長い休みがあって学習に飢えていたのか、1学期の成績に危機感を覚えたのか定かではありませんが、この姿勢を継続させられるよう教材研究に努めなければなりません。

簡単な用語説明から入ったのですが、もう少し工夫するべきだと思いました。ラーメン屋の待ち行列の映像を見せるとか、文化祭が近いので来校者の受付けでの行列に触れるなど、単元の導入方法を考えることが今後の課題です。

教科書の例題を取り上げ、行列のできかたを図で説明しました。この待ち行列は、到着間隔が1人目から11人目まで実際に観測したデータが表で与えられています。サービス時間も観測により求められ、8秒で一定です。Excelで待ち行列の表を作り、待ち時間のグラフを作成しました。サービス時間を変化させたとき、待ち時間のグラフがどのように変化するかを観察しました。ここまででちょうど2単位時間が終了です。来週は教科書の課題に取り組みたいと考えています。
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神奈川県の情報科

2005-09-06 | 情報科・全般
私の住んでいる神奈川県の高校には情報科専任の教員がいません。私は、教科には専門性があると考えています。教科「情報」の授業は情報科専任の教員が指導にあたるべきで、他教科との兼任だと教科としての専門性が薄れると思います。

このような状況の中、神奈川県高等学校教科研究会情報部会では、多くの先生方が熱意を持って教材開発に取り組んでいるようです。私も昨年と今年の2回、研究会にお邪魔させていただきました。特に横浜清陵総合高等学校での実践は印象に残っています。

また7月の教育工学会の研究会でご一緒させていただいた神奈川県立高浜高等学校の間辺先生の実践も興味深く拝聴させていただきました。高浜高校は福祉の学校で、情報Aの授業に手話を取り入れているそうです。手話はまさに「コード化」ですね。また間辺先生が運営されているWEBサイト「海の近くの情報教室」を拝見させていただいたところ、情報のディジタル化や論理回路、情報通信ネットワークのしくみ、通信プロトコルまで授業で扱っているようです。普通科でもここまでやっている学校もあるんですね。教科としての専門性の高い意欲的な実践だと思いました。先生が開発されたFlashの教材は手が込んでいてとてもおもしろいです。

神奈川の先生方の実践を参考にさせていただきながら、私も教材開発に取り組んでいきたいと思います。そしていつかは母校(神奈川県)の教壇に立つことを夢見ています!
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