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情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

全国学力・学習状況調査の結果

2012-08-09 | 教育問題
今年度4月に実施された全国学力・学習状況調査の結果が昨日、公表されました(国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査 調査結果について」)。今年は初めて理科が実施されました。調査結果の概要を見ても理科について言及している項目が多く見られます。

今朝の毎日新聞では、「小学6年から中学3年にかけて、理科への関心や意欲が低下する『理科離れ』の実態が得点の分析や質問調査から裏付けられた。」としています。小学6年生では、「理科の勉強が好き」と答えた割合が国語、算数に比べて20ポイント近くも高いのに驚きました。それが中学3年生になると、国語、数学に近づくようです(それでも数学よりは9ポイントも高い)。また理科の「授業で学習したことは将来社会に出たときに役に立つ」と答えた生徒の割合が、小学6年生で73%、中学3年生では53%と、国語、算数、数学に比べてかなり低い結果でした。これはなぜなのでしょう。子どもたちがなぜそう考えているのか知りたいです。

毎日新聞では、「理科離れ」について「『理科好き』を育てるには、やはり実験が不可欠だ」とした上で、「実験は予算の制約がある上、教員の準備に他教科の数倍の時間や手間がかかる。さらに、実験能力に欠ける教師の問題もある。」と述べています。特に小学校の先生は忙しすぎると感じています。娘の学校の担任の先生から、夜遅くに電話が入ることもあります。夜遅くまで学校に残って働いているのです。本当はもっと教材研究をしたいと先生方は思っているに違いないのですが、その時間が取れないのが現状ではないでしょうか。まずは、教員を増やし、学級規模を小さくする、教員が研修する時間を保障するなど、教育にもっと予算をかける必要があるのではないでしょうか。これ以上、教員の自己努力にゆだねては、若い教員がつぶれてしまうのではないかと思います。

「来年度は国語、算数・数学の2教科で全校調査の予定」で、「費用は約57億~58億円」だそうです。それだけの予算をかけて悉皆調査をする必要があるのでしょうか。
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精神疾患を理由に退職した教員

2011-07-29 | 教育問題
今朝の毎日新聞1面記事「退職教員 精神疾患940人」から

1、2面に文部科学省が28日に公表した「平成22年度学校教員統計調査中間報告」について、特に教員が精神疾患によって退職していく現状について書かれています。それによると、病気を理由に退職した教員のうち、精神疾患が理由だった教員が半数(49.7%)を占めていたということです。

慶應大学の伊藤さんは「教員はまじめな努力家が多く、人に助けを求められず、うつ状態になりやすい傾向がある」と指摘されています。また三楽病院精神神経科の真金さんは「うつなど精神疾患の症状が出る前に、燃え尽きて辞めてしまう教員もいる。今回の調査は全体像を示し切れていないと感じる」と述べています。

カウンセリングの充実よりも、先生方の仕事を軽減するためにしなければならないことをして欲しいと思います。
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小学校の英語の授業

2011-05-23 | 教育問題
NHKクローズアップ現代『教壇に立つのはだれ? ~小学校・英語必修化の波紋~』を見ました。小学校で英語が必修化されましたが、小学校の先生は英語を教えた経験が乏しく、7割が授業の進め方に不安を感じているそうです。

今年の4月から小学校5・6年生で英語の授業が始まりました。週1回の授業で年間35コマだそうです。3分の1の教育委員会では、民間会社に英語の授業を委託しているそうです。小学校の先生の負担を減らすためには指導助手が必要ですが、その指導助手が民間会社からの派遣されているのが現状だそうです。派遣された指導助手には学校が指示を出せません。そのため、担任の先生が授業の進行に口を出せず、授業の進行に支障をきたすこともあるそうです。指導助手に指示する場合は、法律上、派遣会社を経由しなければならないそうです。

また、教育委員会が派遣会社を選ぶにも、競争入札により入札された金額により選ばざるを得ません。そのため業者の質の問題もあるそうです。指導助手がたびたび休んだり、交代が多い業者もあるそうです。これは会社の待遇が悪いことが原因として挙げられました。

宮崎市では、独自に外国人を雇用しているそうです。そのため、担任教諭と指導助手が協力して授業を進められるそうです。指導助手は、アメリカやイギリスの人だけではなく、半数以上が英語が堪能なアジア人だそうです。英語のなまりの問題もありますが、色々な国の文化に触れられるため、国際理解教育に役立つと述べていました。

尾道市の小学校では、子どもたちが英語を使って伝えたい、聞きたいという思いを生かすため、子どもの実体験を生かして、ビデオメッセージを送るという取り組みをしているそうです。

小学校での英語教育は始まったばかり。これから子どもたちに良い方向へ進むことを願っています。
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歴史教育の目的

2010-06-01 | 教育問題
今日の毎日新聞の「火論」『もし自分ならの視点』に興味深いことが書いてありました。以下、引用です。

 固定観念を絶えず検証し、複眼的な視点を持ち続けたい。「自分は勘違いしていないか」「逆も正しいかも」と。
 歴史教育の目的は本来そうした力を養うことにあるはずだ。暗記科目ではない。


加藤陽子「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」の日本近現代史の授業について触れられています。私は歴史の授業があまり好きではありませんでした。年号や地名、人名を覚えるのが苦手でした。こんな授業だったら興味を持って学べるだろうなぁと思いました。

大学の進学説明会で「入試では基礎力を問います」。「基礎力」って? 「記憶力」のこと? 「本当の教育」の難しさを感じます。
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教科書の電子化

2010-05-31 | 教育問題
今日の毎日新聞に教科書の電子化について述べられていました。(時流・底流『教科書電子化は議論必要』)

教科書をディジタル化する動きがあることは他の教員から聞いていましたが、総務省が関わっていることを初めて知りました。2009年12月に発表された「成長戦略『原口ビジョン』」によれば、「フューチャースクールによる協働型教育改革」として、「デジタル教科書を全ての小中学校全生徒に配備(2015年)」とされています。ちなみに2010年5月の「新しい成長戦略『原口ビジョンII』」では「タブレットPCや電子ブック等の情報通信機器、デジタル教材(電子教科書)等を活用し、児童・生徒が互いに学び合い、教え合う『協働教育』や児童・生徒一人ひとりに応じた個別教育の実現についてガイドライン化(2010~12年度)し、これに基づき全国展開を計画的に推進」とされています。

そもそも「フューチャースクール」とは何ですか? 総務省 スマート・クラウド研究会『中間取りまとめ(案)-スマート・クラウド戦略-』(2010年2月)の第3章 2「医療、教育、農林水産業等におけるICT利活用の徹底 (2)教育クラウド」によれば、「教育現場で使われるデジタル教材やナレッジデータベースを「教育クラウド」を介して全国に提供することにより、ICT機器を活用して、お互いが教え合い、学び合う『協働教育』(フューチャースクール)の実現に効果が高いと期待される。」とされています。スマート・クラウド研究会の構成員には教育学者がいません。

さて、タブレットPCを小中学校全生徒に配備したとします。そのためにどれだけの予算が使われるのでしょうか。また、小中学生が使うとなると故障や紛失も考えられます。故障した場合は誰が修理してくれるのでしょうか。その修理代金は家庭負担? 紛失した場合は? タブレットPCは持ち帰らせず、今までの教科書と併用することを考えているのでしょうか。

もっと教育の別の部分にお金をかけてもらった方がありがたいと考えるのは私だけでしょうか...
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全国学力調査の自主参加

2010-02-09 | 教育問題
2010年2月8日 朝日新聞夕刊に「学力調査『受けたい』続々」という記事が掲載されました。

全国学力調査が来年度から抽出された学校のみ実施されることになりました。一方、調査対象から漏れた学校でも希望すれば全国学力調査と同じ問題を受けられます(希望利用)。この場合は、「採点等は,学校の設置管理者の責任の下で行うこと」とされています。(文部科学省 「平成22年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知)」 2009年12月28日)

記事によると、福岡県が全ての市町村で希望利用、鳥取県も市町村に参加を呼びかけているそうです。これらの県では、「採点や集計の費用を県の予算に盛り込む」そうです。また、大阪市、福井県も希望利用するようです。

色々な問題点が指摘されてきた全国学力調査ですが、ぜひ子どもたちの競争に利用しないでいただきたいと願うばかりです。
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貧しくて学べない

2009-03-11 | 教育問題
NHKクローズアップ現代「貧しくて学べない」(2009年3月11日放送)を見ました。

昨秋の世界的な経済危機以降、親の収入が減ったことにより、授業料を払えない家庭が増えました。私立学校での授業料滞納者は2万4千人に上り、9ヶ月間で3倍にまで増加したそうです。場合によっては学校を辞めざるを得ない生徒もいます。

公立学校では、平均的な授業料は11万円ですが、それ以外に教科書代や修学旅行の積み立てなどを含めて35万円程度になるそうです。授業料は減免制度がありますが、その他の支援制度がほとんどないことが問題として指摘されました。

授業料を払えない家庭が増えた原因として、スタジオゲストの宮本さん(放送大学教授)は、1つめに日本型雇用の解体(非正規労働者の急増、所得の低下)、2つめに日本の社会保障制度、子育てをする家庭に対する経済的保障が極めて弱いことを挙げられていました。

次に高校を中退した子どものさらに厳しい現実について取り上げられました。それは企業の採用に高卒以上という条件があり、高校中退だと面接もしてもらえないこと、そのため、非正規雇用に従事するものがほとんどであり、安定した生活が望めないと指摘されました。

日本では、親が相当な教育費を負担していますが、これまでは親の雇用が安定していたため、問題にはなりませんでした。しかし、雇用が流動化する中で、貧しい家庭が増えているのが現状のようです。日本の経済の発展のためにも、子どもを学校に通わすことのできるような制度が求められます。
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教員の精神疾患

2008-12-26 | 教育問題
今朝の毎日新聞に「病気休職の教員 精神疾患4995人に」という記事がありました。公立学校を対象に文部科学省がおこなった調査によると、2007年度にうつ病などの精神疾患で休職した教員は4,995人になり、過去最多だそうです。年齢別では、40代が37.5%、50代以上が35.2%となっていました。

今回の調査では、精神疾患で休職する教員がベテランの先生ほど多い結果でした。しかし、新規採用などの教員歴の浅い教員が同僚からの援助を得られず孤立し、精神的に追い詰められていったという話を耳にします。ちょうど昨日の仕事帰りに読んだ「若い先生、ゆっくり成長しましょう」(『教育』2009年1月号、国土社)でも、筆者の平井先生が新規採用1年目にうつ病と診断されたことが書かれていました。

平井先生は、病院で診断書が出たにも関わらず、その日の夕方「自分のクラスの子どもの顔が浮かび」「『やはり一年間担任をもちきりたい』という考えが湧いてきて、『とりあえず薬を飲みながらでも、三月末で仕事をやめてもいいから、今のクラスの担任をやり遂げよう』という気持ち」になったそうです。結局、たった2日休んだだけで、学校に戻ったそうです。

確かに、ベテランの先生も精神的に追い詰められていると思います。しかし、平井先生のように「うつ状態」と診断されながらも薬を服用しながら仕事をし続けている教員や、病院に行くのを我慢している若い教員が少なくないと思われます。精神的に追い詰められている教員は、ベテランだけでなく新規採用の先生も同じであり、今回の調査結果ではとらえきれない厳しい現状があるのだろうと思いました。
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リレー意見表明

2008-12-18 | 教育問題
井ノ口先生「学習を放棄する高校生のこころ(市民性)を育てる」(『教育』2009年1月号、国土社)を読みました。筆者の「教育困難校」での教育実践です。

まず筆者の実践の根底には、「ただひたすら子どもを」見ることがあります。「日々教室で引き起こされる生徒の行動を観察し、記録する」ことにより、子どもたちの行動を分析し、7点にまとめました。生徒がなぜ授業を拒否する行動をとるのか、筆者は「生徒自身が意識する原因はない」と考えました。授業中に生徒が化粧をしたり、プリクラノートを眺めたり、ケータイを使ったりするのは、「授業や教師を拒否するという、彼らの心の叫びがあると考えるべきでもありません。なぜなら、彼らには『心がない』のです」と筆者は述べています。これを読んで、私は「心がない」子どもたちがいるのかと驚きました。

筆者は授業づくりにあたって、生徒に「市民性」を獲得させることを目標としました。その授業は「メディアが提供する情報やインターネット上に流される一般市民の主張と生徒を出会わせることに徹する」「一人ひとりの生徒に意見表明をさせ、それを読み合わせることで、同じ教室で学ぶ仲間の感じ方を自分の感じ方と比較させ、自らの学びのひ弱さに気づかせていくことに主眼」をおかれました。この授業を「リレー意見表明」と名づけられました。授業の様子を読むと、子どもたちが考え、自分の意見を述べる中で成長していくのが分かります。

井ノ口先生の実践へコメントとして奥平先生は「大きな社会で起こっていることにたいして無関心でいられないこと、社会へのつながりの形成こそ、学習と道徳性形成の基礎である」「社会へつながる心性=社会的関心こそ、市民性・道徳的規範意識の基礎である」と述べています。
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暴力行為件数の増加

2008-11-21 | 教育問題
今朝の毎日新聞によると、
「全国の小中高校生による暴力行為の発生件数が07年度、過去最多」になったことが文部科学省の調べで明らかになったそうです。

今の子どもたちの親は、私よりも少し上の世代でしょうか。私が小中学生の頃は、学校で体罰がおこなわれていた時代でした。今の親の中に「体罰=教育」という図式があり、自分の子どもに無意識に手をあげてしまっている親がいるのかも知れません。街中で親が子どもの些細なことで手をあげている様子を見ると心が痛みます。

また教育に過度の競争が求められていることの方が大きな原因かも知れません。いずれにせよ、報道でも指摘されているとおりね自己肯定感の低い子どもが増えているというのは前から指摘されている通りだと思います。

他にも様々な要因があると考えられ、一概には言えませんが、丸山校長が言われているように「問題を起こす子は『困った子』ではなく『困っている子』だという認識」(毎日新聞)を最近、持つように心がけています。
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