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情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

震災発生後に活用されたIT

2011-08-22 | 教材研究
「災害発生!その時 ITは何ができるのか?」(NHK『ITホワイトボックス』第19回 2011年8月21日放送)を見ました。東京大学大学院の西垣教授がゲストでした。今日のキーワードは「パーソンファインダー」「ディザスターリカバリー」「マッチングギフト」です。

パーソンファインダー(Person Finder,PF)は、東日本大震災の被災者の安否情報を掲載するサイトとして、震災発生から2時間後に立ち上げられました。PFはハイチ地震での活用が始まりで、ニュージーランド地震でも活用されたそうです。この安否情報の提供には、ユーザーがケータイのカメラで避難所に掲載された名簿を撮影し、送ってもらうという方法をとりました。この写真データを文字情報に起こすのに、当初100人の社員で行っていました。次第にユーザのボランティアもそれに関わるようになり、2週間で4800人のボランティアにより、14万人以上の情報がPFに登録されたそうです。またNHKなどマスメディアが持っている安否情報もPFと共有されるようになりました。PFIF(People Finder Interchange Format)というXMLによるタグ付けでデータの共有が可能になりました。その結果1ヶ月で60万件以上のデータが集まったそうです。

次は、ディザスターリカバリー(Disaster Recovery)。これは、「災害などによって、発生するシステム障害を素早く復旧するための仕組みや取り組みのこと」だそうです。今回の地震により、通信基地が被災して、ある避難所では3ヶ月間インターネットにつながらない状態になりました。衛星通信を設置し、この避難所でも通信ができるようになったことが紹介されました。

最後にマッチングギフト(Matching Gift)。マッチングギフトは、1960年代にアメリカで始まったそうです。「企業が従業員に対して寄付を募る場合の制度として導入されることが多い」そうで、「従業員の寄付に対して、企業は一定比率の額を企業側から拠出し、増額して寄付するといった形がとられる」そうです。今回の震災では、企業がユーザに対して募金を募りました。企業側もユーザの募金額と同じ額を拠出するわけですが、企業のイメージアップにつながるので、企業・ユーザ双方にメリットがあると指摘されました。

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自動車とIT

2011-08-15 | 教材研究
「ネットにつながる!?進化する自動車技術」(NHK『ITホワイトボックス』第18回 2011年8月14日放送)を見ました。今日のキーワードは「ECU」「IOT」「プローブカー」でした。

まずは、車の各機能、装置を制御するECU(Electrical Control Unit)。車の中のコンピュータがネットワーク化され、さまざまな制御をおこなっています。番組では前の車との車間距離を一定にするため、ブレーキやエンジンの回転数をECUが制御するしくみが紹介されました。このシステムの欠点として、運転手の注意力が散漫になってしまうことが挙げられました。高速道路を運転している時には便利そうですが、確実に眠くなってしまうだろと思いました。

次にInternet of Things(IOT)。このIOTとは、モノにセンサーやRFIDタグをつけてインターネットに接続する技術を総称したものだそうです。ここでは、カーナビゲーションシステム(カーナビ)がインターネットに接続することにより、できるサービスについて取り上げられました。例えば、海の家とか臨時駐車場とか、不定期な情報をカーナビに取り入れることにより、さらに便利になることが指摘されました。

最後にプローブカー。これは以前、ITS(Intelligent Transport Systems)のセンサーの働きをするものとして研究がすすめられていることを知りました。今では全国のプローブカーの数は400万台だそうです。東日本大震災の時にも通れる道を示すのに利用されたそうです。また、プローブカーからの情報により、さらに便利になります。カーナビでは、現在カーナビは道路につけられたセンサーにより、渋滞を感知しています。しかし、全ての道路にセンサーが取りつけられているわけではありません。プローブカーからの情報により、センサーのない道路の渋滞情報も得られる可能性があり、カーナビでのルート案内がより高性能になります。これは便利ですね。放送では、横浜から町田(?)までのルート案内を従来情報により算出したものと、プローブカーからの情報も含めて算出したものを比較した結果、40分もの差がでました! 車の走行履歴などのプライバシーの漏洩の問題も配慮されているそうです。
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金融機関とIT

2011-08-08 | 教材研究
「金融を変えた!超高速&自動化システム」(NHK『ITホワイトボックス』第17回 2011年8月7日放送)を見ました。早稲田大学日本橋キャンパスのサイバートレーディングルームからの放送。こんなトレーディングを実際に体験しながら学べる教室があったとは知りませんでした! 今日のキーワードは「メインフレーム」「アルゴリズム取引」「インメモリーデータベース」でした。

銀行に大型コンピュータが導入されたのが1960年代。このコンピュータはメインフレームと呼ばれ、オンライン処理とバッチ処理をおこないます。ある銀行では幅1.5m、高さ2mのメインフレームが7台で処理をおこなっているそうです。1980年代に導入された銀行のオンラインシステムが現在も稼働しています。なぜなら、この長い間にシステムの不具合を直してきたことにより、現在は安定稼働しているからです。

株取引で人間の手続きを代替するのがアルゴリズム取引。株を予測する数学を利用してコンピュータが取引を代替します。これにより市場が効率化し、株の価格の透明性が上がるそうです。

東京証券取引所における株取引は1990年代は「場立ち」と呼ばれる人たちにより行われていました。2000年に株取引がシステム化されました。その後、NYやロンドンでは1秒以下の高速取引がおこなわれるようになったそうです。これに対し、東証では、2010年1月に次世代売買システムarrowheadが導入され、高速処理が可能になりました。このシステムでは高速化を実現するために、HDDではなく、インメモリーデータベース(10.6TB)を利用しています。また、3台のサーバーでミラーリングすることにより、信頼性を向上させているそうです。
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SNSの違い

2011-07-25 | 教材研究
「拡大するソーシャルな世界! SNSが描く戦略とは?」(NHK『ITホワイトボックス』第16回 2011年7月24日放送)を見ました。今日はmixi社長の笠原健治さんとTwitterの佐々木智也さんへのインタビューを中心にそれぞれのSNSの特徴を比較する内容でした。

mixiは日本人向けSNSサイトで、2004年に誕生。ユーザー数が2,300万人、1日のログイン数が1,500万人だそうです。「現実世界における友人・知人のつながりがネットで再現」され、「友人・知人とコミュニケーションできる」と述べられていました。

一方、Twitterは2006年にアメリカで誕生。世界全体で2億人のユーザがいます。2008年から日本でもサービスがスタートし、現在は10パーセントを超えるつぶやきが日本語だそうです。

今後のSNSの目指す方向についてもお二人が語られていて興味深いです。
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ロボット教育シンポジウム

2011-07-23 | 教材研究
今日は、科学技術館(6階会議室)でおこなわれた「科学技術におけるロボット教育シンポジウム」に参加してきました。第4回だそうで、私は今回が初めての参加です。

タイムテーブル
  • 開会式 9:45-9:50
  • 基調講演 9:50-10:40
    • 久保田孝(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所教授)「ロボット探査機『はやぶさ』の挑戦~新しい宇宙探査の幕開け」
  • 事例発表 10:40-12:20
  • ワークショップ 13:20-14:30
  • 事例発表 14:40-16:20
  • 閉会式 16:20-16:30


諸事情により、基調講演の途中から参加になりました。「はやぶさ」のテクノロジを中心にお話しいただきました。地球からイトカワまでの距離を地球の半径とすると、イトカワの大きさは5mm程度。つまり、日本からサンパウロにいるアリにめがけて矢を放つようなものだという話がありました。遠く離れた天体に正確にはやぶさを着陸させた、その日本の技術力ってすごいですね。はやぶさが着陸するときは、自律制御だったんですね! 研究者の生の話はとても迫力があり、興味深かったです。最初から聞きたかった...

午前中の事例発表では、NPO法人におけるロボット教育の取り組みについて4件、発表がありました。

午後のワークショップのテーマは「発想と発想を実現する技術」で、グループ討議、発表と、2人の方のお話を聞きました。グループは4~5人で、課題は、「ロボットが30cmの高さから安全に降りるには」でした。私たちのグループでは、ある先生が「マンダラート」を用いて、意見を引き出してくれました。色々な発想があっておもしろく、とても勉強になりました。グループ発表も興味深かったです。台に穴をあけて降りるって、考えもつかなかった。

そのあと、松原さんと五十川さんのお話。単純なライントレースでも制御プログラムの工夫によって正確なトレースができることを知りました。また、五十川さんは、レゴで再現した「スカイジャスター」(メイキング・オブ・スカイツリーにて展示)の実物を持ってきて実演してくださいました。「スカイジャスター」は大林組の技術。とてもおもしろかったです。

午後の事例発表では、中学校と高校・小学校に別れて分科会形式でおこなわれました。私は中学校の方に参加。5人の先生の発表を聞きました。比較的若い方が多かった印象です。

朝から長時間にわたり、座りっぱなしで話を聞いていたので疲れましたが、いい勉強ができました!
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電子書籍普及のカギ

2011-07-18 | 教材研究
「ブレイク直前!電子書籍普及へのカギとは?」(NHK『ITホワイトボックス』第15回 2011年7月17日放送)を見ました。オープニングでは、神保町の三省堂本店から、「エスプレッソ・ブック・マシーン」が紹介されました! 店頭にない本を素早く印刷して製本してくれました。こんなサービスがあったのですね! 今日のキーワードは「EPUB」「フェアユース」「ソーシャルリーディング」でした。

日本で電子書籍が普及しない理由の一つとして、規格(フォーマット)が統一されていないことが挙げられました。そのため、電子書籍端末によって読めるフォーマットが異なっています。技術開発の際には規格開発競争から標準化へと進むそうです。欧米ではEPUBという標準化された規格が広く使われています。このEPUBは仕様が公開されているため、誰でも利用できます。EPUBではWEB技術であるHTMLやCSSを利用しているそうです。簡単そうですね。さて、EPUBが日本で普及していなかった理由は、EPUBが縦書きに対応していなかったからだそうです。そのため、2011年5月にEPUBに縦書きができるような仕様を追加したそうです。これから普及していくのでしょうか。

もう一つの問題として著作権法が挙げられました。アメリカではCopyright Lowには「"公正な利用"とみなされる用途には、著作物を著作権者の許諾なしに使える」というフェアユース規定があるそうです。日本でも日本版フェアユース規定が文化庁を中心に検討されているそうで、今年の1月にまとめられた文化審議会著作権分科会報告書の概要[pdf]が取り上げられました。そこでは「権利制限の一般規定による権利制限」として3つの類型の利用行為があげられています。

また「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」という運動もあるそうです。これは「インターネット時代のための新しい著作権ルールの普及を目指し、様々な作品の作者が自ら『この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ』という意思表示をするためのツール」であるとされています。

最後に「ソーシャルリーディング」。書籍が電子化されることにより、同じ本を読んでいる他のユーザや、その本の著者自身との交流も生まれることが利点として挙げられていました。そこから次の新しい本のテーマになることも生まれてくるかもしれないと述べられていました。
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巨大SNS

2011-07-11 | 教材研究
「世界を席捲する!巨大SNSの衝撃」(NHK『ITホワイトボックス』第14回 2011年7月10日放送)を見ました。オープニングでは、NHK放送技術研究所から、前回の放送にからめてテレビを見ながらつぶやける「ソーシャルテレビ」の紹介がありました。今日のキーワードは「実名SNS」「いいね!ボタン」「ターゲット広告」でした。

世界最大のSNS。登録者は2011年5月時点で5億人、そのうち日本のユーザは300万人だそうです。1日に50万人が新規登録しているそうです。

このSNSの特徴の1つは実名登録です。これにより、知人を検索できたりするわけですが、企業のリクルーティングや学生の就職活動でも利用することもあるそうです。また、インタービューされた企業の営業さんは、打ち合わせ前に顧客のプライベートを調べておくことで、アイスブレイクができると話されていました。

SNSにおいてユーザは「友達」を登録しているわけですが、そのユーザどうしのつながりを表したのがソーシャルグラフだそうです。Webを閲覧していると最近よく見るようになった「いいね!ボタン」。このシステムのプログラムを公開することにより、SNSだけでなく企業のWebサイトにもボタンをつけられるようになったそうです。企業はこのシステムをビジネスに利用しているそうです。あるユーザが「いいね!ボタン」を押すとその情報がソーシャルグラフを通して他のユーザにも閲覧されるようになります。このようなソーシャル広告(アド)が広がっているそうです。

最後に「ターゲット広告」。SNSのプロフィールを利用して、ターゲットを指定した広告を打てます。広告の価格が安価で、ターゲットを自分で設定できるので、個人でも利用が可能だそうです。

SNSでは他にもアプリケーションやデータの共有もでき、現在では検索サイトとの覇権争いに発展するほどだそうです。
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法隆寺見学

2011-07-07 | 教材研究
今日は法隆寺を見学してきました。この時期は見学者も少なく、雨が降る中、ゆっくりと見学できました。

まずはバスを降りてすぐの法隆寺iセンター2階にある宮大工棟梁「西岡常一の世界」を1時間半ほどかけて見学しました。

  • 鉋は呼吸を止める、腕で削ってはいけない、腹で削る
  • 法隆寺から真髄を学んだ
  • 飛鳥建築の良さ
    • 材料のよさ
    • 柱の太さ
    • 匠がすばらしい人たち
    深い信仰心があった
  • 薬師寺再建
    • 日本には太い木がないため、台湾の檜を使った
    • 標高2千メートルにごく一部しか残っていない → 「木を買わず山を買え」山の環境によって木材の癖がわかる
  • 木に合わせ道具を作る
  • 「風雪に耐えて建つ、それが建物」→建物には千年以上の命を与えなければならない


そのあと、法隆寺を見学しました。法隆寺は何時間見ても飽きないですね。あの軒の深さ、バランスのよさ、1300年の歴史の重みを感じます。西院と東院を合わせて2時間ほどかけて見学しました。そのあと、法輪寺、法起寺の三重塔を見学しました。
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テレビとインターネット

2011-07-04 | 教材研究
「テレビ×ネットで何が変わるのか?」(NHK『ITホワイトボックス』第13回 2011年7月3日放送)を見ました。オープニングでは、世田谷にあるNHK放送技術研究所にあるスーパーハイビジョンテレビが登場。16倍の画素数だそうです。今日のキーワードは「スマートテレビ」「ハイブリッドキャスト」「ターゲットメディア」でした。

「スマートテレビ」とは「テレビ番組とインターネット動画など、異なるプラットフォームの映像を一つの受像機で見ることができる新しいテレビのこと」だそうです。テレビはパッシブメディア、インターネットはアクティブメディア。異なるメディアから、ユーザが受け取る情報の幅が広がると言っていました。ただし、ユーザが興味のあるものだけを視聴するようになり、情報に偏りが出てしまうという問題や、インターネットの情報の信憑性などの問題も挙げられていました。

「ハイブリッドキャスト」は「テレビ放送に、インターネットで送られる情報を追加し、同時に画面に表示する技術」だそうです。例えば、多言語に対応した字幕をインターネット回線を利用してテレビ画面に表示したり、スポーツ放送を別の角度から見たりできるそうです。ただ、インターネット回線だと遅延が生じるため、映像のタイムスタンプを利用するなど、技術的な工夫が必要のようです。

「ターゲットメディア」は「見ている人を自動的に分析して広告を表示する」ものだそうです。デジタルサイネージでは、ユーザの属性を自動認識して、それぞれのユーザに合った情報を表示できます。自動販売機では、購入者の年齢や性別を判別して、オススメの商品をポップアップさせられるそうです。この自動認識は、先端技術館TEPIAにあったものを思い出しました。顔画像から性別と年齢を判定するのですが、あまり判別精度がよくありませんでした。
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タンジブル・ユーザー・インターフェース

2011-06-27 | 教材研究
「マウスとディスプレーが消える!? ~石井 裕(MITメディアラボ副所長)が創造するコンピューターの未来~」(NHK『ITホワイトボックス』第12回 2011年6月26日放送)を見ました。今回はMITメディアラボの石井先生のお話を中心にして、コンピュータのインターフェースの未来について描かれました。

石井さんがMITに行ってみてショックだったことは、そこに山などなく、山を自分でつくりあげて登っていかなければならないということだそうです。

石井さんは1991年にクリアボードの研究が認められ、MITへ行きました。MITの教授であるためには、「まったく新しい研究分野を創出すること」「その分野のリーダーとして認知されること」が必要だと言われました。

後半はTUI(タンジブル・ユーザー・インターフェース)の研究についてお話されました。そろばんのように入力、出力、計算、記憶が目に見えることがこのインターフェースの考え方だそうです。池袋防災館に導入されているということでした。公開されているのでしょうか。

ミュージックボトルやピンポンプラス、I/Oブラシ、シックスセンスなど、TUIに関する研究が紹介されました。「技術」の上に「応用」、その上に「ビジョン(理念)」があり、ビジョンが大事なんだと強調されていました。
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