日本経営士会発行の「環境CSRニュース」で配信した記事の一部です。日本経営士会 環境CSRのホームページはこちらへ。 http://www.compact-eco.com
昨年環境経営士の皆様にアンケートの提出をお願いしました。どの様な記事を希望していますかの問いに「健康経営」を上げる環境経営士がいましたので今回はこのテーマで書きます。
環境経営士はCSRについての学習をしていますが、CSRの7つの原則、7つの中核主題にはステークホルダー(従業員も含まれる)の利害の尊重、人権の尊重、労働慣行の項目がありました。
これらを実行している経営者は自ずと「健康経営」を実施しています。
中小企業が(一社)日本経営士会の環境CSR事業部が薦めています「コンパクトCSRシステム」を導入し、環境経営士が支援を深堀をして頂ければ、健康経営、リスク管理などにもつながっていきます。
1 労働者はどのような病気にかかっているか、またその割合は
それでは企業で働く従業員の不健康の割合と病名を見ると下記の様になります。
この統計は医者にかかった15歳~65歳までのデータをベースにしています。
①循環器系の疾患 高血圧 不整脈 狭心症 24% |
②消化器系の疾患 胃がん 食道がん 胃 十二指腸潰瘍 20% |
③内分泌,栄養及び代謝疾患 糖尿病 肥満 12% |
④筋骨格系及び結合組織の疾患 腰痛 肩こり ヘルニヤ 10% |
⑤健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 9% |
⑥精神及び行動の障害 7% |
⑦呼吸器系の疾患 7% |
⑧眼及び付属器の疾患 6% |
⑨皮膚及び皮下組織の疾患 4% ⑩その他 1% |
厚生労働省 平成26年統計 筆者加工 病名は例えばで記述しています。
2 健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、 健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。
健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組。
企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等 の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待される。(経済産業省のホームページ)
その始まりは、アメリカにおいて1992年に出版された「The Healthy Company」の著者で、経営学と心理学の専門家、ロバート・H・ローゼン(Robert H. Rosen)が提唱したことによるとされている。
3 健康経営に取り組むメリットとは
健康経営を企業が取り組むメリット
組織の活性化 生産性の向上
従業員の健康増進 従業員の活力向上
・社会への効果
国民のQOL(生活の質)の向上
ヘルスケア産業の創出
あるべき国民医療費の実現
・優秀な人材の獲得
・人材の定着率の向上
・企業の 成長ポテンシャルの 向上
・イノベーションの 源泉の獲得・拡大
・経営課題解決に向けた 基礎体力の向上
・業績向上 企業価値向上
4 健康優良法人の認定制度
日本健康会議では、経済産業省と共に2018年度の認定法人として大規模法人部門(ホワイト500)539法人、中小規模法人部門775法人を認定しました。(2018年8月1日現在)
この制度は2016年から始まった制度で比較的新しい認定制度です。
健康経営優良法人の認定基準
(1).経営理念・方針(経営者の自覚)
健康宣言書の掲示など、経営者が従業員の健康管理に取り組むことを明文化し、その文書などを組織の内外に発信することなどが求められます。
(2).組織体制
工場、店舗などすべての事業場に従業員の健康管理の担当者を設置するすることが求められます。基本的に事業場間の担当者の兼務は認められません。
(3).制度・施策実行
生活習慣病の予防対策やメンタルへルス対策など、16の項目のうち一定基準を満たすことが求められます。具体的な内容としては、
・定期検診受診率100%
・受診勧奨の取り組み
・50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
などがあります。
(4).評価・改善
必要に応じて、保険者に対して40歳以上の従業員の健康診断のデータを提供することなどが求められます。
(5).法令遵守・リスクマネジメント
法令違反や労働災害など安全衛生上の状況について問われます。具体的な内容としては、
・定期検診を実施していること
・保険者による特定健康診査・特定保健指導が実施されていること
・従業員の健康管理に関する法令について重大な違反をしていないこと
などが求められます。