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庭物語

庭に咲くハーブや草花の様子を綴ります。
管理者はミントです。

お雛様

2008年03月03日 | お出かけ
けさは0度、午前は曇っていて寒かったです。昼近くには雨まで降り出して外を歩くにはちょっとがっかりする天気でした。午後には薄日も射しましたがそれほど気温は上がらなかったようです。

午前中だけ休みをもらって「くりこま商家のひな祭り」という催しに出かけてきました。よく新聞などで紹介されていて行ってみたいなと思っていたところにちょうどお誘いを受けたので最終日の今日行って来ました。

町の中心部の商店街20店舗以上でその家に伝わる古いお雛様や最近お孫さんのために揃えたものまでそれぞれ店先や準備された広い会場などに展示して商店街を歩きながら自由に見られるような催しです。お雛様が飾ってあるところにはピンクののぼりが立っていたりマップが用意されたりしてわかりやすくなっています。

あちこちのお店の方にそれぞれのお雛様の由来をお聞きしながらふだんゆっくりと商店街を歩く事がない私は古い建物やその店の歴史など興味津々でした。
お雛様の他にも静岡に嫁いだ娘さんのお義母様が手作りして送ってくださったと言う吊るし雛(確か伊豆の方?)がたくさん飾ってあったり。そんなお話を伺っていると暖かい甘酒を出してくださったり・・・。寒くて手も凍えそうな私たちには何よりのおもてなしでした。



こちらのお雛様はまた別のお店に飾られたもの。古い箪笥の上に緋毛氈を敷いて飾られたこのお雛様たちは今まで見てきた段飾りのものとちょっと雰囲気が違っていてかなり惹きつけられました(それまでにも江戸末期とか大正時代とか見てきたのですが)。
このお店は瀬戸物屋さんだったのですがお話を聞くとこれは本家の呉服屋さんから受け継いだものと言う事でいつのものかはっきりはわからないし資料も残っていないということでしたが100年以上は経っているらしいです。ほかの所と違っているのはお顔が瀬戸物でできていること。長い年月を経ているのに不思議な艶がありました。

お話からはこのお雛様はかなり昔、反物を仕入れに山形に出かけて買ってきたもので、セットではなく一体ずつ買い揃えたらしいということがわかりました。段飾りになったのは最近の事らしいです、一体ずつそれぞれ台座に座っています。
どの衣装も地味な色合いですが上品な雰囲気の着物を着ているのが印象的でした。



少しアップにしてみました。以前はよく見えるようにお店の表の方に飾ったそうですが日の光やお客様の出入りで風が当たったりして着物が色褪せたりして傷みが目立ってきたので奥の方に飾るようになったとか。
着物のことはよくわかりませんが袖口の刺繍がしてある布は紅花染めらしいです。
山形から運ばれた紅餅で染めた布がお雛様の着物としてまた故郷に帰ったのですね。それがやがて隣の県に運ばれてこうして私たちが見せていただけるなんてうれしいことです。
裏側の面はきれいに色が残っているそうです。ガラスケースに入っていないので触れる事はできないけれど間近で見られるのはすばらしいです。

反物を仕入れに行ったのは山形のどのあたりかわかりませんが紅花の産地として江戸から明治まで北前船で紅餅を大阪や京都、江戸に運んだ紅花商人は帰りに塩や木綿、古着などたくさんの日用品を山形に持ち帰ったそうです。その中にお雛様もたくさんもたらされ、特に酒田の雛街道は有名ですね。最上川を利用した舟運がよその土地より山形が紅花の産地として栄える理由となったとか。
江戸や京都からやってきたお雛様がやがて古い街道を運ばれてくりこまの地までやってきたのは間違いなさそうです。
一年に一体ずつ、呉服屋さんの娘さんのために運ばれたのでしょうか。
色々想像しながらお話をお聞きする事ができてとても楽しかったです。

ほかにも古いお雛様やお道具類をたくさん見る事ができました。
古い資料が本として出版されたものを調べる事もすごく楽しいですがこうして残された品々を見ながら何代も伝え聞いた家族から直におはなしを聞く事が出来ることは素敵なことだなぁとあらためて感じました。

ひな祭りのきょう、こんな催しに誘ってくださった皆さんに感謝します。
コメント (2)
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