昨日に続き、ロッテの強さを攻撃面からさらにくわしく調べて見た。
まず、打者の成績から、90打点以上、120安打以上、450打席以上の選手数をロッテとソフトバンクで比較した。結果は次のとおりである。
90打点以上の選手数 120安打以上の選手数 450打席以上の選手数
ロッテ 0人(最高82打点) 4人(最高143安打) 5人(520)
ソフトバンク 3人(最高121) 7人(最高152安打) 8人(591)
この結果から、ソフトバンクはメンバーが固定され、クリーンナップを中心とした攻撃パターンであることがわかる。一方、ロッテは、メンバーをあまり固定せず、ベンチの中のメンバー全員で攻撃するパターンを取っていることがうかがい知れる。
次に、本塁打、二塁打、三塁打の数、盗塁の数を比べてみた。その結果は、以下の通りだった。
本塁打数 二塁打数 三塁打数 盗塁数
ロッテ 143 273 34 101
ソフトバンク 172 224 23 72
ロッテは本塁打の数では劣るものの、それを補って余りある二塁打、三塁打、盗塁数をあげている。これから、ロッテはスピードを重視した野球をしていることがわかる。個々の選手の成績からみて、バレンタイン監督は次のことを重視していると推察される。
・メンバー全員の最大限の活用
・数人の優秀な打者だけに頼らない攻撃、選手の健康管理,危機管理の徹底
・百通り以上の打順に象徴される対戦相手に合わせた選手の多様な起用
・二塁打、三塁打、盗塁の数からわかるスピード野球
この他に、ベテラン選手と若手の選手をうまく組み合わせ、若手の勢い、ベテランの経験を見事に引き出している。
守備面に関しては、特に細かなデータは出さないが、要点をまとめると、次のことが言える。
・投手間の競争を促すすべての投手への機会均等性(10勝以上の投手6人)
・二人のキャッチャーの使い分けによる投手リードの多様性
・手堅い、エラーの少ない守備
簡単にまとめると、チーム力重視、スピード野球、選手の多様な起用と危機管理であり、チームメンバー全員の力を結集し、チームとして最大の力を発揮させることを目指した野球だ。その結果が、去年の成績と今年の成績を比較してみると、個々のメンバーの能力アップにもつながっていると推測される。また、データからはわからないこととして、アナリストであるポール・プポ氏の相手チームの分析の活用があると想像している。実は、このポール氏の相手の弱点分析が大きくモノをいっているじゃないかと思っている。多様な選手起用や百通りもの打順が機能するためには、このデータ解析は不可欠だ。これだけは、その中身を知る由もないが、きっと綿密な解析をしているのだろう。
結論としては、ボビーマジックは、綿密なデータに基づいた弱小球団だからこそできるスモールベースといえるだろう。有能な優れた実績を残した選手を何人も抱えていては、きっと、選手からの不満が噴出して、なかなかすぐにはうまくいかないだろうと思われるからだ。また、このボビーマジックには、ビジネスや人生にも活かせることがいくつもあると思っている。明日はその総まとめをしよう。
