20年くらい前からかな、プロ野球の試合を見なくなった。
リトル・リーグで毎週末、練習や試合をしていたくらいだから、野球が嫌いなわけではない。
小学生のころはどんなスポーツよりも野球が好きだった。
観るのもプレイするのも。
まず野球から心が離れはじめたのは、中学生になったとき。
おきまりの「野球部ボウズ問題」だ。
固定観念にとらわれず、こういう観点から考えてみてほしい。
髪型が決まっている「スポーツ」なんてあっていいのか?
「大相撲」はスポーツではない。
アレを「スポーツ」だと思っているから、いろんな問題が起きるんだ。
あれは「神事」であり「興行」です。
スポーツだと言うから「八百長」がどうの、女性が土俵にあがれないのはどうの、とクダラナイ話になる。
ゆえにスポーツを管轄する役所が監督したり補助金を出したりするのも間違っている。
10日以上連日ガチで格闘技やって身体が持つと思いますか?
話がそれた。
参加者の髪型が決められている競技なんてスポーツじゃない。
団体競技のおもしろさとキモは「いろんなタイプの人間がひとつの目標にむかって結束し
『チーム』のために力を尽くすこと」だ。
RPGのパーティーだ。
4番でファースト向きの選手がチームに9人いたらどうなるか?
9人のプレーヤーの個性を生かすことと、そのバランスがチームを強くするし、そういうチーム
でなければ観ていてもツマらない。
それなのに「全員ボウズ強制」ってどういうこと?
懲役?
今は、丸刈りじゃない高校野球選手も多いけれど、僕の世代ではありえなかった。
だから今でも「甲子園」にまったく興味がない。
嫌いだ。
ボウズもそうだし、地元出身でもなんでもない選手をスカウトして集めるのも気持ち悪いし、
とにかく下手だから、観ていてもつまらない。
それでも以前は、プロの試合なら年に1、2回、スタジアムに観にでかけた。
いまは足が遠のいてしまった。
簡単に言うともう理想の野球観戦ができないから。
理想を書こうか。
これが日本のプロ野球では実現不可能だっていうことは承知しているが。
休みの日の昼間、お天気のいい日に、内野席の中段でお日様の光を浴びながら観る。
きもちのいい風が吹いている。
風が芝生と土のニオイを運んでくる。
ビールでも少し飲めれば最高。
でも、ビールはナシでも一向にかまわない。
ピッチャーが球を投じる瞬間、観客は全員ボールを見つめている。
「パーン」といい音を立ててキャッチャーズ・ミットにボールが収まる。
あるいは、木製のバットなのにボールを芯でとらえると、まるで大きなブラスのベルを
叩いたような快音がグラウンドに響きわたる。
スパイクが土を蹴って、塁間をプレーヤーが疾走する・・・・・・
アンパイアのコール。
拍手と声援。
でもプレイが始まればまた観客は静まりかえる。
これが僕の観たい野球の試合。
ところが先年、理想に近い試合が行われていた。
コロナのせいで。
無観客の試合。
そのとき、テレビ中継では捕球音や打球音がハッキリと聞きとれた。
ベンチからの応援やヤジも。
これで天然芝、屋根なしのスタジアム、デイタイムの試合ならほぼ理想どおり。
ただ、その試合をだれ一人現場で観戦できない、という皮肉。
笑うしかない。
今度機会があったら、僕の観た最高の野球の試合について書こう。
正確には「スロウ・ピッチ・ソフトボール」のゲームだけどね。