在沪日記

流れゆく人生を残すブログ マウイ オアフ 上海 シンガポール そして日本

ココアと白クマ〜白クマそらをとぶ

2022-01-30 | 蜻蛉房だより
子供のころ大好な物語があった。

 「白クマそらをとぶ」

 主人公は灯台守のお父さんと離れて暮らす、「モッちゃん」という男の子。

 クリスマスにお父さんにプレゼントを手渡したいけれど。

 クリスマス当日、デパートで出会った白クマが手助けしてくれる。

 デパートの屋上にある遊具の飛行機に白クマと一緒に乗ると、飛行機は本物の飛行機に
なって空へと舞い上がり、お父さんの灯台まで飛んでゆく。

 飛び立つ前にココアを飲む場面が大好きだった。

 身体の冷えきってしまったモッちゃんは白クマに自動販売機でココアを買ってもらう。

 けれどモッちゃんには熱すぎて飲めない。

 すると白クマが「フーッ、フーッ」と息を吹きかけて冷ましてくれる。

 「フーッ、フーッ」

 モっちゃんはココアを飲んで元気を取り戻す。

 子供のころって熱いもの飲めなかったよな。

 今でもココアを飲むと思い出す。

 白クマみたいに大きくてあったかいものに守ってもらいたいな。

 白クマに「フーッ、フーッ」ってココアを冷ましてもらいたいな。

 冬になるとときどきココアを飲む。

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上海201X-009

2022-01-27 | 上海201X
 

 2010年代 上海の街角

 ヨーロッパの町のような歴史の重厚さはないけれど。

 上海にもそれなりの時代の積み重なりはある。

 建物は街の地層だ。
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白クマそらをとぶ

2022-01-23 | 蜻蛉房だより
 このことは書いておかなきゃ、と思うので。

 小学生のころ大好きな物語の本があった。

 学校の図書室の蔵書だった。

 図書室のルールで同じ本を連続して借り出すことはできなかったので、
間に他の本をはさんでとにかく借りまくった。

 いぬいとみこさん(プロフェッショナルに「〜さん」ってつけるのは嫌いなんだけど、
この著者を呼び捨てにする気にはなれない)の「白クマそらをとぶ」

 モッちゃんはクリスマスに両親へのプレゼントを探しにデパートへ出かける。

 デパートでサンタクロースから小さな「旗」をもらう。

 その旗を持っていると、実はサンドイッチマン(解るかな?仙台の芸人じゃないよ)の
おじさんは白クマであることがわかる。

 モッちゃんのお父さんは、灯台守として遠く離れた土地で働いている。

 デパートの屋上にある飛行機ライドに白クマと一緒に乗ると、遊具の飛行機が本物の飛行
機にかわって、お父さんの住む灯台まで飛んでいくのだった・・・・・・。

 こう書いているだけでいろいろなことを思い出した。

 お父さんに「小さなポッチ付きのボールペン」を贈りたいのは、手紙を書いてほしいからだ
ったな。

 お母さんはちょっと神経質な人で、「クマ」なんて乱暴で不潔だって怒られるだろうな、と
モッちゃんが思うこと。

 お父さんが助けた白鳥にボールペンを託して運んでもらうこと。

 白鳥が星座になること。

 水爆実験で多くの動物が傷つくこと、それを飛行機の上からモッちゃんは目の当たりにすること・・・・・・。

 いまでも僕はプレゼントとしてボールペンを贈ることがあるんだけど、実はこの物語の影響が
あるんだ、と思いあたった。

 そして白クマみたいに自分を守ってくれる大きくて暖かい存在がいてくれたらどんなに
心が安らいで、どんなに孤独がいやされて、どんなに楽しいだろうか。

 飛行機に乗るのはあんまり好きではないけれど、白クマと一緒なら乗ってみたい。

 なにが起きても白クマほど頼れる存在はないんだから。

 知らないところにいくのが好きなのもやっぱりこのお話のせいかもしれない。

 それに、遊具の飛行機が本物の飛行機になって、自由に空を飛んで行く。

 なんて素敵なんだろう。

 ロマンティックとかファンタスティックっていうのはこういうことなんだ。

 古本サイトで探すと、まだこの本を手に入れられるようだけれど、あらためて
実物を読み返すことはないだろうな。



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上海201X-008

2022-01-16 | 上海201X

  
 2010年代 上海の街角

 春節が近づいている。

 人がすこしずつ減っていく街の雰囲気が好きだった。

 故郷に帰る人は笑顔で。
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上海201X-007

2022-01-13 | 上海201X


 2010年代 上海の街角

 「扉」のもつ暗示が好きだ。

 "The Doors"っていうバンド名も好きだし。

 よい扉があると撮ってしまう。

 上海には年代物の魅力的な扉がまだ残されている。

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スクリュー・ドライバー・マクドナルド風〜インターナショナル・マーケット・プレイス

2022-01-09 | ワイキキの影

 クヒオ・アヴェニューのマクドナルドで買ったオレンジドリンクに赤のスミノフ
混ぜて飲んでいる。
 
 パブリックな場所でアルコールを飲んでいると、点数稼ぎの警官にパクられる可能
性がある。

 もしくは正義感あふれる健全なアメリカンシチズンにとがめられる危険もはらんでいる。

 以前メインランドからきた白人家族のいけすかないオバサンに突然文句をつけられ、
通報されそうになったこともあった。

 彼女によれば僕はどうやら「公共の敵」らしい。

 それ以来ファスト・フード店の紙容器で偽装してアルコールを摂取している。



 インターナショナル・マーケット・プレイス。

 僕が子供のじぶん、初めてワイキキに来たときにはもうあった。

 巨大なバニアンと、まわりの高層ビル。

 おかげで昼間でも薄暗いこのマーケット プレイス。

 昔はもう少し日が差していたように思うんだけど。

 通路はところどころいつもなぜか濡れている。

 タマネギを揚げるニオイがただよっている。



 僕は観光地にありがちな時代遅れの土産物屋を観察する。

 「 I LOVE HAWAII」と記されたバンパーステッカー。

 趣味が悪すぎて逆に着てみたくさえなるようなアロハ・シャツ。

 プラスティック製のイミテーションのククイナッツ・レイ

 もう色が抜けてしまぅっている造花のレイ

 テロテロのムームー

 色とりどりの冷蔵庫マグネット。

 僕はこれが大嫌い。

 何百個あるんだろう?

 近づいたらクレジット・カードの磁気情報が吹っ飛んでしまうんじゃないかな。

 およそ誰が買うのかわからない土産物が並んでいる。

 でも、もう何十年も似たようなものを売ってるんだから、買う奴がいるんだろうな。


 

 スクリュー・ドライバー・マクドナルド風をチューチューと吸い込みながら、

 一軒の土産物屋の前を通りかかる。

 店番をしているのはベトナム系のアーンティ。

 もう60代の後半だろう。

 渋い柄の茶系のハワイアンシャツに黒いポリエステルのパンツ。

 「おはよう。売れるかい?」

 ニヤニヤしながら僕はたずねる。

 「なんでお前はそんなことを聞く」

 「売れたらいいなっと思って」

 「カラかうのはやめなさい」

 怒られた僕はストローで一マクドナルズ・カクテルをひと口ぶん吸い込む。

 「よく聞きなさい。お前は仕事をしなさい」

 僕はニヤニヤして答えない。

 「お前の奥さんは今、仕事に行ってるんだろう?それなのにお前は仕事もせずに酔っ
払って私のじゃまをする。働けヤングマン」

 そんなにヤングでもない僕はまだニヤニヤしながらアーンティの説教を聞いている。

 「アーンティの旦那さんは働き者だった?」

 「ああ、朝5時から毎日15時間働いてたね」

 「ホテルのベルマンだったんだよね、旦那さん」

 「そうだ。コックピットにさえ行かなきゃいい男だった」

 「酒飲みじゃなかったの」

 「闘鶏だけ。ニワトリがカネをたくさんくわえて逃げていった」

 ウオッカが脳に作用してきた。

 「ハワイは今日もこんなに天気がいいのだから、働きたくないな」

 「人間は働いて金を稼ぐためにいきてるんじゃないのか?働きなさい。働かないなら、
死んでいるのと同じだ」

 「そうだね。だから生れたときから僕は半分死んでいるのかもしれないな、といつも
思うんだ」

 アーンティは「こりゃダメだ」という風にアタマをふり、両手を腰に当てた。

 僕はヒラヒラと手を振ってその場を後にする。

 「じゃあね、アーンティ。素敵な一日を」



 人は生まれたら死ななきゃならない。それもあっというまに。

 それなら生きているとは半分死んでいるっていうのは正解じゃないか。

 飲み終えたマクドナルドの紙タンブラーをゴミ箱に投げ入れながらそう思った。

 酔ってるな。

 通報されないうちに帰ろう。


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未亡人クリコ

2022-01-06 | 蜻蛉房だより
 本当は飲んじゃいけないんだけど。

 正月くらいいいよね。

 主治医には内緒。

 8ヶ月ぶりだな・・・・・・

 昔からラベルの色が好きだ。

 もちろん味も。

 「未亡人クリコなんて縁起が悪い」って思われるかな。

 おいしかったから気にしないで。

 今度はいつ飲めるだろう。

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風とビンタン

2022-01-02 | 諸国つれづれ
 山の中腹にあるホテル。

 テラスでビンタンを飲んでいる。

 ジャワ島南東部。



 目の前には見事な竹林が広がっている。

 そして風が吹く。

 竹林を風が通っていく。

 枝が何十メートルにもわたって東側から西側へと波打っていく。

 細い枝と枝がこすれあう乾いた音。

 風は竹林を過ぎて、サツマイモ畑を過ぎて、濁った川を超えて麓の村まで降りていく。



 風に逆らってラウドスピーカーで流されるコーランが麓の村から聞こえてくる。

 コーランは大きくなったり、小さくなったり。


 音も風の強弱によって波打っている。

 村のモスクに集まった人々は戒律にしたがってビールなんぞ飲まないのだろうな。

 それともビンタンくらいこっそり飲むやつもいるのだろうか

 観光客の僕は赤い星の描かれた薄いビールを飲む。



 また風が渡ってくる。

 竹の葉擦の音も大きくなったり、小さくなったり。

 山の中腹にあるホテル。

 テラスでビンタンを飲んでいる。


 
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