在沪日記

流れゆく人生を残すブログ マウイ オアフ 上海 シンガポール そして日本

上海201X-006

2021-12-30 | 上海201X


2010年代 上海の街角
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早川亭のしゅうまい

2021-12-26 | もういちど食べたい
 「もういちど食べたい」ものについて考えると。

 意外だけど思いつくのは「おいしかった」とか「絶品」とかそういうもの
じゃない。

 なんというか「しょうものない」とか「そんなにうまいものじゃなかったけどね」
という感想の料理たち。

 例えば新宿にあった早川亭のしゅうまい。

 新宿通りの紀伊国屋の真向かいにあった店です。

 「しゅうまい定食」だったか「しゅうまいライス」というメニュー名だったか、
しゅうまいとライスとスープ。

 蒸したキャベツも申し訳程度についていたか、いや千切りだったか……。
 
 驚くほど安かった。


 学生だったころ、新宿にあるライヴハウスによく出ていた。

 月に数回はライブがあったし、やれレコーディングだ、やれミーティングだ、
リハだ、なにかにつけて新宿だった。

 週7日新宿にいたこともある。
 
 ライブハウス併設のスタジオを使わせてもらって練習、閉店後のステージで練習……。

 このバンドがまあ練習熱心で、とにかくスタジオに入ってる時間が長いんだ。

 「ミュージシャン魂を抜かれたミュージシャン」だったわたしは 練習中も「あーあ
早く終わんないかなあ」とか「おなか減ったなあ」とかばかり考えてベースを弾いてい
たわけです。

 ベーシストとしての晩年を迎えた岸部一徳状態ですな。

 「今日は終了!」もしくは「休憩!」ってことになると近くの食べ物屋に行く。

 そんな店のうちの一軒が早川亭だった。

 一階と半地下みたいなスペースがあって、いつも半地下のカウンターで
「しゅうまいライス」。

 他のメニューもあるけど客のほとんどは頼むものが同じだから、「あっ」という
間に出てくるのね。

 揚げしゅうまいもあったなあ。

 値段から考えても美味いものじゃないんだが、スタジオから解放されて一服できる
のがうれしかった。とにかくおなかも減ってたし……。

 それからしばらくしてあまり新宿に行かなくなったころ気がついたら早川亭は無く
なっていた。

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上海201X-005

2021-12-23 | 上海201X



2010年代 上海の街角
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Y字路

2021-12-19 | 上海とはずかたり
 Y字路が好きだ。

 まさしく「岐路」だから。

 人生をなにかに喩えるのは好みではないけれど、Y字路に立つと
どうしても人生における「選択」について思いをめぐらせてしまう。

 真ん中にある建物で道の行き先が分かれている。

 真ん中にある建物によって2つの未来が分けられている。

 未来の結果は2本の道の選択にかかっている。

 そうするとこの建物が表象している「モノ」や「コト」は一体なんなのだろう。




 日本は放射状に街路のひろがる街が少ないからY字路も少ない。

 あるとすれば線路際とか川沿いかな。

 川沿いの道ともう一本岸寄りの道の間に建物があったりする。



 武康大楼のY字路が好きだ。

 1924年建造。

 当時の最新建築だった武康大楼。

 建築時の名前は”ノルマンディ・アパート”

 その後も多くの著名人が住んだという。

 今でも威風堂々、武康路と淮海中路を隔てている。

 法桐の葉の落ちきったころ、武康路をもういちど歩いてみたい。

 上海の12月、冷く乾いた風が吹いているんだ。


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上海201X-004

2021-12-13 | 上海201X



 2010年代 上海の街角
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茶餐庁の店長さん

2021-12-06 | 上海とはずかたり
 
 店長さんはマカナイを食べている、モグモグモグ。

 今日のマカナイは搾菜と細切り肉を炒め。それに白米飯と冬瓜スープだ。



 「甜蜜蜜」というのがこの店の名前。

 8年ほど前にできたショッピング・モールの地下階にある。

 「茶餐庁」形式のレストランだ。

 チェーン店らしい。

 若者相手の店だから安い。

 安いけれどそこそこおいしい。

 上海ではある程度の味を提供できないと飲食店はつづかない。

 僕が上海に来てからもうすぐ5年になるけれど、「安い」だけで「おいしくない」店が何軒も
開店してはあっという間に潰れていった。

 それだけ「安くてそこそこうまい」店の競争が激しい。

 「甜蜜蜜」の菜単品目はたぶん200くらいあるだろう。

 店名からわかるように、香港スタイルの甜品スイーツメニュー、例えばマンゴーポメロとか
タピオカ入り焼きプリンが売り物なのだが、その他に、おかず、それにお粥や麺類ご飯物も揃え
ている。

 要するになんでもある。

 そして、安くてそこそこに美味しい。


 昨夜少し飲みすぎた僕は、朝昼兼用の食事として「ピータン痩肉粥」を食べにきた。

 収銀所のイスに座って店長さんはマカナイを食べている、モグモグモグ。

 店長さんは30歳くらいの女性。けっこうガタいがいい。ガッシりしてる。

 クセ毛をいつもお団子状にして頭の頂上でまとめている。

 春夏秋は店の制服の黒いポロシャツを着ている。

 冬はその上にダウン。

 顔見知りになってからは、「今日も粥か?」とか「健康にいいからブロッコリーを食べろ」
とか声をかけてくれるようになった。

 ホールには服務員がいるけれど、大声を出して捕まえるのがめんどうくさい。

 二日酔いだから。頭痛いんだよ。

 直接キャシャーの店長さんのところに注文しにいく。

 「こんちわ。僕は冷たい塩セブンナップと皮蛋痩肉粥が必要だ」

 悪い発音の変な普通語で店長さんにそう伝える。

 いちおう通じる。

 店長さんはマカナイをたべながらオーダー用の端末に僕の注文を入力してくれる、モグモグモグ。

 「15元」

 その場で支払って席に戻る。

 店長さんはスマートフォンを見ながらマカナイを食べている、モグモグモグ。

 ピータン粥はいつもの味だ。

 すぐに食べられないくらい、熱い。

 上海では珍しい、こんなに熱いのは。

 別にとびきりうまいわけではない。

 でもこれでいい。

 油のまわってしまった油条。

 が、しかし、これをお粥といっしょに食べると結構おいしいんだ。

 店長さんはマカナイを食べ終えて、だれかに電話をかけている、「喂?」

 僕の中国語ヒアリング能力では断片の単語しか聞き取れない。

 僕も粥を食べ終える。

 店長さんごちそうさま。

 またね。

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リッチモンド 〜もういちど食べたい

2021-12-03 | もういちど食べたい
 「プロの料理」と「素人の料理」の違いはなんでしょう。

 ま、いろいろと意見はございましょうが、違いのひとつは「家で再現
できない味」ということかもしれません。

 「創作居酒屋」なんてお店で「こんなんうちでも作れるよ」という品を連続して
出されると「なんだかなあ」という気持ちになってきます。

 反対に「ああ、やられたな」と思うのはオーソドックスなメニューなのにプロの
技術で「これは家では絶対に再現不可能。それどころかどういう魔法がかけてある
のかわかりません」という品を出す店。

 感謝と尊敬の念がわいてきます。

 まあそれほどの名店は1年に1軒見つかるか見つからないかなんですが。

 以前そんな店が東京駅の地下街にあったんです。

 基本的に「デミグラス・ソース」の店なんです。

 で、そのソースが独特というかその店でしか食べられない。

 ビーフシチュー、タンシチュー、ハヤシライス、もうなんでもおいしかった。

 当たり前ですが。

 好き嫌いは分かれると思いますよ。

 ひとことで言うと「苦い」デミソースなんで。

 でもね、これがクセものなんです。

 トマトの酸味とかなんとかの甘みとかいっさい無し。

 「苦みと野菜のにおいとうまみと、また苦み」というソース。

 かなり個性的ですし値段も安くはなかったので失礼ながらそんなに大繁盛し
ているようには見えませんでした。

 が、秘かにファンが集う店でしたね。ひとり客が多かったし。

 ただ「苦い」だけなら小麦粉とバターを焦がせばいいんじゃないかと考えてみるん
ですが、いや、これは単に焦がしただけではない、なにか特別なサムシングがあるん
です。

 それがなんだかわからない。

 こんなソースは家で再現することはまったく無理なわけで、食べて嬉しくなる料理
でしたね。

 「そうそうこの味。これが食べたくてきたんだよねえ」

 マスターが引退後、あとつぎがいなかったのか、地下街が改装されるときにお店も
なくなってしまいました。

 店の名は「リッチモンド」といいました。

 もういちど食べて、しあわせになりたい。

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