ザ・ビートルズ・オン・バロックはビートルズにしてビートルズにあらず

いまさらビートルズでもないが、彼らの世界に残した衝撃は、単なるミュージシャン
を超えるものがある。POPSをこれだけ劇的に変えたミュージシャン、グループは存在
しない。だから、ビートルズは永遠であり、常に新しいのである。
発売は1979年、もう35年前である。だが、やはり、聴くと今でも新しいのである。ま
た、ビートルズの曲はバロックがよく似あう。星加ルミ子さんのコメントを掲載する。

今でこそ、シンガー・ソングライターといっても珍しくはないが、ビートルズこそ、
そのシンガー・ソングライターの草分けであった。しかも彼等の曲のほとんどが、ヒ
ット・ソングであり、更に、すぐれたポップスである。今のシンガー・ソングライタ
ーが、その詩において、又、曲を作る上において、多分に私を主題においた、いって
みれば、小説でいう私小説みたいなところがあるが、ビートルズの作品の場合は、あ
くまで客観性をもったものである。だからこそ、誰でもその曲に酔うことが出来るの
だ。勿論、レノン=マッカートニーという、卓抜した才能を持つ作詩作曲者コンビを
抜きにしては、何も語れないのだが、彼等の作り出した曲は、いずれも、私事をテー
マにしたものではない。いわば、聴き手の反応をよくよく考えた上で作られている。
正に巧みな曲作りであると同時に彼等のプロフェッショナル精神を賞賛せずにはいら
れない。これこそビートルズの曲が後世まで伝えられるだろうと予見される由縁であ
り、シナトラにも歌われ、またバロックとしてよみがえることが出来るのだ。彼等の
曲はどのようにアレンジされても魅力的だ。オリジナルより、はるかに優れた作品で
あることを知らされる場合さえある。バロックとの結びつきなど、その好例だろう。
バロック音楽に変身したビートルズ・ナンバーを聞いていって、彼等のメロディーの
優雅さと、品位に改めて敬服している。フランソワ・グロリューが歴代のクラシック
の作曲家達の手法をもって、ビートルズ・ナンバーに挑戦したのは、面白いアイディ
ァだと感心したが、この「ビートルズ・オン・バロック」もまた、グロリューと双肩
の優れたアイディアで、見事にビートルズの多面性をひきだし、きかせてくれる。こ
のアルバムは、ビートルズ・ファンにこそふさわしい。ビートルズを知る上で、ビー
トルズの才能の偉大さを知る上で、違った角度からとらえたビートルズ・ナンバーを
きいてみることができるからだ。(星加ルミ子　1979年記)

写真はCDのジャケットと、ビートルズの2枚組レコード、ホワイトレーベルからの写
真である。試聴は下記「バロック」をクリックすればできます。

　　　　　　　バロック



　　MyHP　　　HEALING MUSIC