坂道をのぼりながら

感じたこと、考えたこと、などなど。

アキレスと亀

2007-08-26 20:31:47 | Weblog
今日は、水道筋商店街を散歩し、
かき氷とたこ焼きを食べる。

お店のおばちゃんが、
昔風の手で回す式の機械を使って、
ジョリジョリ、ジョリジョリと、
氷のかけらがどんどん山盛りに
なっていく様子を見ていていたら、
急に食べたくなって、
いちご味のかき氷を頼んだ。

いちご味と、サクサクの触感が、
とても懐かしかった。

散歩から帰る途中、
近くを流れている川で、
子供たちが水遊びをしていて、
とても気持ち良さそう。

ふらふら歩きながら、
「アキレスと亀」の問題を
考える。

問題の概要は、こうである。

アキレスは俊足、つまり足が速い。
一方で、亀は鈍足、つまり足が遅い。

いま、亀は、アキレスの5m前方にいて、
アキレスと亀は、直線上に並んでいるとする。

よーいドンの合図で、アキレスと亀は、
同時に同じ方向に走りだす。

とりあへず、普通に考えてみると、
アキレスは、未来のある時点で、
亀を追い越していくだろう。

運動会のリレーで、俊足の生徒が、
鈍足の生徒を追い抜く場面を思い出せば、
いたって当然のことである。

しかし、ここで、チョット待ったがかかる。

こう考えてみよう。

①俊足のアキレスが、さっきまで亀のいた場所に来る。
②そのとき亀は、鈍足とはいえ、やっぱりそれなりに
先へと進んでいる。

そうすると、変なことが起こってしまう。

つまり、アキレスは亀に、
「いつまでたっても追いつけない」という
ことになってしまうではないか!

なぜなら、アキレスが亀のいた地点に着いたときには、
必ず、亀はその地点よりも、少しだけ先にいるのだから。

かくして、①と②のステップは
無限に繰り返されることなり、
俊足のアキレスは、鈍足の亀を追い越すことが
できないという、ぼくたちが運動会の
リレーで目撃するのとは違った結論が
でてきてしまうのである。

この「アキレスと亀」の問題は、
いまから、約2,500年前に、
ギリシャ人のゼノンが考え出した
有名なパラドクス(逆説)で、
今日においても、科学や哲学の
様々な文脈において、
尽きることなく議論されている。


涼しい風が

2007-08-21 13:59:39 | Weblog
おととい、宝塚のシネ・ピピアに、
映画を見に行った。

「アズールとアスマール」
(20:35~22:30)

かなりおもしろかった!

レイトショーだったからかどうかは
分からないけど、観客は10人くらい。

「アズールとアスマール」は
ミッシェル・オスロ監督による
フランス映画。フランスでは、
昨年の2006年に公開されて、
大反響だったとか。

テレビで「アズールとアスマール」が
日本で上映されるということを知って、そのあと
インターネットで、上映されている映画館を
調べてみたら、最寄の映画館が宝塚の
シネ・ピピアだということが分かり、
のこのこと宝塚まで出かけていった。

今回、映画をみて印象的だったのは、
「アニメーション」。

アニメーションは、英語で、
animation。

animationは、動詞「animate」の
名詞形。「animate」は、
「生命を与える、活気づける」
という意味なので、
「絵に命を吹き込む」ことが、
アニメーションにおける基本であり
すべてなのだと思う。

そういう意味において、
今回は、アニメーションの原点に
触れることができたような気がする。

昨日あたりから、少し涼しくなった。
朝と夕方は特に、涼しい風が秋の気配を
はこんでくる。

耳が痛くなるほど響いていた蝉の合唱は、
それがまるで幻だったかのように、
もうとぎれとぎれになってしまった。

神戸での生活も、
残すところ約1ヶ月なり。

これからは、
研究室と我が家の引越しで、
あわただしくなりそうだなあ。

ゾウ、ロバ、馬、コアラ

2007-08-15 01:10:45 | Weblog
実家。

小学6年生のころの
作文ノートが出てきた。

***

修学旅行の思い出

 ぼくは、修学旅行に行く前に、乗り物にようことが心配だったので、よいどめを飲んで行きました。7時5分にバスで学校を出て、鹿児島についた時は、あっというまでした。
 修学旅行の一番の思い出は、平川動物園に行ったこと、ホテルの夜でした。まず平川動物園ではぼく、一成君、とし男君、山崎君、上村君、高橋君の6人で行動しました。始めにゾウを見に行きました。その時ちょうどおしっこをしている時でした。ゾウのおしっこはまるでシャワーのようにものすごい勢いで、
「ブォー。」
といってでていました。初めてゾウのおしっこみて、感動しました。次にロバを見にいきました。一成君がロバをカメラで写そうとして、
「こっちにこんかー。」
というとこっちに向かってきて、
「ストップ。」
というと止まり、まるで人間の言葉が分かるのか、不思議に思いました。そして、ロバのとなりにいる馬を見にいきました。ちょう度その時、今度はウンコをだそうときばっていました。一成君はウンコが落ちる所を写そうと、カメラを構えていました。でも馬のウンコはなかなか落ちず、でたりひっこんだり、でたりひっこんだりのくり返しで、なかなか落ちず、とうとう一成君はあきらめて、
「もう次に行こう。」
と言って、今度はコアラを見に行きました。コアラは15ひきいました。コアラはねむっていたので、ぬいぐるみのようでした。平川動物園で、今まで体験したことのないことがいろいろ体験でき、とてもいい思い出が作れました。
 次はホテルの夜のころです。ぼくはつかれていたので、8時過ぎには、ふとんに入りました。ちょう度ねつこうとした時、たくさんの人が遊びにきました。遊びに来て、トランプをしたり、おしゃべりをしたりでうるさく、とてもねむれる状態ではありませんでした。うるさくていやだなあと思ったけど、これが修学旅行なのかなあと思いました。みんなが自分に部屋にもどり、少しや静かになったけど、やっぱり少しうるさくてねむれませんでした。結局ぐっすりねむったのは10時すぎでした。
 修学旅行をふり返ってみると、食事のマナーを教えてもらい、自分はいかにいいかげんに食べていたかよく分かり反省しました。そして1泊2日の短い旅だったけど、いろんなことを体験し、いろんなことを学び、とてもいい思い出になりました。

***

こういう作文ノートが残っているとは
まったく思っていなかった。

小学校のころ、こんなことを考えたり
感じたりしていたのかあと、
自分の作文ながら(自分の作文だから?)、
しみじみと味わい深く。

ただ、文章表現が、小学生のころから、
ほとんど成長していないのではないか、
という不安が頭をもたげてきてしまった・・・(汗)

雲の上に雲がある

2007-08-12 13:21:35 | Weblog
大阪空港へ。

宮崎行きの飛行機は、
予約者が搭乗制限人数を
上回っていたので、
急遽、鹿児島行きの飛行機に
のることになった。

JALの従業員の方から、
鹿児島を経由して、
宮崎に帰ってくださいという
説明を受ける。

というわけで、
鹿児島行きの飛行機へ乗り込む。

途中、小さな男の子が、
「あ、すごい、雲の上に雲がある!」
と言っているのが聞こえてきた。

窓から外を覗いてみると、
たしかに、雲の上に雲があった。

そうか、普段、地上から空を眺める
ときは、雲の上に雲があるという
考えに思い至ることは難しいから、
その男の子は、びっくりしたんだろうなあ。

地上からの視点と、
飛行機の窓からの視点。

およそ1時間後、鹿児島空港に到着。

鹿児島には、3月の物理学会のときに
きたので、そのときのことを
あれこれと思い出した。

鹿児島に着いたのは夜の7時くらい
だったので、その日は、鹿児島に
一泊して、翌日の朝に宮崎に帰ろう
かとも思ったけれど、
バスと汽車を使えば、その日のうちに
帰れるということが分かったので、
鹿児島空港から、宮崎行きのバスに
乗った。

バスには、乗客がおよそ10人くらい。
各人が思い思いの時間を過ごしていた。

「ウィトゲンシュタイン入門」(永井均)
を読んでいたら、あっという間に、
宮崎市内に入る。

このとき、だいたい9時半。
油津行きの汽車は、10時半発だったので、
近くのマクドナルドでくつろぐ。

マクドナルドには、10代の若者たちが
たくさんいた。

10時30分の汽車にのり、
油津へ。

油津駅で降りたのは、
大きな荷物を持った青年と、
ぼくの2人だけ。

駅に降りるとすぐに、
草むらから響く虫の音、夜空に浮かぶ青白い星、
生暖かい風にゆれる木々の音、
そういったものが、迎えてくれた。

油津駅から見える風景は、
ぼくが子どもの頃に見ていた
風景とそんなに変わっていなかった。

シャンソン

2007-08-09 13:13:36 | Weblog
夏真っ盛り、
蝉しぐれの降り注ぐ。

最近、ブログに書くことが
すぐに思い浮かばずに、
いざブログを書こうと思っても
筆(キーボード?)が止まってしまって、
蝉のシシシシシッという鳴き声だけが、
部屋の中に響いてくる。

そういう瞬間に、
ああ、夏だなあと感じたりするのは
どうしてだろう。

ところで、最近、早起きなので、
今朝、「フランス語勉強計画」の
一部として、部屋の中にシャンソンを
流していたら、夏の雰囲気と、
微妙にマッチしているように感じて、
さらには、シャンソンって、なんとなく、
「自分の肌に合っている」なとも思い、
どうしてそういう風に感じるんだろう、
という新たな疑問が生まれた。

早起きをすると、
いいことがあるみたいだ。

思わぬ発見

2007-08-06 09:42:41 | Weblog
今年は、セミの鳴き声が
とても大きく聞こえる。

何かのニュースで、
セミが4年周期でたくさん発生して、
今年はその周期にあたっているという
ようなことを言っていたような
気がする。

今年は、2007年なので、
次は、2011年にその周期が
くるのかしらん。

ところで、最近、
あれもこれも勉強したいと
思うけれど、あれもこれも
勉強したいと思うだけで、
なんだかなあ、という日々を
送っている。

あれもこれも勉強したいと
思っていると、いろんな本に
目が向くので、ついつい買って
しまって、部屋には未だ手付かずの
本が、たくさん眠っている。

ときどき、あれ、こんな本、
買ったっけなあ、という本が
出てきて、思わぬ発見に
喜ぶこともあるくらいなのである!

う~ん、ちょっとずつでも、
可哀想に眠っている本たちを
読み始めないと・・・。

ピザトーストとクリームソーダー

2007-08-03 01:19:16 | Weblog
集中講義終了。

台風が近づいてきているみたいで、
喫茶店の窓から見える細長い
葉っぱの群れが、風にゆれている。

いまお店に入ってきた
おじいちゃんは、
テーブルに人差し指で字を書いて、
マスターにアイスコーヒーの注文。

昭和の面影を残したテレビには、
宮崎県の様子が映っている。
雨、風、ともにとても激しいようである。

ピザトーストを食べ、
クリームソーダーを飲む。

ピザトーストとクリームソーダーの
組み合わせは、喫茶店に行ったときの
ぼくにとっての「黄金コンビ」なのだ。

ピザトーストを食べながら、
集中講義の内容をふりかえりつつ、
「杉本町」での最後の時間にひたる。

大阪市立大学のある「杉本町」に
4日間連続で通った。

4日間も連続して通うと、
大阪市立大学の学生になったような
気分になる。

いま、こうして喫茶店にいて、
地元の人達の立ち振る舞いや
おしゃべりを聞いていると、
「杉本町」というところの
根っこに触れているなあという
感触が少し立ち上がってくる。

その感触とクリームソーダの味が
不思議に溶け合う。

そして、喫茶店には、
少し悲しげな音楽が
ずっと流れている。

静かなスリル

2007-08-01 00:00:06 | Weblog
昨日、今日と、
大阪市立大学に行った。

明日、明後日も行く予定。

いま、大阪市立大学で、
相澤洋二先生(早稲田大学)による
集中講義が行なわれており、
それに参加しているところ。

講義の進め方、
相澤先生の思考態度に感銘を受ける。

筋道を立てて考えるということが、
とても大切なのだと実感中。

筋道を立てて考えるということは、
当たり前のことのようだけれど、
いまの自分に何よりも欠けている
部分だと思う。

歴史的にどういう研究が行なわれてきたか、
先人たちがどういう問題に悪戦苦闘し、
どういう解決法でその問題を乗り越え、
それでも、いまだに、解かれていない
問題がたくさん残っている。
現在の私たちの研究は、
その歴史の中にどう位置づけられるのか。

淡々と、ときには、言葉につまりながら、
講義が進んでゆく。

静かなスリル。

相澤先生の言葉のつまり、とまどいは、
その問題の難しさ、ぼくたちの知らない問題が
まだまだ眠っている可能性、
そういったものの表れなのだと思う。

ようするに、現存する言葉では、
言い表すことのできない「何か」。

その「何か」は、存在するのか、存在しないのか、
あるいは、新たに作り出さなければならないのか。

緑の多いキャンパスには、
セミの大合唱が響き渡っていた。