ハーモニカの上手な中国人の女の子は、どうやら引っ越したみたいだ。その中国人の女の子は上の階の部屋に住んでいて、とくに仲良くしていたとかそういうわけじゃないんだけど(顔を見たこともなければ話したこともない)、なんだろう、少し寂しい。
去年の10月に神戸に引っ越してきたとき、ぼくは気持ちが少しふさぎこんでいて、自分の部屋にいても(むしろ部屋にいたほうが)安心できるというか落ち着くというか、そういう気持ちになることがほとんどなかった。そんな感じで毎日がおもーく流れていたときに、ふっと、窓の外からハーモニカの音色が聞こえてきた。たしか「星に願いを(When You Wish upon a Star)」だったと思う。しばらくの間、そのハーモニカの音色に耳を澄ませていた。途中つっかえつっかえしながら、がんばってハーモニカを吹いている感じがすごく伝わってきた。息をしっかりと吹き込んで、ひとつひとつの音がまっすぐに響いてきた。そして、少なくともその音色を聴いているあいだはおもたい気持ちが消えていた。薄暗い部屋の中の空気もちょっと変わったような気がした。
結局、一度も顔を合わせることはなかった。でも、窓の外から聞こえてくる屈託のないハーモニカの音色やその女の子の明るくて元気な声を聞いていると、よし、ぼくもがんばらなくちゃな、という気持ちになった。
べつに中国人の女の子は、ぼくに聞かせるためにハーモニカを吹いていたわけじゃないだろうけど、まあ、何はともあれ、結果として元気づけてもらったわけだし、やっぱりありがとうって言いたい。ほんとうは、ドアをトントンってノックして、「あなたのハーモニカの音色にいつも元気づけられていました」って、言えると良かったのだけど。
どうもありがとう。元気でがんばってね。
http://bit.ly/g78ZBf
去年の10月に神戸に引っ越してきたとき、ぼくは気持ちが少しふさぎこんでいて、自分の部屋にいても(むしろ部屋にいたほうが)安心できるというか落ち着くというか、そういう気持ちになることがほとんどなかった。そんな感じで毎日がおもーく流れていたときに、ふっと、窓の外からハーモニカの音色が聞こえてきた。たしか「星に願いを(When You Wish upon a Star)」だったと思う。しばらくの間、そのハーモニカの音色に耳を澄ませていた。途中つっかえつっかえしながら、がんばってハーモニカを吹いている感じがすごく伝わってきた。息をしっかりと吹き込んで、ひとつひとつの音がまっすぐに響いてきた。そして、少なくともその音色を聴いているあいだはおもたい気持ちが消えていた。薄暗い部屋の中の空気もちょっと変わったような気がした。
結局、一度も顔を合わせることはなかった。でも、窓の外から聞こえてくる屈託のないハーモニカの音色やその女の子の明るくて元気な声を聞いていると、よし、ぼくもがんばらなくちゃな、という気持ちになった。
べつに中国人の女の子は、ぼくに聞かせるためにハーモニカを吹いていたわけじゃないだろうけど、まあ、何はともあれ、結果として元気づけてもらったわけだし、やっぱりありがとうって言いたい。ほんとうは、ドアをトントンってノックして、「あなたのハーモニカの音色にいつも元気づけられていました」って、言えると良かったのだけど。
どうもありがとう。元気でがんばってね。
http://bit.ly/g78ZBf