東海道本線下り特急列車は分岐点の米原から北陸本線に入り、
敦賀から金沢へと北上を始めた。
米原を過ぎると急に寒々とした風景が広がって、遠くの山は
雪で白く輝いて見えた。
敦賀を過ぎてしばらくすると雪が降り出して車窓のガラスが
冷たくなってきたように思えた。
金沢はみぞれ混じりの雨の予報。
列車が金沢に着く夕刻には日も暮れて風も冷たそうだし
マフラーを持ってくれば良かったと悔やんでもみた。
今夜の待ち合わせ場所は、何度か行ったことのある、
兼六園近くの加賀懐石の店にしておいた。
久々の加賀料理と北陸の地酒で雪見酒になるなぁと思ったりしたが、
切ない旅の途中でこんなことを思うのは少々不謹慎な気がして止めた。
はたして、どんな加賀懐石の夜になることやら・・・