この山麓の紅葉はいつ来ても美しい。数年前までは
山腹の滝まで登っていたが腰椎のチタンボルトがきしむので
今では途中までだ。
麓の谷沿いに土地の野菜や果物を売る店があり
主らしい無口な男の人が一人座っている。
この店のキュウリの粕漬けは自家製らしく袋詰めも輪ゴムで止めただけだ。
味は独特の風味で帰りにはいつも買い求める。
主があまりにも無口なので一盛りの熟柿も買うことにした。
その時、主が小さな声でなにか言ったがよく聞きとれなかった。
多分、熟柿が柔らかすぎるから気をつけて持ち帰るようにと
云ったような気がした。晩秋の夕暮れは早い。