viento y sol

過ぎ去りし日々の物語を、そして尾張の国から吹く”風”を・・

そして秋桜

2011年09月28日 | mono'logo

  

   コスモスが咲いていた。そしてコスモスを見ると想い出す。
   山陰の小さな街で中学生だった頃、通学途中に軽便鉄道が走っていた。
   学校までは徒歩で小一時間を要したように思うが定かではない。

   禁じられていたのだが、悪童共はみんな軽便鉄道の線路を近道としていた。
   玩具のような機関車が小さなの客車を引っ張って煙を吐いて通ることがあった。
   その線路の道端にはコスモスが咲いていた。

   当時、珍しかったがピンクのジャケットを着た女の子がいた。
   悪童仲間の噂では市長の娘と云うことだった。

   何十年ぶりか、中学校の同窓会に出かけた。郵便局長の息子で
   悪童仲間のボスだった男に、市長の娘はどの女性かと尋ねてみようと思った。

   しかしその女の子がどの女性かは知らない方が良いと思い
   黙って地酒を飲むことにした。
   お互い、あまりにも時が経ち過ぎてしまっていた。