viento y sol

過ぎ去りし日々の物語を、そして尾張の国から吹く”風”を・・

カミニートの絵皿

2005年02月28日 | Weblog
ブゥエノスアイレス、南米のパリと呼ばれるアルゼンチンの都
ビーフとワインとタンゴに魅せられて、
カミニートへと今夜もまた歩き始める。

 カミニート 小径、石畳の港町、古ぼけたタンゴ小屋の柱にもたれて、
 すり切れそうな膝の上で奏でるバンドネオンの切なさを聴く。

昼間のカミニートは、明るい原色の屋根と壁、若い画家が油絵を描く

カミニートを描いた油絵の絵皿一枚、なんとなく、寒い部屋に飾り
タンゴ、Adios pampa mia.
さらば草原よ、のリズムが心地よい。

カミニートの絵皿を眺めながら、いつかまた、ブゥエノスアイレスへ、
カミニートへと心誘う。

 

S.Tさんの南アメリカ

2005年02月25日 | latinoame'rica
S.Tさんが逝って、何年もの時が過ぎ去り
S.Tさんと共に生きた南アメリカを思い出す。

あなたがアンデスの高地で謡曲、羽衣を披露した日に
人々の喝采、人の心を打ったのはなんだったのだろうか。

 五千メートルのアンデスの峠越え、酸素不足と寒さに震え、
 たどり着く鉛の鉱山、身体の節々が痛み、たまらずコカ茶を飲んだ日々。

 カラカスの真夜中の空港で別れて、久々に東京で会った時、
 ガン細胞がS.Tさんを苦しめているなんて、

手術後の痩せた顔で、もう一度、カイピリンヤを飲もうと云ったのに、
ピスコサワーも飲もうと云ったのに、

 アンデスの祭りか遠くケーナ聴く
 ギターラを弾く手に舞うは風花か
S.Tさんは今、何処に眠っているのだろうか。

遠いガイアナ

2005年02月24日 | Weblog
南米大陸の北端、ガイアナは遠い国
カラカスを発ちポートオブスペインでフライトを乗り継ぐ。

ガイアナの空港は夜、閑散としてうら寂しい
黄熱病、ペスト、コレラのワクチンを接種しキニーネを持ち、
気の進まぬ旅、車で首都ジョージタウンに向かう。

真っ暗な道、やがて遙か彼方にかすかな灯り、ジョージタウンの街灯り
ホテルでシャワー、どっと疲れが、ここまで来る日本人はいるのだろうか。

夜の街は危険、生きて帰って来いと人々は云った、それにしても暗い夜、
ホテルのバーで飲むラムコーク、バーテンダーの名はゲバラ、
明日はアマゾンの支流をさかのぼり、ボーキサイト鉱山への気の進まぬ旅。
ガイアナは何もかもが遠い国。

風のパタゴニア

2005年02月10日 | latinoame'rica
アルゼンチンの南部、ネウケンに一人降り立つ。
保養地バリローチェは近い 
なにもかも忘れ、すべてをなげうって逃避したい誘惑が襲う

車をチャーターし遙か南のアンデスの麓へ
ロックフィルダムの工事現場に向かう。
冬は近い、広漠としたパタゴニアの大地、急がねばならぬ

ダム工事現場の街、パタゴニアの田舎街、冬まじかの街、
午前10時頃に薄明かり、午後3時頃にもう黄昏の夕暮れ

パタゴニアは荒ぶる風、風、風、吹きすさぶ風の大地。
太陽が昇ると吹き荒れ、夕日が沈むとピタリと止む。
寒さに耐えながらブゥエノスアイレスと無線電話で通話する。

雪が来るまでにネウケンまで帰り着こうと思う
パタゴニアの荒野を夜を徹して車を走らす
南十字星を仰ぎ見ながら、眠気を紛らわしシェリトリンドを歌いながら

ヘッドライトに浮かぶのはピョンピョン跳ねる野ウサギの群れ。
幻想の夜、パタゴニア、凍てつく季節はもうすぐやって来る。