レ・ミゼラブル(13)
————————————【13】————————————————
M. Myriel devait subir le sort de tout nouveau venu
dans une petite ville où il y a beaucoup de bouches qui
parlent et fort peu de têtes qui pensent. Il devait le subir,
quoiqu'l fût évêque et parce qu'il était évêque. Mais,
après tout, les propos auxquels on mêlait son nom
n'étaient peut-être que des propos;du bruit, des mots,
des paroles ; moins que des paroles, des palabres,
comme dit l'énergique langue du midi.
————————————《訳》——————————————
ミリエル氏はこの小さな町でまったくの新参者としての
運命に耐えなければなりませんでした.べらべら喋る人
はたくさんいましたが、考えて話せる人はほとんどいま
せんでした.彼は司教ではありながら、また司教である
がゆえに、それに耐えなければなりませんでした.しか
し結局のところ、彼の名が出てくる話はおそらく話とい
よりも、南フランス地方の言葉のように、きつい言葉とか
その言葉の寄せ集めや音声だけのもののようであった.
————————————《語句》————————————————
devait (半過去3単) <devoir ~しなければならない、
~するに違いない
subir (他) (被害などを)受ける、被る、耐え忍ぶ、忍従する
venu(e) やって来た人
un nouveau venu 新参者、新顔
une nouvelle venue 新参者、新顔
sort (m) ❶ 運命、❷ 境遇、身の上、❸ 抽選、くじ
ここでは❷の意味(❶も可、私は❶で訳しました)
bouche (f) ❶ 口、 ❷ (扶養を必要とする) 人
ここでは❶の意味ですが「べらべら喋る口」、「勝手に喋る口」
など、やや皮肉が混ざった表現です.
fort (形/副) 強い、強く、大変、[文]非常に
quoique + 接続法 ...とはいえ、...ではあるにもかかわらず、
Il n'a pas réussi à l'examen quoiqu'il ait beaucouptravaillé.
彼はよく勉強したのに試験に落ちた.
évêque (m)(カトリックの)司教
Son exellence l'évêque d'Oréans / オルレアンの司教猊下
parce que (接続詞句)[理由] ~なので、~だから
Pourquoi pleures-tu ? 「どうして泣いているの?」
—parce que j'ai mal au dents. 「歯が痛いから」
après tout 結局(のところ)、要するに、どう考えても
propos (m)❶言葉、話、 ❷目的、意図
mêlait (半過去3単) <mêler (他) まぜる、
mêler A à B AをBに加える[まぜる]
parole (f) 言葉
palabres (複) 談判、長談義、だらだらした話
énergique (形)❶精力的な、気力のある、❷激しい、強い
langue du midi 南フランスの言葉
l'énergique langue du midi 南フランスのきつい言葉