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はるばるブログ@信州四賀の里山暮らし

日々季節を送る農の暮らしは、まるで旅人です。田んぼに畑に、土手に畦、山川草木に虫の気配、花鳥風月、私の視線。

三九郎のお告げ

2008-01-16 22:53:38 | 農の風景



この週末、地区の三九郎があった。
小学校の児童とその親が取り仕切っておこなう。
今年は、地区の保護者役員ということもあり、前日の
竹の運搬などから関わった。

暖かい冬に慣れた体には引き締まるような寒さ。
前日の雪模様から、すっきり晴れ渡った。静かな空。
雪の山脈が凛々しい。巨大。

夕方、点火すると、瞬く間に炎が立ち上った。
あっという間に、燃えながら崩れる。
「今年は、勢いのある年になるじ。」

いいではないですか。スバラシイこと方面への進歩があればいいなあ。



こどものこころも、ほんのりと暖めたか。
まずは、みんながまた一年、健やかに成長してくれますように。




春への意思、地に映しつつ

2007-12-31 20:37:43 | 農の風景
極北から猛烈な寒波が大陸をすべり、流れ込んでいる。
傾いた地軸、公転と自転、擾乱と安定。
寒い。西方の山脈に重いねずみ色の、強大な雲が乗っていた。

さすがに日中でも地面が凍み固まっていた。
引き締まった年の暮れとなった。



この20日の麦畑の写真。
厳冬の麦の姿はいい。力強いとかいうより、洒落ている。
巨大なガトーショコラのトッピング。

麦の姿を見に立ったのだが、暮れるその日に立ち会う。



こんなひと時に身を置くために、農に入ったのかもしれない。
ただ、ホンの瞬景に立つために、やや急いで走らねばならない。

一瞬の無心を祈りに変えて。日付では、年が暮れ、年を迎える。




田のリズム、くりかえし

2007-12-12 21:43:12 | 農の風景



ころん。と、転がった稲の切り株。地に張った根の様子をとどめている。
稲を育み、あれこれ土づくりと言っている深さは、こうしてみると浅い。

それに引き換え、稲がその丈いっぱいに広がっていた空の無限さ。

田んぼ一枚。どこにも動かぬ地表と空に続く無限の空間。

そこにある変わらなく見える田んぼは、人の手入れと、自然のうつろいを受け、
田んぼであり続ける。変化しつづけることが、変わらない系を生む。

惑星表面の一片を耕す。

(11/26撮)

 


空気の質感

2007-11-15 21:18:14 | 農の風景


それを気配というのか、幻というのか。

のほほんとした、小春日和のせいだろうか。

透明な目の前の空気の塊に、ふと気を引かれ。


(んなこと言ってないで、片付けなさい、たんぼ)

地の息、月の光

2007-06-29 22:25:38 | 農の風景

先ほど配達帰り、あいがもの水田を覗く。

夜の田は、暗闇というだけで別世界の様相を見せる。
あれほど見慣れた場所なのに、広さの感覚を失う。

昼前から午後としっかり雨が降ったが、雨上がりの空に丸く明るい月があった。
満月は明日とのこと。

山々がよく見える。なぞるように雲がたなびいている。
しっとりとした地が、潤った草木が吐く息のよう。
月の光は、霧雲に包まれ、または途切れ、音もなく眩しい。

とがった稲の葉、この今、人知れず勢いづいて伸びているのだ。
そういう夜もあるのだ。

ツチガエルというカエルが当たり一面で鳴いている。
それぞれが求める声なのだ。稲はそれを聞いてまた伸びている。

夜空、山影は暗黒でなく、水彩の藍。
水田の道を車を走らせる。出来ることならこのまま夜間飛行。

蛍も群れ飛んでいる。
稲の伸びる葉音に耳を澄まそうとしたがやめて家路。


南風水田

2007-05-14 22:44:43 | 農の風景

(5/5撮)

目の前の風景に、遠い記憶をみる。
眩しい朝日のせいか、強い南風のせいか。
ほんの一枚の田は、深く古い湖のよう。
冬あれほどすくめていた首に、思いっきり温かな風をあてる。




忘れもできぬ忘れ霜

2007-05-01 22:16:10 | 農の風景

(4/27撮)

寒気が流れ込んだ、晴れ渡る春の朝。そんな日遅霜が懸念されます。

「空の名前」という本をめくれば、遅霜は「忘れ霜」ともいうとありました。

百姓にとっては忘れもできない恐れ霜です。
春の始めに植えたり、播いたりした作物は、それなりに寒さや霜に
耐えられますが、それでも、芽が出たばかりや植えたばかりは、ダメージを
受けますし、氷点下ほどに下がれば影響は避けられません。

そこで、保温資材を活用して養生しておくのですが、この時期、日中は
日差しも強く、そんなときは逆に蒸れてしまいます。
なかなか一筋縄には行きませぬ。
おまけに、春は風が強いことが多いので、それにさらされるのもシンパイ。

ニンゲンも、服を脱いだり着たりの連続。

びっしり忘れ霜が降りた朝、畑に行くと日差しがみるみる霜を溶かしていきます。

勢いよく伸びだした小麦にも、霜華が。雫も凍る朝でした。

近い景色遠い記憶

2006-11-26 07:52:09 | 農の風景


近くの景色が、遠くずっと前の記憶に思えることがあります。

朝霧がたちまち晴れていく田んぼにいて、インドに旅したとある朝を思い出しました。

聖地の河岸からの眺め。彼岸は朝靄に陽射しがあたり、広大な銀幕のようでした。

田んぼもようやっと、秋起こししました。

煙る田

2006-10-15 06:27:37 | 農の風景



秋の深まりが目に見えるような刈田。
脱穀を終え、籾袋をワラをハザを片付ける。
独特の煙のいい匂い。
夕方まえというのに、ひんやりした湿っぽい空気が流れてくる。
がらんとした田んぼ。里の風景が広くなった気がする。

冬に戻ってくる小鳥が群れをなして通り過ぎる。
一瞬チ・チ・チ・・・チッと囀りの重なりに包まれる。
また、静かになる。
モズが高く鳴く。幼いキジが幾匹も急いで通り過ぎる。

今年の恵みいいこともあれば、残念なこともあった。
雑念と無心を繰り返し、手を動かす。