シニアの一人たび

神奈川県大和市の歩行者専用道を紹介したHPを開設してます。
「歩行者専用道」を中心に「北米の旅」、「飛鳥Ⅱ」も併設

結核菌も殺す電解水の力/たかが水されど水④

2006-12-13 16:56:03 | 生物学
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 「胃カメラを飲むなら朝イチに限る」。病院の事情に通じた人たちの間では、
つい数年前まで、それがなかば常識だったという。
 内視鏡の中の細い管(直径2~3㍉)を掃除するのは骨が折れる。患者ごとに
洗うのが基本だが、順番待ちの人が多い時にのんびり作業している暇がない。
検査の順番が後になれはなるほど、洗い残した汚れがたまってしまうのではない
か・・・。だが、一日の最後には十分に内視鏡を洗う余裕がある。翌日の朝一番の検
査なら清潔で安心というわけだ。

 「欧米では90年代末、内視鏡で肝炎や結核に感染した例があります」と、さくら
い消化器科内科(東京都品川区)の櫻井幸弘院長はいう。
 櫻井さんは今夏に開業した際、内視鏡の自動洗浄消毒期「鏡内侍」を入れた。洗
濯機ほどの大きさ。内部で食塩水を電気分解し、できた酸性とアルカリ性の電解水
を使って、内視鏡を洗う。洗いあがるまでの時間は6~9分だ。
            (2006.12.12 朝日夕刊/新科論『その2続く』)

カリニ肺炎防ぐ たんぱく質特定/東大医科研

2006-12-13 14:00:10 | 医学
  エイズなど免疫低下で発症
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 体の免疫機能が低下している人がかかりやすいカリニ肺炎の感染を防ぐ働きを持
つたんぱく質を、岩倉洋一郎・東京大医科学研究所教授らのグループが特定した。
エイズ患者や臓器移植を受けた人などの治療に役立つ可能性があるという。米科学
誌ネイチャー・イムノロジー(電子版)に発表した。
 カリニ肺炎は、カビや酵母などと同じ真菌類のニューモシスチスが引き起こす病
気。この真菌はほとんどの人の肺などに存在するが、健康な人では免疫の働きによ
り病気を起こさない。

 岩倉教授らは、白血球の表面に存在するデクチン1と呼ばれるたんぱく質が、免
疫系にも影響を与えていることを発見。デクチン1の遺伝子を人工的に働かなくし
たマウスで、カリニ肺炎の感染についても調べた。
 その結果、デクチン1を作れないマウスは、通常のマウスに比べて肺の病状が悪
化することがわかった。また、人工的に免疫不全状態にした場合も、デクチン1を
作れないマウスの方が、病状がひどかったという。

 岩倉教授は「デクチン1は通常の免疫作用に加えて、活性酸素の働きでカリニ肺
炎の感染を防いでいるとみられる。この性質を利用すれば、より効果的な新薬の開
発につながる可能性もある」と話している。
『河野茂・長崎大医学部長(呼吸器感染症学)の話』
真菌感染症であるカリニ肺炎は増加傾向にある。難治性で、免疫防御のメカニズム
も不明な点が多い。今回の研究は、今後の病態解明に役立つ可能性が高い。
                       (2006.12.12 朝日夕刊)

「自宅で最期」支援急務/年間死亡者 100万人超時代の在宅医療『その5』

2006-12-13 11:02:38 | 医学
  介護保険で生活充実を/川越厚氏(ホームケアクリニック川越院長)
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 患者の生活の質が一番保てるのは、間違いなく住宅での医療だ。末期がん患者の
在宅ケアは平均して2カ月以内ということもあり、家庭の介護負担もそれほど問題
とならない。
 問題は、がん以外の病気を患った高齢者など、介護が数年間と長期間に及ぶ場合
だ。「社会的入院」と言われるように、長期入院する療養病床には医療が必要な人
がどれほどいるのか。医療を手厚くするとという考え方よりも、介護保険で生活の
支援の充実に重点を置くべきだ。

 特に、一人暮らしや高齢者夫婦など、家族の介護力を期待できない場合をどおす
るのかは今後の大きな課題だ。
 年間150人を看取っているが、1人暮らしで家族の介護をまったく期待できな
い人の在宅死を可能にしたのは、現行制度のサービスを100%利用し、ボランテ
ィアも活用したからだ。財政が限られる中、「すべて制度で」という視点を変え、
地域の力を再結集するときがきたのだと思う。

 いま、問われているのは、人が生きること、老いること、その先にある死といは
どういうことなのかということだ。
 必要な医療はしなければならないが、濃厚な医療、つまり急性期の医療を、高齢
の患者に機械的に使うのは慎重に考えなければならない。本人がどんな命を望んで
いるのかと議論なしに、この問題は解決しない。
         (2006.12.07 朝日朝刊/アピニオン『さの6に続く』

揺らぐ在宅医療/訪問看護ステーション 休止や閉鎖『その2』

2006-12-13 09:00:58 | 医学
  看護師不足 患者ら不安
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 島根県の大病院は、併設のステーションを今年度限りで閉鎖する。看護師5人で、
病院を退院した人を中心に約50人の患者をみていたが、採算は赤字続き。そこに病
院の収益が大幅に下がる診療報酬改定の影響が重なった。事務部長は「発症後間も
ない急性期の医療に特化し、訪問看護は地域のステーションに任せたい」と説明す
る。
 ただ、がん末期の患者らの引継ぎ先を相談された介護関係者は「患者の家族が気
の毒。いきなり閉じるから別のところへどうぞなんて」と批判。同病院に勤務する
看護師は「閉鎖で浮いた分の看護師を病棟に配置するのでは」とみる。
 ぎりぎりの努力でサービスを維持するステーションもある。利用者120人のう
ち役70人が重度者という兵庫県尼崎市の塚口訪問看護センター。8月に常勤看護師
2名が辞め、常勤3人、非常勤9人になった。9月から日曜は休業にしたが、常勤
3人で緊急時の24時間対応を続ける。

 11月半ば、同市の県立尼崎病院。小林澄子所長は男性患者(65)の退院に向けた
調整会議に出た。男性は人工呼吸器を付けている。計2時間近くかけ、どういう
サービスを使って男性の在宅生活を支えるのか、妻も交えて話し合った。

 小林所長が病室に夫妻を訪ねるのは2度目だ。退院まであと1回。さらに、無報
酬だが退院の日も自宅を訪ねる。「重度や終末期の場合、退院しても大丈夫なのか
不安が強い。患者さんや家族に『在宅でもみんなで支えてくれるんだ』と感じても
らうのが大切」と小林所長は語る。
            (2006.12.10 朝日朝刊/生活『その3に続く』)