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皮膚から万能細胞/京大教授らマウスで成功『その2』

2006-08-12 09:12:18 | 医学
  受精卵使わぬ手法
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『解説』
倫理問題回避に期待/安全性課題も
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 今回の論文発表に先立ち、山中伸弥・京都大教授は国際学会で成果の一部を口頭
発表した。英科学誌ネイチャーは「山中はホームランを打ったようだ」と報じ、
米科学誌サイエンスも取り上げた。多くの再生医療研究者が詳細な論文発表を待ちわ
びていた。

 代表的な万能細胞である胚(はい)性幹細胞(ES細胞)は受精卵を壊して得ら
れる。受精卵を「生命の始まり」とみなすキリスト教的価値観が濃いフランスやド
イツなどは、研究を始めていない。米国も同様な理由で公的規制を禁じており、7
月にはES細胞研究への連邦助成を求める規制緩和法案に、ブッシュ大統領が「倫
理的な一線を越える」と初の拒否権を発動。政治問題になっている。未受精卵と体
細胞の核をもとにした「クーロン胚」から、クーロンES細胞を作る場合も、クー
ロン胚を壊す必要があり倫理問題はつきまとっていた。

 山中さんらの成果はこうした問題をすべて回避し、患者のありふれた細胞を使っ
て拒絶反応のない再生医療が実現できるかも知れないとの期待を抱かせるものだ。
 山中さんらは万能細胞を作る際に、がん関連遺伝子などを、ウイルスを使って組
み込んでおり、人の治療への応用を考えると、安全性の追及など課題はまだ多い。
しかし、斬新な突破口が示されたことで研究は急展開する可能性がある。
                  (2006.08.11 朝日朝刊/1面)