きゃらめるぽっぷこーん

きっかけは韓国映画、今は興味の赴くままに観ます。mottoは簡潔に。radiotalkでラジオ配信始めました。

ドライブ・マイ・カー

2022年01月20日 | 日本

2時間59分の長尺で、体感としてはもっと短かったけど、集中力が必要な映画館で観るべき作品。
とても良かった。
感じること(考えること)が多くて、感想を聞かれてひと言で説明できないよね。
物語が収束するというよりも広がって終わった感じで(←もううまく説明できてない)
ウェルメイドとか、伏線が回収されて納得とか、カタルシスですっきりするとか、そういう次元で語れないものだった。

始まりはえっ?という印象。
舞台俳優の家福と妻の音との不思議な夫婦関係と、家福の喪失感の理由をアバンでじっくりと描く。長かった。

大切な人を失った人の喪失と再生の物語。
ひと言で説明するとそうなっちゃうんだろうけどちょっと違う。

入れ子方式で描かれるのが、広島で行われた演劇祭の演目チェーホフの「ワーニャ伯父さん」
9ヶ国語で演じていて、普通ならコミュニケーションできるはずのない異なる多言語で会話するの。
これが面白かったですね。
言語とは何か、というか、コミュニケーションに必要なものは何だろうって考えるよね。
演じるってどういうことだろう、、とか。
本読みの場面が延々と繰り返されるの、凄いよね、ちょっと規格外(笑)、でも必要だったんだろな。

そして演出家の家福が結果として演じることになって、人は悲しみや後悔を抱えながらも生きるしかないと、自ら答えを示すように家福自身が演じる。
韓国手話は音を発しなくても、シンプルにダイレクトに伝わる感情があって素晴らしい、感動しました。

タイトルどおり、家福の愛車サーブでドライブする場面が物語の中心で、車の中でいろんな会話がされるんだけど、
高槻と奥さんとのその後の話(物語)はちょっとびっくりした。
結果として彼のその後の行動が物語を動かしたけれど、わかるようなわからないような、、でも人生ってそういうもんだよな、、説明のつかないことってある、という謎の説得力がある。
高槻と家福は対極にいるよね。

人と人とが分かり合う方法、伝え合う方法の話をしていて、声とか演じることもテーマのひとつ。

本読みは感情をこめずに言葉ではなく声で発する。
亡くなった妻の声で、車の中で台詞を繰り返し流して練習する。
みさきの母との話、本当のことかどうかはわからないけれど、母は心からその言葉(声)を発してた。

声にこだわっている意味はなんだろう。
と同時に車の中の会話だからか、言葉で説明することが多くて、それで違和感ないことが面白いと思った。

エピローグは韓国でしたね。
コロナじゃなかったら撮影は釜山で行われる予定だったらしいので韓国なのかな。
晴れ晴れとしたみさきの表情で納得したけれど、観る側に結末を預けているのも好きです。

タイトルを聞いて最初に浮かんだのは、ビートルズの「ラバーソウル」
1曲目が「ドライブマイカー」で2曲目がシタールで始まる「Norwegian Wood」ノルウェイの森
高校生の時に繰り返し聴いた大好きなアルバムなんだけど、なぜか村上春樹さんで繋がって面白いと思ったのでした。

 

 

ドライブ・マイ・カー  2021年  ☆☆☆☆☆
監督:濱口竜介
出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生
原作:村上春樹

脚本家である妻の音(霧島れいか)と幸せな日々を過ごしていた舞台俳優兼演出家の家福悠介(西島秀俊)だが、妻はある秘密を残したまま突然この世から消える。2年後、悠介はある演劇祭で演出を担当することになり、愛車のサーブで広島に向かう。口数の少ない専属ドライバーの渡利みさき(三浦透子)と時間を共有するうちに悠介は、それまで目を向けようとしなかったあることに気づかされる。

 

No.1



最新の画像もっと見る

コメントを投稿