私たちが何気なく棄てたプラスチック、海に流れてしまったプラスチックが、無情にも海洋生物の命を奪っている。
なんとかならないのかと、ナショナルジオグラフィックのこういうニュースを知るたび、せつなくなる。
四方を海に囲まれた海洋国家として、日本は、率先して海のゴミ回収に貢献してほしいと心から願う。
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太平洋の真ん中で進む海洋汚染
海に流すな、プラスチック
★追記
なんとかならないのかと、ナショナルジオグラフィックのこういうニュースを知るたび、せつなくなる。
四方を海に囲まれた海洋国家として、日本は、率先して海のゴミ回収に貢献してほしいと心から願う。
DVDケースがクジラを殺した
全鯨種の56%が人間のごみを食べていると判明
2015/01/15
2014年8月21日、バージニア州のクリークでイワシクジラの死体が発見された。
(PHOTOGRAPH BY VIRGINIA AQUARIUM & MARINE SCIENCE CENTER)
2014年5月、米国のチェサピーク湾に流れ込むエリザベス川で、バージニア水族館・海洋科学センターの生物学者たちは、異常な光景を目にした。体長45フィート(13.7m)の若いイワシクジラのメスが、上流へ向かって泳いでいたのだ。
絶滅危惧種になっているイワシクジラがふだん見つかるのは、この騒々しい沿岸域からずいぶん離れた大西洋の沖合。「そのクジラは、時期的にも場所的にも本来あるべきでない状態にありました」と、同水族館のスーザン・バルコは振り返る。
クジラは方向感覚を失ったようだった。バルコらは、クジラが船とぶつからないよう追跡したものの、努力もむなしく数日後に死体で発見された。死体を解剖したところ、プラスチックの破片を飲み込んだために胃が裂け、食事ができない状態だったことが判明した。さらに、弱った体で船と衝突し、脊椎を損傷していたこともわかった。「長く苦しい最期だったでしょう」とバルコは言う。
プラスチックごみを口にして命を落とす海洋生物が後を絶たない。特に、海鳥やウミガメは、ごみを餌と勘違いしやすいようだ。消化できないごみを飲み込むと胃腸が詰まり、やがて餓死に至る。海のごみが増えることは、海洋生物にとって、リスクが増えることと同義なのだ。
ごみに満ちた胃で空腹に苦しむクジラたち
この問題に対処するため、海のごみがクジラに与える影響を明らかにする取り組みが続けられている。2014年に行われた調査では、全鯨種のうち56%において、ごみの摂取が報告されていることがわかった。いくつかの集団では、摂取率が31%に上るケースもあるという。
カリフォルニア州にある海洋哺乳類センターの科学者フランシス・ガランドは、「ビーチに打ち上げられるクジラは、死亡したクジラのほんの一部にすぎません」と述べる。プラスチックごみの影響を特に受けやすいのがマッコウクジラだ。ガランドは、「私が解剖したマッコウクジラはどれも、胃の中から網やプラスチック片が発見されました」と言う。
解剖で見つかったDVDケースの破片(写真左)。
(PHOTOGRAPH BY VIRGINIA AQUARIUM & MARINE SCIENCE CENTER)
これが原因でクジラは食事ができなかった。ある海洋生物学者は、「このごみが適正に処理されなかったために、避けることのできた死を招いてしまった」と訴える。
ガランドが最悪のケースに遭遇したのは、2008年のことだ。カリフォルニア州北部の沿岸に、2頭のマッコウクジラが打ち上げられていた。どちらの胃の中も、漁網、ロープ、プラスチックごみでいっぱいだった。1頭の胃は破裂していた。もう1頭もやせ衰えていたことから、食べることができなかったのだろう。2頭ともに、死因はごみと断定された。
発見されたプラスチックの種類や古さから、長年にわたり胃の中に蓄積したものであると推定された。ガランドによれば、1頭の胃からは、400ポンド(181kg)以上のごみが出てきたそうだ。「2頭は空腹に苦しみながら、ゆっくりと死んだのでしょう。大きなクジラがごみで死ぬのを見たのは、それが初めてでした」
米国海洋大気庁(NOAA)漁業局のブレア・メースによると、海を漂うごみで命を落とすクジラやイルカが増えているそうだ。彼女の担当エリアにおいて、2002年から2013年の間にごみが原因で打ち上げられたハンドウイルカは、少なくとも35匹いるという。
原因は、海面を漂うごみだけではない。海底で捕食することで知られるコククジラも、端脚類のような小動物と一緒に、うっかりごみを飲み込んでしまうことがあるのだ。
2010年にシアトル近郊でコククジラが打ち上げられた。37フィート(11.3m)のオスの胃からは、20枚以上のレジ袋、小さなタオル、手術用手袋、スエットパンツ、ダクトテープ、ゴルフボールが見つかった。「人類が海洋環境に与える影響力を示す、あまりにも衝撃的な出来事だった」と、検視に立ち会った研究者は語る。
文=Isabelle Groc/訳=堀込泰三
全鯨種の56%が人間のごみを食べていると判明
2015/01/15
2014年8月21日、バージニア州のクリークでイワシクジラの死体が発見された。
(PHOTOGRAPH BY VIRGINIA AQUARIUM & MARINE SCIENCE CENTER)
2014年5月、米国のチェサピーク湾に流れ込むエリザベス川で、バージニア水族館・海洋科学センターの生物学者たちは、異常な光景を目にした。体長45フィート(13.7m)の若いイワシクジラのメスが、上流へ向かって泳いでいたのだ。
絶滅危惧種になっているイワシクジラがふだん見つかるのは、この騒々しい沿岸域からずいぶん離れた大西洋の沖合。「そのクジラは、時期的にも場所的にも本来あるべきでない状態にありました」と、同水族館のスーザン・バルコは振り返る。
クジラは方向感覚を失ったようだった。バルコらは、クジラが船とぶつからないよう追跡したものの、努力もむなしく数日後に死体で発見された。死体を解剖したところ、プラスチックの破片を飲み込んだために胃が裂け、食事ができない状態だったことが判明した。さらに、弱った体で船と衝突し、脊椎を損傷していたこともわかった。「長く苦しい最期だったでしょう」とバルコは言う。
プラスチックごみを口にして命を落とす海洋生物が後を絶たない。特に、海鳥やウミガメは、ごみを餌と勘違いしやすいようだ。消化できないごみを飲み込むと胃腸が詰まり、やがて餓死に至る。海のごみが増えることは、海洋生物にとって、リスクが増えることと同義なのだ。
ごみに満ちた胃で空腹に苦しむクジラたち
この問題に対処するため、海のごみがクジラに与える影響を明らかにする取り組みが続けられている。2014年に行われた調査では、全鯨種のうち56%において、ごみの摂取が報告されていることがわかった。いくつかの集団では、摂取率が31%に上るケースもあるという。
カリフォルニア州にある海洋哺乳類センターの科学者フランシス・ガランドは、「ビーチに打ち上げられるクジラは、死亡したクジラのほんの一部にすぎません」と述べる。プラスチックごみの影響を特に受けやすいのがマッコウクジラだ。ガランドは、「私が解剖したマッコウクジラはどれも、胃の中から網やプラスチック片が発見されました」と言う。
解剖で見つかったDVDケースの破片(写真左)。
(PHOTOGRAPH BY VIRGINIA AQUARIUM & MARINE SCIENCE CENTER)
これが原因でクジラは食事ができなかった。ある海洋生物学者は、「このごみが適正に処理されなかったために、避けることのできた死を招いてしまった」と訴える。
ガランドが最悪のケースに遭遇したのは、2008年のことだ。カリフォルニア州北部の沿岸に、2頭のマッコウクジラが打ち上げられていた。どちらの胃の中も、漁網、ロープ、プラスチックごみでいっぱいだった。1頭の胃は破裂していた。もう1頭もやせ衰えていたことから、食べることができなかったのだろう。2頭ともに、死因はごみと断定された。
発見されたプラスチックの種類や古さから、長年にわたり胃の中に蓄積したものであると推定された。ガランドによれば、1頭の胃からは、400ポンド(181kg)以上のごみが出てきたそうだ。「2頭は空腹に苦しみながら、ゆっくりと死んだのでしょう。大きなクジラがごみで死ぬのを見たのは、それが初めてでした」
米国海洋大気庁(NOAA)漁業局のブレア・メースによると、海を漂うごみで命を落とすクジラやイルカが増えているそうだ。彼女の担当エリアにおいて、2002年から2013年の間にごみが原因で打ち上げられたハンドウイルカは、少なくとも35匹いるという。
原因は、海面を漂うごみだけではない。海底で捕食することで知られるコククジラも、端脚類のような小動物と一緒に、うっかりごみを飲み込んでしまうことがあるのだ。
2010年にシアトル近郊でコククジラが打ち上げられた。37フィート(11.3m)のオスの胃からは、20枚以上のレジ袋、小さなタオル、手術用手袋、スエットパンツ、ダクトテープ、ゴルフボールが見つかった。「人類が海洋環境に与える影響力を示す、あまりにも衝撃的な出来事だった」と、検視に立ち会った研究者は語る。
文=Isabelle Groc/訳=堀込泰三
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海に流すな、プラスチック
★追記
gooブログのカテゴリーが、以前は30個までしか作れなかったのが、いつのまにやら100個まで分類できるようになっていました。
長く書き続けていると、記事数も増えてきますので、「自然からのメッセージ」の中から、当記事を含めて、いくつかの記事を「海からのメッセージ」として独立させました。
よろしければ、ご覧くださいませ。
長く書き続けていると、記事数も増えてきますので、「自然からのメッセージ」の中から、当記事を含めて、いくつかの記事を「海からのメッセージ」として独立させました。
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