調子に乗ってどんどんカムアウトしてしまっているXtaSEAです。
今日は現職をバラしてしまおうという企みですが、その前に
ichikenさんや
よっちゃんさんのリクエストにお答えして元職の裏話やウンチクなどなど。
かなりの長文になると思われますので、お時間に余裕のあるかたのみお付き合い下さいませ。
まずは洋服屋さん。
当時はまだ、デザイナーズブランドなどというこ洒落た言葉はなかったように思います。
JUNとかDOMONとかのヨーロピアン・スタイルが流行り出した頃です。
キクチタケオさんやイナバヨシエさんが原宿にビギなるブランドをすでに作っておられましたが、ブレイクするのはまだまだ3~4年後で、当時はインディーズでした。
ギャバジン(布地の種類)で作ったダブルのスーツが大爆発で、ボトムはバギーパンツ(ふっる~)。
まずは布地の種類と組み合わせから教わりました。
ウールでもギャバ、サージ、フラノ、ツイードその他諸々。
基本的に布地の厚みの大きく違うものを組み合わせるとおかしい、ということを習いました。
確かにざっくりとしたツイードのトップと薄いギャバやポプリンなどのボトムでは不細工です。
色の組み合わせも大事でした。
トップとボトムには同系色を持ってこないほうがオシャレだと。
例えば紺色のジャケットに、違う種類の紺色のパンツを穿くとおかしくなります。
上が紺なら下はライトグレーとか、反対色をもってくればメリハリが出来ます。
その他、紺系・グレー系×グリーン系・ブラウン系=ダサイとか、この色をメインに持ってくるなら、靴やベルトも含めてこの色を入れてはダメとかを習いました。
しかし、数年後にカネコさん率いるピンクハウス・インゲボルグ軍団がミスマッチ(レーヨンのワンピースにウールや綿を組み合わせた着こなし、色使いも派手派手からモノトーンまで何でもあり)を提唱してから、そういった基本は薄れました。
僕は今もカワクボレイさんのコム・デ・ギャルソンが大好きです。
が、今は年も考えず、もっぱら安上がりのストリート系の服を着てます。
次はクラブDJのお仕事についてです。
いまでこそクラブ遊びなんて言いますが、当時はまだディスコと呼ばれてました。
年のころは22~23で、寝ても覚めてもブラックミュージックばかり聴いていました。
知り合いのソウルバーのバーテンから、
『DJ探してるディスコあるんすけど、空いてる時間にやってみません?』
と誘われてのチャレンジでした。
10代の頃から、三度の飯よりディスコが好きで時間さえあれば入り浸ってた僕は、どうしてもこのDJという仕事がしてみたかったのです。
喜び勇んでDJブースに入ったはよかったけども、何をどうして何をかけていいやらでいきなり頭は真っ白!
流れもへったくれもなく、好きな曲、知ってる曲を次から次へとかけたのですが、踊ってるお客さんやフロアマネージャーからは白い目光線。
帰る頃には、服の重さが3倍になるくらい汗だくで、もうヤバヤバって感じでした。
DJにもいくつかのタイプがあります。
★MC(しゃべり)がメインで、それによってお客をノセるDJ
★つなぎ重視で、お客の踊りを止めないようにするDJ
★つなぎ無視のカットインがメインで、選曲でお客を喜ばせるDJ
などなど、いろいろなタイプがありますが、僕が目指したのは2番目のつなぐDJでした。
DJブースに入ると目の前にはクロスフェーダー(ミキサー)と、好き者垂涎の的のテクニクス・SL1200MK-Ⅱ(ターンテーブル)が2台(当たり前!)並んでいるではないですか!
と言ってもこのターンテーブルがそんなお宝物と知ったのは後々でしたが。
この松下製のターンテーブルは今でも世界中のクラブやDJに愛され続けています。
ダイレクトドライブなのでスクラッチにも適し、プラマイ8%のピッチコントロールがついてるスグレ物です。
それではつなぎについて少々説明を。
家庭用のアンプでは2台のターンテーブルの音を同時にならすのは無理なのですが、クラブではミキサーというものを使って2台以上のターンテーブルを同時にならすことが出来ます。
ただ何も考えずに両方ならせば、ビートもクソもあったもんではなく、耳障りの悪い聞き苦しいものとなります。
そのため、まずは使える曲のBPMを計ります。
BPMとはビート・パー・ミニッツ、つまり一分間にバスドラが何回叩かれているかです。
スピーカーから音が出ているAのターンテーブルの曲のBPMが120だとすると、Bのターンテーブルに乗せる曲も120前後のやつを選ばないといけないわけです。
BPMが一緒だからと言ってビートをシンクロ(同期)させなければいけませんし、シンクロさせればどこからつないでもいいというものではありません。
Aの曲の間奏にBの前奏をミックスするのですが、これが最初はなかなか上手くいきません。
エイトビートは1小節に8拍ですが、Aの曲の1拍目とBの1拍目を合わせなければ上手くつなげたとはいえません。
このときAの曲はスピーカーから音が出ていて、そのリズムでお客さんは踊っています。
Bの曲はまだボリュームを絞っていて、ヘッドホンで聴きながらビートをシンクロさせていきます。
これ以上は非常に専門的な話になりますし、活字にするには僕の表現力が足りませんので省略させていただきますが、これをここぞと言う部分でサクッと決めなければ、お客さんの踊りを止めてしまうことになります。
アガってしまったり、アセってしまうとお客さんから無言のクレームが痛いほど刺さります。
音楽好きが自分の好きな曲を勝手にかけているようにも見えるDJですが、その実、けっこうプレッシャーもあります。
でも慣れれば、最高に楽しい仕事です。
特に土曜日の夜なんかは燃えてましたね。
その気になれば、毎日違った女性をお持ち帰りすることも可能でした。
それではお待ちかねの、僕が経験したブラックなお仕事の話を。
最初にお断りしておきますが、非合法ではあるものの誰か個人を的にかけたり、泣かしたり、傷つけたりして稼ぐと言う代物ではありません。
勿論、コワーイお兄さんや親分さんはたくさん登場しますが(笑)
まずはイカサマ・バカラのお仕事から。
みなさんはバカラというトランプを使ったギャンブルをご存知でしょうか?
簡単に説明します。
トランプを表向きに2枚出します。
1枚をプレイヤー、もう1枚をバンカーと言うのですが、それぞれに1~2枚の札を足してどちらの合計が勝つかにチップを張ります。
このとき2~3枚の札の合計の10の位は関係ありません。
合計数の末尾の数字が9に近いほど強いのです。
まあ、丁半博打やホンビキと同じで、ポーカーやブラックジャックよりもずーと単純です。
麻雀は例外ですが、単純な博打ほど人はのめり込むという事実がありますが。
自分の美容室をたたみ、パチンコとフリー雀荘で食ってた僕にさる筋からオファーが舞い込みました。
大都会東京の某繁華街にある大きなビルのワンフロアーを使って、アングラ・カジノが24時間営業で開かれていました。
対立組織や警察に備えいたるところにカメラが設置されている通路を抜け、奥のおどろおどろしいドアの前でベルを押すと、施錠が解かれ中へ入れてもらえるのです。
暗い店内には大きなバカラ台が3台ほど置かれていて、黒い服を着た怖そうなお兄さんが多数立っています。
情けない話ですが、初めて現場に連れて行ってもらったときには、足がすくみました。
事前に30万ほどのお金を預かり、ディーラー(トランプを配ったり、チップをあっちこっちに押しやったりするそのテーブルのマスター的存在)の出すサイン通りにチップを張る単純な仕事でした。
ディーラーは最初に8組くらいのトランプをかき回すのですが、それでほとんどの札の順番を覚えてしまうらしいのです。
もちろん1度使用した札はすべて廃棄されてしまいます。
お客さんに、おかしな札は使ってないよということで最初に表向けでシャッフルします。
そのときにはどの札がどこにあるかを覚えてしまうということです。
そのあと裏向けにしてもう一度かき回すし、店長らしき人物が2,3箇所カットを入れるのにですよ!
それも8組だから416枚のトランプを。
ディーラーの小指が伸びてたらバンカー、折れてたらプレイヤーという具合にサインが出ます。
ワンシュート(1勝負)約1~2分にミニマムベット(最低賭け金)2万円という気の遠くなるような賭場で、いつも喉がカラカラでした。
現ナマとチップがテーブルの上でやり取りされる荒っぽいシステムで、目の前で謎のアジア人が2千万円ほど負けていたのを目撃したこともあります。
一瞬のあいだにその指ローズ(サイン)を盗み見して、あとはあらぬ方向を見ながらチップを置くわけです。
2時間ほどのお仕事で、30万を150~200万くらいにして帰るのですが、いつも後ろから怖いお兄さんが追いかけてきてこないかビクビクしてました。
イカサマがばれればディーラーやバックともども簀巻きにされて、東京湾かどこかに捨てられるのは確実で、今から思えばよくやってたなって感じです。
ちなみにギャラは2~3時間で10万(やすっ!)、および宿までのタクシー代でした。
金持ちの遊び人に見えるような服装をしなくてはならず、経費もかさみましたが、命を取られたら堪らないので、しばらく稼いでとっとと辞めました。
でもこういった話はどこの闇カジノでもあったようです。
とっくにその頃のカジノはつぶれているので、こうやって暴露出来るんですが、今も当時の若いディーラーのお兄ちゃん、生きてるんでしょうか。
次に頼まれたのは、とあるパチンコ屋のオーナーの裏金作りです。
これも現在では不可能な仕事なので暴露してもいいでしょう。
お金を抜く相手は、警察官僚の天下り先のパチンコ専用プリペイドカード会社です。
一流商社が多数スポンサードしているこの会社が、いかに警察と役人の汚さを顕しているかは今回省略させて頂きますが、一般国民が聞けばなんだかなぁと思うと思います。
プリペイドカードを購入しないと遊べないパチンコ機をCR機(カード・リーダー機)と言いますが、これが登場してしばらく後には、変造カードが出回り出しました。
テレカと同じ要領で、使用済みの磁気カードの裏面を無価から有価に変えてしまうのです。
これを使用されてもパチンコ店は一切損しません。
その日カードで売り上げた玉はすべて電話回線でカード会社に計上され、後で店に払い戻されます。
ところでこのプリペイドカード、NTTデータ通信が作ったのですが、変造は出来ても偽造は出来ません。
化学の粋が集められていて、韓国や北朝鮮でも無理だったようです。
仕方がないからの変造ですが、これもテレカ同様、使用した目安にパンチ穴が開いてしまうのが難点でした。
当時は1枚何円かでパンチ穴を同素材で埋める職人さんもいたようです。
じゃぁホンマモンをパンチ穴を開けずに書き直してしまえと、店主と結託してCRサンドに細工をして穴を開けずに回収しました。
これはあくまでも組織側の人間だけが出来ることだけで、一般のお客さんが使用したカードにはちゃんと穴が開きます。
組織の何人かで打ちまくれば店にはかなりの売り上げが払い戻されます。
そしてこちら側は穴の開いていないカードを、新品同様に書き換えて売ってしまうわけです。
すべての作業で浮いた莫大なお金を店のオーナーと組織で分けるのです。
被害者はカード会社だけです。
一年で関西・関東の2社で900億ほど被害を出したようですが、胸が痛むような相手ではありませんでした。
カード会社が自衛のため法律を捻じ曲げ、ハウスカード・システムにしたためこの仕事も終わってしまいました。
この後、巨大パチンコ・チェーン企業を相手にヤンチャしましたが、これはちょっとヤバイのでモザイクをかけさせて頂きます。
しかしやってることは盗賊そのもので、何人かの生活安全課の刑事に張り込まれたことも。
お天道様の下を堂々と歩きたい僕は、ある日を境にぷつっと辞めてしまいました。
月収100万以上あったのですが、カタギに戻りたい気持ちの方が強かったようです。
この後しばらくして現職にありつくんですが、ココからは次回へ。