昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い 吾昭和の記憶を物語る
 

老いた母ひとり 残して行かれない

2014年11月18日 08時33分26秒 | 5 青春のひとこま 1973年~

「ありがとう、浜村淳です」 と、いう ラジオ番組があった
投稿された体験談を読みあげながら、曲を流す
いつもの様に女性からの哀しい体験を読みあげる
七五調の流暢な語りに、リスナーは、心動かし、泪し、聞き惚れるのである
私も聞き入っていた
体験談を読み終える頃、曲のイントロが流れる
そして
私の心に染入ったのが、この曲なのである

 嫁入り舟

傘に絡みつく 柳を除けながら
雨の掘割を  嫁入り舟がゆく
彼のもとへ 嫁ぐ人を  私はずぶ濡れて
みつめている 頬の涙  拭いもせずに
今日の最終で  この町出たいけど
老いた母一人  残して行かれない

濡れた白壁を  かすめて飛ぶ燕
菖蒲の咲く中を 嫁入り舟がゆく
彼の手紙 細く裂いて 水面に浮べてる
悲しみなど 誰も知らず 小舟に手を振る
今日の最終で  この町出たいけど
老いた母一人  残して行かれない

一度だけ 彼にあげた 唇かみしめて
雨の中に かすんでゆく 幸福見送る
今日の最終で  この町出たいけど
老いた母一人  残して行かれない

今日の最終で この町出たいけど
老いた母一人 残して行かれない


 野路由紀子
 昭和48年(1973年)


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