「ありがとう、浜村淳です」 と、いう ラジオ番組があった
投稿された体験談を読みあげながら、曲を流す
いつもの様に女性からの哀しい体験を読みあげる
七五調の流暢な語りに、リスナーは、心動かし、泪し、聞き惚れるのである
私も聞き入っていた
体験談を読み終える頃、曲のイントロが流れる
そして
私の心に染入ったのが、この曲なのである
嫁入り舟
一
傘に絡みつく 柳を除けながら
雨の掘割を 嫁入り舟がゆく
彼のもとへ 嫁ぐ人を 私はずぶ濡れて
みつめている 頬の涙 拭いもせずに
今日の最終で この町出たいけど
老いた母一人 残して行かれない
二
濡れた白壁を かすめて飛ぶ燕
菖蒲の咲く中を 嫁入り舟がゆく
彼の手紙 細く裂いて 水面に浮べてる
悲しみなど 誰も知らず 小舟に手を振る
今日の最終で この町出たいけど
老いた母一人 残して行かれない
一度だけ 彼にあげた 唇かみしめて
雨の中に かすんでゆく 幸福見送る
今日の最終で この町出たいけど
老いた母一人 残して行かれない
今日の最終で この町出たいけど
老いた母一人 残して行かれない