秋深まるある朝、ふと思い立って二月堂へと向かいました。
大仏殿の北側から向かう石畳の途中、古都の趣(おもむき)がいっぱいのこのアングルで、PEN-FTのレンズを二月堂に向けました。
何枚かシャッターを切っていると、土塀越しに紅く色付いた楓の下を、紫色の袈裟を纏ったお坊さまが二人、こちらの方に下りてきました。
PENを手に降ろし、お坊さまが通り過ぎるのを待っていると、「おはようございます。」と、にこやかに挨拶をしていただきました。
もちろん僕も挨拶を返し、また朝の静けさに戻りました。
なんでもない、朝のひとときですが、それだけで十分に気持ち良くなれる。
でも、そのあたりまえこそ大切なことなのだと思うのです。