昨夕 犬の散歩から帰った私は
息子に飲みに誘われ街に行った
散歩から帰ると
いつも庭の水撒きを日課としている私に代わって
昨日は息子が水撒きをしていてくれた
これまで 息子と外で飲んだ記憶は
数えるほどしか無かった
外でしか話せない様な
なにか男同士の重大な話でも・・・・・・・・
と 少し考えたりもした
息子の 珍しい風の吹き回しに
女房も喜んでいいのか 心配なのか
怪訝そうな顔をして
私を よろしく頼むと言って
送り出してくれた
会社の飲み会などの時
息子は 決まって帰りは午前様
寒河江の飲み屋街は
自分の庭先のようなものに違いない
どこか美味しいものを
食べさせてくれる所へでも
連れて行ってくれるのかと 少々期待したのだが
行き先を尋ねたら
今の私に1番似会っている所と思ってか
先日 このブログに書いた焼き鳥屋だった
カウンター席は10席 やはり満席だった
奥にも座敷が2つ そこも満員だった
カウンター席がある店の
出入り口の戸の脇の隅が
3角コーナーの形をした
待合スペースになっていた
そこには
3角形をした花台のような小さなカウンターと
3名分の丸いすが置いてあった
私達はそこでカウンター席が
空くのを待つことにした
2~3分もすると
カウンターに座る他の客越しに
注文は何にするかと
店の息子さんが聞いて来た
我が息子 ビールと何種類かの焼き鳥
を注文
それから15分ほど
待合スペースの小さなカウンターの前で
ビールと焼き鳥を食べながら
たまには こんな窮屈な場所で飲むのもいいものだ
等と たわいも無い話をしながら飲んでいた
暫らくして
客の2人が帰り仕度をして
店の主人に勘定を頼んだ
すると
箱に収まった
今では相当珍しい
少し手垢で所どころ黒く汚れた
年代物のような五玉のソロバン
を出してきた
皿の上に並んだ串の本数
並んだ皿の枚数
ビールの空き瓶の本数
を手際よく数え
それを
まっすぐ伸ばした
左の手の平にソロバンを載せ
もう片方の右の手の指先を
手馴れた仕草で動かし
ソロバン玉をパチパチ
と 音を鳴らし弾き
五玉のソロバンに金額にして
移し替えてていった
そして最後に
客に 酒の空のコップを指差し
何杯でしたっけ・・・・・?
と尋ねた
息子曰く
この店は 伝票のようなものは無く
後で 串の本数 皿の枚数・・・・
を 数えて清算をするのだが
それが あまり正確なものではないようだ・・・・
との 事
そして 代金は飲み食いした正確な金額より
いつも決まって安い
との 事
途中 串を床にそっと捨てても分らない
酒はいくら飲んだか自己申告
ごまかそうと思えば
いくらでもごまかせる筈なのだが・・・・・・
この店でそんなことをする客はいないと言う
しかし
いま時 客側と店側とでお互い
自己申告 と 五玉のソロバンの組み合わさった
昔ながらの
互いの信用を重んずる 商い
が成り立っているとは
寒河江市民にも
まだまだ粋なところが残っているようで
私には それが嬉しかったし
この店の
一番美味しいご馳走だった
客が帰って 私達は早速カウンター席に移った
それから ゆっくり 焼き鳥 煮込み 豚足(私は食べれない) 熱燗・・・・等を食べたり飲んだり・・・・・・・・・・・・・
久し振りにいろんな話をした
私にとってビールは10日振り以上の美味しい飲み物だった
ビールが咽喉元を通っていく爽快感
焼酎や日本酒では決して味わうことが出来ない
それは 1日の終わりを感じる
なぜか 刹那のようなもの・・・・・・・・・
私達は1時間半ほどそこで時間を過ごし
帰る事にした
帰りに女房へのお土産の焼き鳥を焼いてもらい
息子は勘定を頼んだ
最後に私の前にあった
空のコップを指差され
何杯でしたっけ・・・・・?
と 先ほどの客と
同じように聞かれた
久し振りの寒河江の夜の街
土曜日とあって これでも
平日より少し多めの人通り・・・・?
それでも飲み屋街は
この不景気な時勢を反映してか
あちこち閉店した店が目立ち
人通りも疎らだった
それから私達は
もう1軒別の店に寄り
10時前に代行車で帰ってきた
帰りの車中・・・・・・
ふと思い出したことがあった
結局 息子からは何の話も 相談も無かった
もちろん私は 今日なぜ誘ってくれたか
その理由を尋ねることもしなかった
定年を過ぎた父親と 息子・・・・・・・・・・
お互い何も言わなくても
ふと 無言で心に通じるものがあったからこそ
ふれなかったような気がした
・・・・・・・・・・・・・・・・と昨夜
家に帰ってからの女房と私の感想
だった・・・・・・・・・・・・
が・・・・・・・・・・・・・・・
今朝 私が起きてきてみると
息子が朝から行方不明だと
女房が珍しく騒いでいた
暫らくして息子から電話があった
風呂に入ってから
彼女と仙台に買い物に行ってくるので今日は遅くなるとの事
・・・・・・・・・・・・・・・・・そういう訳だったのか?
してやられたり
ご破算な~り ・・・・・・・・・・・・・・・・・でした
おしまい