イーオン・フラックス

　モンスター見て以来、ずっと見たかった作品です。モンスターのところでも書きましたが、あの汚らしい緩んだババアやった3ヵ月後にこれやるんだから、役者はすごいです。まあ、考えてみれば、あれだけ緩んだ体を元に戻すなら、トレーナーも欲しいだろうし、なんか目標あったほうがやりやすいだろうし、何より、ギャラもらってやった方が励みにもなるでしょうしね。
　コスチューム的には、ベッキンセールのアンダーワールドとかぶりますし、おなじくアクション満載なので、どうしても比べてしまいますが、方向性はかなり違う作品です。
　元は、アニメ作品だったようで、特典で紹介されてましたが、日本のアニメの感覚からすると、不気味悪いキャラで、よくこんな絵でファンがついたものだと驚いてしまいます。
　未来が舞台の作品ですが、どうしたわけか、室内のセットとか自宅のセットとか、内装がなんというか、小洒落た居酒屋風のテイストがなんともいえません。コンクリ打ちっぱなしの壁面に木材を多用した掘りごたつ風味のテーブルとか、竹製のジャラジャラしたものが吊ってあったり、どう見ても居酒屋です。
　屋外は、ほぼロケでドイツで撮影しているそうですが、大半が、保健所（野良の動物を回収してきて、したり、引き取り手を捜したりするところです）と火葬場（日本でも見ないようなすごい大規模な火葬場ですが、ドイツでこんなに火葬のニーズがあるとは驚きました）、あと、ナチの時代に建設された、巨大な風洞施設で撮影されています。どの建物ひとつとっても、とても本来の用途が想像もできないようなモダンな建物で、僕はてっきりセットを組んだんだと思っていました。
　ロケといえば、驚いたのが、1600年代に建てられた獣医学校の解剖教室も使用しているのですが、これが、メーキングで見ると立派な建物なのですが、本編で見る限り、金が足りなくて、適当に組んだセットを照明でごまかしたような感じに写っています。
　まあ、印象からいうと、未来忍者がモダンな居酒屋で大暴れな話なのですが、都市の雰囲気もいいですし、小道具も面白く、お話も、呆れるようなところはないので、楽しめました。
　ただ、未整理な部分も結構残されており、要検討ではあります。
　ジュラパの２でティラノサウルスハントしたり、炎の英雄シャープの敵役など、腕っ節強くて柄悪い役をよくやっているピート・ポッスルウエイトが、なんとも弱弱しい変な格好した善玉を演じていたのがちょっと笑えました。
　キングダム・オブ・ヘブンでギーを演じていたマートン・ソーカスが、ヒーローを演じていますが、なかなかいい感じでした。まあ、印象薄いといえばそうなんですけど、このキャラ自体、そんな感じなので＾＾；
　何故か、彼が、日の丸しょってポーズをつけているでっかいポスターが街に描かれていて、妙な感じでした。
　全体的にジャパンテイストが漂っているのは、監督が日系のせいでしょうかね。まあ、あくまで隠し味程度ですが。
　原作も監督もアジア系で、衣装や美術スタッフはドイツ、役者は、イギリス、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカというあたりで、未来の景色も、ブレードランナー以前の未来描写を垢抜けさせたような雰囲気に仕上がってます。下手なことを創作するより、ロケで面白い建物を拾ってきて使ったのは正解でしょう。アート名雰囲気が画面にも漂っています。
　割とお勧めな一本だと思います。

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