インドの叙事詩「マハー・バーラタ」の一部ということだが、映画「オッペンハイマー」の中で、トリニティ実験での核爆発が成功したときに、オッペンハイマーがつぶやいた「我は死なり、世界の破壊者なり」という言葉の出典と言われている。
その文言がどこにあるのか、探したのだが、ぴったり同じものは見つからない。
検索してみると、どうやら、第十一章の中で、クリシュナ神が自分のことを
「私は世界を滅亡させる強大なるカーラ(時間)である」
と語っているところのようだ。
映画に描かれているエピソードは、オッペンハイマーが晩年に受けたインタビューに由来しているらしい。その原文は、
> We knew the world would not be the same.
> A few people laughed, a few people cried, most people were silent.
> I remembered the line from the Hindu scripture, the Bhagavad-Gita.
> Vishnu is trying to persuade the Prince that he should do his duty and to impress him takes on his multi-armed form and
> says, "Now, I am become Death, the destroyer of worlds." I suppose we all thought that one way or another.
YouTube の動画もあった。
オッペンハイマーが参照した英語訳が「カーラ」を「死」と翻訳していたのか、あるいは、オッペンハイマーはサンスクリット語を読めたという話もあるようなので、そう解釈したのか、あるいは、別のところ(十章)で、神が
「私は一切を奪い去る死である。生まれるべきものの源泉である」
と語っているところと混同していたのかもしれない。
原文が読めるサイトもあった。
改めて読んでみると、仏教のベースとなっている無常観や、自我は不要だ、という思想が何度も繰り返し語られていて、仏教を理解するためにも、インド神話やヒンズー教を理解するのは役立ちそうだ。神=自然・宇宙と読み替えれば、現在の物理学ともそれほど矛盾はしていないだろう。ギリシャ神話との比較なども面白そうだ。
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