3月21日の告示まで1カ月を切った知事選の立候補予定者説明会が21日、県庁であった。すでに立候補を表明している無所属現職の荒井正吾氏(74)、いずれも無所属新顔で医師の川島実氏(44)と弁護士・前参院議員の前川清成氏(56)の3陣営が出席した。

 4選を目指す荒井氏はこの日、奈良市四条大路1丁目で事務所開きをした。昨年12月上旬の立候補表明後、自民、公明、国民民主各党が県組織レベルで推薦を決めた。連合奈良やJA、県医師会など約200団体の推薦も集める。

 政策集で、県政の継続的な発展を訴える。リニア中央新幹線奈良市付近駅の確定▽京奈和自動車道の整備▽なら歴史芸術文化村(天理市)の整備――などを積極的に進めるほか、地域医療の充実、観光や農林業の振興、経済活性化など34項目の施策を挙げる。

 ログイン前の続き川島氏は「住民との対話がない政治に危機感を覚えた」と12月中旬に立候補を表明。政党の推薦はない。政治団体「対話でつなぐ奈良の会」を結成し、対話集会の開催やインターネットでの情報発信に力を入れる。県立高校再編計画に反対する県民らが支援する。

 主な政策は、高校再編計画の見直し▽奈良公園内の高級ホテル建設の中止▽地域別診療報酬導入への反対――など。このほか、公共施設の耐震化地場産業の振興も訴える。共産党県委員会は政策の一致があるとし、川島氏を応援する。

 前川氏が立候補の意思を明らかにしたのは1月中旬。「県政のあり方をゼロから検証し、税金の使い道を一から見直す」と語った。過去の参院選は連合奈良の支援で臨んだが、今回は各党・団体からの推薦を受けていない。

 2月中旬から配り始めた政策ビラには「子育て・教育環境日本一」を掲げ、教育格差解消に向けた公教育の水準向上▽給付型の奨学金の創設▽県立高校再編計画の撤回――などを訴える。無担保融資による起業支援や関西広域連合への全面参加も盛り込んだ。

 川島、前川両氏の間では昨年12月7日、現職の対立候補を1人に絞る覚書が交わされている。それぞれ調印したが、川島氏は16日に大和郡山市で開いた集会で「一本化には応じられない。覚書は破棄します」と宣言。その上で前川氏も立候補の意思は崩していない。両氏とも現職に対抗するには一本化が不可欠だとの認識は一致しているが、調整は難航している。