宝物。

ひとり言など

キーワード…

2014-05-03 00:01:44 | 

わたしはあるひと宛てに、3つのキーワードを打った。

調べると居場所がわかるキーワードを…

そして、その3つのキーワードの後に

”わたしは、ここで暮らしている”と…

 

きっと男性のことを探してくれるだろう…

”かけがえの無い存在だった”に違いないからだ。

 

男性は、いつもの様に眠りについた。

日中働き詰めなのでぐっすりと眠っている。

相変わらず、子どものような寝顔だ。

しばらくしてわたしは痕跡を残さないように

荷物をまとめ静かに外に出た。

 

月明かりの中で水の音だけが聞こえた。

そして、エンジンをかけその場を離れた。

 

急に雨がしとしとと降り始めた。

やがてそれは激しいものとなった。

風がふき、木々が猛獣のように暴れ回り

明け方までそれは続いた。

まるで、今までの出来事を消滅させるように…

 


ある決断…

2014-05-02 23:25:51 | 

一緒に過ごすうちに、わたしはだんだん不安になってきた。

今は、あの日の出来事を忘れているけれど、

いつか思い出す日がくるかもしれない。

 

わたしのあの日の姿を思い出してしまったら…

そして、男性がそれを口にしてしまったら…

わたしの体はすべて雫となり消滅してしまう。

 

満月の夜…

 

二人で月を眺めている…

 

心が震えた…

 

わたしは、この時ある決断をしたのだった。

 


相関…

2014-04-30 09:05:51 | 

平屋の中で目覚め、手を伸ばし少し木の戸を引くと、

外はもう明るくなっていた。

あたり一面霧に覆われていて、その霧はすべての生き物に

生きる力を与えていた…

花びらの中心にも、長い葉っぱの先にも雫がついて、

それらをしっとりと濡らしていた。

やがてそれらに朝日が差し込み幻想的な風景が広がった…

 

昨日の出来事を思い出していると男性が目を覚ました。

わたしはすぐに、「あなたは誰ですか…」

と聞いた。

 

しかし、その男性は記憶を失っていて

何も思い出すことが出来ないようだった。

自分が誰で、何をしに来たのか…そして昨日の出来事も

全て忘れていたのだった。

 

それから数日たった…

その間の記憶も曖昧で、ときどきうずくまって痛みに耐えている姿を見た。

しかし、その時以外は活き活きとして少年のように笑い

全身汗だくになってたくましく働いてくれた。

二人とも本当に些細な事でたくさん笑った…

そうしているうちに、その男性の素性などどうでもよくなっていった。


回帰…

2014-04-30 06:26:41 | 

…どうやら、二人の命は奪われなかったようだ。

わたしは、水の底から男性を抱いたまま水面に上がった。

満月がキラキラと輝き水面にも写っていた。

 

元の姿に戻るまで後数時間…

人魚の姿のまま男性を抱き体が温まるのを待った。

 

痛みが体中を支配する。

金色の髪の毛は全て抜け落ち水に溶け、黒髪に変わる。

抜けるような皮膚の色も元通りになった…

そして濡れた体は、少しずつ服に覆われていった。

わたしは、元の自分に戻った。

 

やがて男性は目を覚まし、二人で平屋の中に入り

その夜は、そのまま眠ったのだった。