叔母のはなし

心の底から
嬉しさがこみ上げて来て
目の奥があつくなった

今日のお昼は 特別で会席料理

鮪の刺身にローストポーク
おかずの種類がいつもより
多くて美味しそう

特養に居る 叔母の昼食

昨年の秋
誤嚥性肺炎で二回目の入院をした
食べたいと言う言葉に反して
口を開けてくれない

体力も落ち 点滴栄養では限界を迎え
胃瘻か鼻からの栄養か選択を迫られた

悩み続ける私に担当ナースが
シリンジ（針の無い注射器）を提案してくれ
以来 ずっとペースト食だ

退院後は施設に
食べさせに来て欲しいと頼まれ
それからは
週に2、3日は叔母とランチ

口の端から少しずつ押し出しながら
の食事は
時間もかかるし、むせないように注意が必要で思う様には進まない

それでも根気良く
声を掛けながらしっかり食べて貰う

極たまに一口だけ
スプーンを使えると 本人以上に嬉しい

今日の叔母はご機嫌がいいのか
二言、三言話してくれ、笑顔を見た

美味しい食事に食欲が出たのか
最初からデザートまで
スプーンで完食

『うまい！』

そんな言葉まで 出た

当たり前の事が
今の私には凄く嬉しい

彼女の笑顔が何より励みになる

元気なく 食事の進まない日は
私も気分が沈む

認知症の叔母が
今、可愛くて仕方ない

思うことは たくさんあるけれど
まずは
そう思える環境にあることに
感謝しています