終の棲家‥‥

車で走ること約１時間半


田舎の小高い山の中腹にありました


外観はまだ新しく　洒落た建物


玄関から見える景色は　田舎をぐるりと見渡せて気持ちがいい


一歩　館内に入ると


やっぱり


病院とは少し違う　独特の臭いと雰囲気‥‥


人はたくさんいて　話し声も　テレビの音も　音楽も　溢れているのに


一人　ひとりが　　どことなく淋しそう‥‥




いつ訪ねて来るか　わからない娘を


ひとり　ポツンと待っていた母を‥‥　　思い出した


遠くからでも　娘の顔はわかるのでしょう


とても嬉しそうで幸せそうな笑顔で迎えてくれた


そして‥‥淋しそうな笑顔で　私を見送った父　


また今年もお盆を迎えて


もっともっとたくさん　会いに行ってあげれば良かったと


何一つ　親孝行できずに申し訳なかったと


心の中で謝り続けてあの笑顔を思い出す　


私なら　その寂しさは　　きっと耐えられない　


「　ごめんね‥　」





おばあちゃん　


あなたが私を忘れても　大丈夫　　私が覚えているから


だから


また　顔を見に来よう　　


隣で座っているだけしか　できないけど