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癒されることばの宇宙(コスモス)・・・金子みすず

2008年03月06日 | 川柳

        広大無辺な宇宙の絵巻・・・佐治晴夫(宇宙物理学者)
                   

 一枚の紙の中に雲や太陽が見えますか。紙の原料はパルプ、樹木です。樹木は水によって育ちますが、その水は雨がもたらし、雨を降らせるのは雲であり、その雲をつくるのは太陽です。そこで、一枚の紙の中に、太陽や雲の気配を感じ、雨や風の音を聞くなどというといかにも詩人の視点であるかのように思われるかもしれませんが、これは科学によってもたらされる事実であり、このことに気づくまなざしは科学のセンスでもあるのです。言葉を変えればすべての存在は目に見えないほかのものたちとのかかわりの中でできているということです。

 今世紀が生んだ最大級の天才童謡詩人、金子みすずさんは、やさしい詩のかたちをとおして宇宙の根源的様相を見事に表現しているという意味において、詩人の心と科学の目を併せ持った希有な天才であったといえます。

                舟乗と星  

舟乗は星をみた、
星はいってた、「おいでよ、おいで。」
波はずいぶん高かった。

舟乗の眼はかがやいた。
風もおそれず、波もみず、
星へへさきをむけていた。

舟乗は岸へついてた、
知らぬまに。
「星か、星か、」とおもってた。
星はやっぱり遠かった。

舟乗をにがしたと、
波はなおさら怒ってた。

*海を舞台に舟乗と星と波の童話のような詩です。
        壮大で、幻想的な宇宙感を感じられますが、
                 自分の足元にきちんと着地をしている。
 (これが、金子みすずさんの単なるメルヘンではない才智だと感じています。)
         佐治先生のお話にそって、選詩しました。





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