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 「潮となりて高鳴りをせむ」小樽商業高校100周年に寄せて。

2013年10月17日 | 川柳

             北海道小樽商業高校百周年記念誌寄稿                           

            「潮となりて高鳴りをせむ」

                                                       昭和四十三年卒業

                                                                   久保裕美子(旧姓久保)

  「ねえ河原・・ボート部って面白い?」一九六六年夏インターハイ種目ボートナックルフォアで全国優勝を遂げたメンバーのひとりが私の前席に座っている。

高校二年、晩夏のこと・・・。

高1・高二で水泳部に所属していた私は自分の前途がもやもや見えなくなっていた。

水泳二百m自由型でインターハイ出場の資格を得ていても全国レベルには程遠く、コーチも「どうせビリだよ。」と言われ、出場断念を余儀なくされた。

競技レベルが全国レベルに到底及ばないのなら頑張る意味が見つからなかった。

かくして、高二の夏は全道優勝を目指す気さえも失せていた。

 それが!樽商の女子ボート部全国優勝!体育館で広島宮島名物「大きなしゃもじ」を持ちながら喜びに満ち溢れた彼女等の勇姿にあこがれと賞賛を感じずにはいられなかった。

 また、三段跳び全国二位に輝いた青木澄雄氏も当時の運動部のヒーローでもありました。

「面白いかどうか・・??一度ボートに乗ってみればいいよ。ちょうど来年はコックスと漕手一人足りないから・・。」と河原次期主将の言葉に甘え、北海製罐の艇庫から心地よい潮風に身を打たれながら艇と共に防波堤へと向かった。

長いオールを初めて膝に乗せ、心は有頂天、加山雄三海の若大将気分。『幸せだなー海って大きいなあ!いいなあ!』と身を震わせながら小樽湾から望むすばらしい景色に感動していた。

当時、顧問だった乙坂先生が「くぼ!ボートはいいぞ!毎日この美しい夕陽が見られるんだ!まして、無料でボートを漕げるんだ。おまえ・・日本一になりたくないか!」

『日本一!』内心、はい!と大声で答えたかったが何分にもまだ私は大いなる未熟者。

 『日本一になるぞ・・いつか絶対に!』自分の心にしっかり火を灯し強く誓った。

奇しくも卒業して三年目の鹿児島国体で全国優勝はできた。

それも、樽商時代から共に漕いだ若杉・菊地・故鎌田氏らと共に幾多の困難や、へたれの私を良い方向へと温かく厳しく導いてくださった沢山の諸先輩、オリンピックコーチ・堤防を毎日走って応援していただいた顧問の佐藤晃一先生。工業高校顧問故坂下先生にも陰日なたで指導を受け支えていただいた。

 それも樽商に入学したご縁が誇りある充実した青春を走り切ることができたのです。

 「波に砕くる月にはあらで潮となりて高鳴りをせむ」すばらしい精神性と文学性に優れた校歌も少しは我が身の血肉になっています。

開校百周年バンザイ!。

そして、往時の健児等五百に心より合掌です。

 

 

 

 

 

 

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