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「ガンの治療がもう一つのガンをつくっている」
ガンの治療がもう一つのガンをつくっている
ここで糖鎖のはたらきと密接な関わりをもつ重要なテiマ、自律神経系がヒトの免疫機
能にどうかかわっているのかという問題に触れておきましょう。最近の研究で、白血
球の穎粒球は交感神経がはたらくときに増大し、リンパ球は副交感神経がはたらくと
きに増えることがわかりました。つまり免疫系は自律神経に支配されていたのです。
このことは大変重要なことで、ここにガンをはじめとする病気を予防するヒントが隠
されています。ガンになったり生活習慣病にかかる人は、忙しい生活を送っている人
が多いように思います。これまで、忙しい人は生活が乱れがちなのでこれらの病気に
かかると考えられてきましたが、理由はそれだけではなかったのです。
忙しく行動している人、いつもストレスを感じている人は、交感神経優位の時間が長
くなっています。脳波でいえばべータ波の状態が続いている人です。そういう人は血
圧が高なったり、腸の運動が抑えられて便秘になったりします。それと同時に穎粒球
の数も増大していることになります。
穎粒球の寿命は短く、二日程度です。細菌に遭遇すると、穎粒球のなかの分解酵素や
活件酸素はその細菌との戦いに向けられ、穎粒球は使命を果たして死ぬことになりま
す。ところが必要もないのに交換神経に刺激されて数が増え過ぎると、穎粒球は外敵
に対して使われることなく寿命を終えることになります。どうやらそのとき、穎粒球
のなかの活性酸素が外(体内)に放出され、正常な細胞や組織に害を及ぼすようなので
す。
いずれにしろ、増えすぎた傾粒球は体内のあちこちで悪さをしていると考えらえます
。
ます。新潟大学大学院医学部の安保徹教授は「老化した消化管や肝臓の細胞の破壊に
も穎粒球がかかわっており、増えすぎた穎粒球が老化した細胞だけでなく、正常な細
胞をも破壊してガンをつくるのではないか」と発表しています。増えすぎた穎粒球が
ガンを引き起こすという説です。
この説に従えば、抗ガン剤治療、放射線治療は、交感神経を刺激する治療法なので、
ガンを治すと同時に新たなガンを作り出す要因になるともいえます。
このことがガンの再発、あるいは転移の原因の一つと考えられるのです。
一方、高僧といわれるようなひとは、健康で長生きすることが知られています。そ
れは、僧侶の質素な食生活や規則正しい生活によるものだという考えが一般的ですが
、それ以上にアルファ波の状態でいる時問の長さにこそ、その理由があるようにも思
えます。
すなわち、副交感神経優位の生活です。副交感神経が優位になるとリンパ球が増大し
ます。体内で生じた異物を処理するリンパ球のNK細胞や丁細胞が増えれば、毎日発生
するガンのもとを断ち切ってくれるでしょう。副交感神経優位のゆったりした生活を
心がけることが、ガンや生活習慣病を防ぐ大切なポイントなのです。