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風の向くまま、気の向くままに……

団塊世代の人生の軌跡

2007-04-22 07:41:33 | 文化・学術
 「小さい頃は貧乏で、米びつのお米の量ばかり気になる生活でした。小学生のころ、用事があり市電に乗ろうとしたが、家中探しても12円しかなかった。…12円で片道乗ろうとしたところ、1円足りないといわれ…『家中探せば1円くらい見つかるだろう』といわれ、傷ついた」と、4月22日付日本経済新聞の「マイバランス」欄で残間里江子(ざんまりえこ)氏が取り上げられている。
なんでもかんでも腹が立つ

角川春樹事務所

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 団塊世代のひとつの人生の軌跡である。
 私自身も、まさに団塊世代の一人で、同一次元の記憶をたどることができる。小学校高学年の頃、埼玉県の熊谷(籠原)から上野まで、当時の国鉄に乗り、上野公園内にある「国立科学博物館」に通うのが楽しみであった。
 当時、籠原から上野まで、片道110円、往復で220円。科学博物館の中の食堂でうどん等の食事代が60円。合計280円が必要であった。
 当時家は貧乏な農家で、親は、毎月の給食費捻出に汲々としている状況で、もちろん決まった小遣いなどはなかった。
 そのために、新聞配達の仕事(今風にアルバイト)をして、小遣いを貯め、300円を手に上野通いをしたものである。
 朝早く家を出て、科学博物館が開館するのと同時に入館し、途中館内の食堂で昼食をとり、閉館までその中で遊ぶことが、当時の私にとり最大の楽しみであった。館内には、エジプトのミイラ、科学実験過程を体験できる装置がいっぱいあり、開館から閉館まで遊んでいても、飽きることはない。

 残間里江子氏の人生の軌跡とは多少異なるのかもしれないが、少なくとも、「貧困体験」という意味において、同一次元性を感じる。残間氏は、2005年に、シニアにライフスタイルを提案する会社を作った由。
 記事の中で、「女性は、ギャルからおばさんになるのでなく、その間に『大人の女』が存在していいはず。新しいシニア像を提案し、既成概念を打ち破りたいですね」との抱負を語っている。
 「ギャル → 『大人の女』 → おばさん」をどのように理解すべきか、またそれが、残間氏の「新しいシニア像の提案」とどのように結びつくのか不明確であるものの、団塊の世代の一人として頑張ってもらいたいものである。
モグラ女の逆襲―知られざる団塊女の本音

日本経済新聞出版社

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