先月の終りに高知県立美術館で開催中の『福富太郎の眼』展へ行ったことを綴ると
blog友の まりぃさんからコメントをいただき
芸術新潮2021年5月号が 昨年の発売時まりぃさんに届いたそうで 送り主は
高校の同級生でこの号に記事を書いた 早稲田大学名誉教授の 丹尾安典氏です。
即楽天に注文し待つこと10日。折りしわ一つない 新品の芸術新潮が届きました。

丹尾先生は『自分史としての戦争画』の題名で 13才で敗戦をむかえた福富太郎氏の
戦争画への想いを 書いておられました。 宮本二郎 (少年兵 昭和17年)

美人画だけでなく 戦争画の多くを収集していた太郎氏の 戦争関連画96点を
2018年太郎氏没後 夫人が 東京都現代美術館へ寄贈したそうです。
藤田嗣治の『千人針』『靖国神社』を入手した時の 太郎氏の心情やエピソード等
今まで知らなかった福富太郎を 丹尾先生が教えてくれました。
戦争画の中でも この絵の周りからは しんとした空気を感じました。日露戦争で
戦死した夫の遺品を手にする 妻の眼にわずかに光る涙。
太郎氏が平成2年 米国のオークションで落札したこの絵は 85年ぶりのお里帰り
となりました。 満谷国四郎 (軍人の妻 明治37年)

届いた芸術新潮を見ているうちに 来週には終わる『福富太郎の眼』展をもう一度
見ておこう 県立美術館にこれほどの作品が集うことは滅多にないから と思って
ハンドルを握りました。
福富太郎氏の好みは 凛とした松園ではなく 清方の描く 妖艶でエロチックな女性
のようです。
鏑木清方 ( 刺青の女 大正2年) と構図がとても似た 島成園 (をんな 大正6年〉

太郎氏が好んで集めたものは 許されぬ仲の 男女の道行 (駆け落ち) です。
今回展示された清方の (薄雪 大正6年) は歌舞伎『恋飛脚大和往来』の一場面で
若旦那と遊女梅川の恋 。

もう一つ近松門左衛門の『心中天網島』から 妻子ある紙屋治兵衛と遊女小春が
心中に向かう一場面 と図録に書かれた2双の屏風絵 北野恒富 (道行 大正2年頃)

夢二ファンの母に買った屏風絵をながめる太郎氏。 竹久夢二 (かごめかごめ 大正元年)

『福富太郎の眼』ポスターになった 岡田三郎助 (ダイヤモンドの女 明治41年)
福富太郎コレクションに入ってないかもしれませんが 今回この一枚も
展示されていました。
五台山からの明治の高知市。県出身の洋画家 石川寅治の作品で 遠くに
高知城が見えます。 石川寅治 (高知城を望む 明治44年)

同じ位置から撮った 昨年4月の写真
東京での鏑木清方・上村松園展へは行けずに残念でしたが 航空券代が浮いた
と考え 3/21の最終日までに『福富太郎の眼』へ もう一度行こうと思います。
まりぃさん お知らせいただき感謝です。芸術新潮2021年5月号と 今回買った
福富太郎の図録を ゆっくり時間をかけて読んでみます。
丹尾先生にお会いしたとき 先生のファンが1人増えました とお伝えください。