さかいほういちのオオサンショウウオ生活

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短編小説 宙の卵

2017年11月21日 17時30分20秒 | 小説

宙の卵

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
「宇宙」の「宙」は時間の意味の文字。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

女は目玉焼きを作るために、冷蔵庫から1パック198円の卵の一つを取り出し、割ろうとした。
しかし、その卵の表面には「宙」という文字が浮かび出ていた。
女は気味悪がって、その卵をゴミ箱の中へポイッと捨てた。
卵は勢いでパカッと割れてしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼女の割ってしまったのは、時間の卵。
無限連鎖の時間の中で、彼女は何億回何兆回と卵を割り続けるのだった。


小説 宇の卵

2017年11月21日 17時30分16秒 | 小説

宇の卵

その卵は、10個98円の安売りのパックの中に納まっていた。
いつものように、男は目玉焼きを作るために冷蔵庫から卵を1個取り出した。
安アパートのプロパンガスは出が悪く、コンロに火をつけるのも手間がかかる。
やっとの思いで火をつけ、フライパンをコンロの上に置いた。
男は卵を割ろうとした。
しかし、その卵の殻の上に奇妙な印が付いているのを発見した。
それは「宇宙」の「宇」の文字のようだった。
「宇」の文字は「空間」を意味する文字である。
男は少し気味悪く思ったが、貧乏人であるが故こんなものでも捨てることはできない。
「まぁ、中身が食えればいいか・・」
そう考えながら、男は机の淵で卵をポンと軽くたたいた。
パカリッと割れた卵には、中身がなかった。
男は殻だけの卵を顔に近づけ、まじまじと殻の中身を覗いてみた。
しかし、黄身も白身も無いただの卵の殻だけが、男の手の中にあるのみである。
「ちっ!」と男は舌打ちをしながら、いまいましそうに殻をゴミ箱の中に捨てたのだった。
仕方なく、もう一つの卵を冷蔵庫からだし、もう一度目玉焼きを作ることにした。
幸い2個目の卵は普通の卵であり、出来上がった目玉焼きもいたって普通の目玉焼きだった。
食事を済ませ、男はアルバイトにでかけた。
何事も起こらない、いつもの日常であった。

だが、何事も無いいつもの日常は数日間で終わりを告げるのだった。
ある日男の頭の中で突然に爆発音がし、目の前が光で真っ白になった。
男は路上で気絶し、救急車で病院に運ばれた。

病院のベッドで、男は目を覚ます。
倒れたときに出来た傷に包帯や絆創膏が貼ってあった。
「ここは、どこ???」
男は、ベッドの横にいた医師に聞いた。
「あなたは、きのう道端で倒れ、救急車でこの病院に運ばれたのですよ」
と医者が説明した。
「ああ・・そうでしたか・・」
そう言いながらも、男の気分は晴れない。
その理由は、男の目にはなにやら惑星のような星星が点々と無数に光り輝いて目に写っているのである。

「星のようなものが無数に目に見えるのですが、何か病気でしょうか?」
男は医師に聞いてみる。
「うむ・・それはたぶん初期段階の銀河系が生成されているのでしょう」
医師が気難しく言った。
「銀河系?」
男は繰り返して聞いた。
「そうです、あなたは宇の卵を飲み込んでしまったようですね」

「宇の卵とは空間の卵です、あなたはその宇の元を飲み込んでしまったのでしょうね」
医者は気の毒そうに続けて話した。
「宇の卵を飲み込んだら、もうどうしようもありません。新しく出来た宇宙に体全体が飲み込まれて、最後には体全体が・・・」
そう医者が言っている間にも、男の身体がドンドンと宇宙の空間に変身していく。
そして、あっという間に人型の宇宙空間がベッドの上に広がっていた。


短編小説 ネオ田沼意次の野望

2017年11月21日 17時30分08秒 | 小説

ネオ田沼意次の野望

「もう蕎麦の代金が三両もたまってますんで、払ってください」
蕎麦屋の主人が、田沼意次の親衛隊の侍たちに向かって言っている。
「なにぃ!俺たちに金を払えだとぉ・・・生意気な奴、こうしてくれるわ!」
そう言うが早いか、無頼の侍たちは蕎麦屋の主人に向かってライフル銃を数発ぶっ放した!
ドーンドーンという音と共に、蕎麦屋の主人が血を流して倒れた。
「俺たちに従わない奴は、みんなこうなるんだ!」
田沼の親衛隊の侍が、騒ぎを見ていた群衆に向かって叫んだ。
倒れて死んだ主人にひれ伏して蕎麦屋の女将が号泣している。
それを見た無頼の輩が言う。
「もう後家さんになっちまったんだ!俺のところへ来て妾ににでもなれ!」
女将の腕をムンズと掴んで、侍たちは武家屋敷の方角へ消えていった。

「ひでぇ奴らもあったもんだ!、酷すぎるぜ・・・」
蕎麦屋の影から見ていた、ラットマン治郎吉が小声で言った。
「それに奴ら、20世紀のライフル銃まで持ってるってのが怪しすぎるぜ!」
治郎吉は、顎に手をやりながら考えている。
「今晩あたり、田沼意次の屋敷にでも偵察にでも行って見るとするか」
まだざわめいている通りを眺めながら、治郎吉も何処かへと消えていった。


「今晩は月も今夜は出ていないようだ・・・勿怪の幸いだ」
治郎吉は、田沼意次の屋敷の天井裏に忍び込んだ。
「おお・・ここだぜ、田沼の部屋は・・・」
と小声で言った治郎吉の近くで、人の気配がする。
「お・・おめぇ・・誰だっ!」

「あっ!お前・・ラットマン治郎吉じゃないか!」
JP11が驚いて言った!
「しっ!声を出すんじゃないっ!」JP3が人差し指を口にあてて言った。
「あ、あんたら、時間警察の刑事じゃねーか、こんな所で何やってんだよ・・」
治郎吉も驚いて言う。
「治郎吉・・・やっぱり生きてやがったんだなっ!」JP3とJP11が同時に言った。
「生きてて悪いか!そう簡単に死んでたまるもんか!」治郎吉が答える。
「お前も、こんな所で何してる?」時間刑事のJP3が言う。
「なにやってるって、田沼意次を偵察してるのよっ!」治郎吉が言う。
黒ずくめの忍者スタイルのJP3が、治郎吉に向かっていった。
「あの田沼意次は偽者だっ!これを見ろ!」
生体計測器を見せながらJP3は、下の部屋で密談をする田沼意次の生体反応のデータを見せた。
「こ、こいつぁ・・・・24世紀の人間か・・・・」治郎吉が驚いて言う。
「そうだ、あいつは、タイム・トンネルを潜ってやってきた24世紀の独裁者タヌーマンなのだっ!」JP3が言う
「24世紀に、人類を滅亡させようとしたあいつなのか・・・」治郎吉が驚嘆した。
「独裁者タヌーマンは、この時代で世界制服をもくろんでいるらしい。核兵器まで準備してな!」JP3が忌々しく言う。
「核兵器まで作ってるのか、奴は!」治郎吉があきれて言う。
「今ここで撃ち殺してやる!」JP11が逸って言った。
「だめだ、ここで奴を殺しても歴史はもとに戻らん・・・本物の田沼意次を助けなきゃな・・・」JP3が考えながら言った。
「こで騒ぎをおこしちゃ、俺たちの命も危ねーぜ!なにしろ冷酷な親衛隊は何百人もいるからな」治郎吉が言う。
多勢に無勢、いくら未来の武器をもってしても、これだけ大勢に囲まれては逃げ切ることはできないだろう。

「この江戸がおかしくなっちまったのは、3年位前からだぜ」
治郎吉が言う。
「そういえば、3年前には日光の東照宮で家康の大法要があったな」
JP3が思い出しながら言う。
「そうだ、あの時に本物の田沼意次も参列したらしいが、そのとき入れ替わったんだろうな!」
治郎吉が、腕を組みながら言った。
「歴史が変わってしまったターニングポイントは、3年前の日光東照宮だっ!」
JP3が言うと、JP11もうなずきながら同意した。
2人は、腕のタイム・ブレスレットを操作し、3年前の日光へとワープしていった。
「お、おい・・俺を置いてくなよ・・」
そう言うと、治郎吉もブレスレットで東照宮へワープしたのだった。



大法要を終えて、岐路に着こうとしている田沼意次の行列の前に、3人は突然出現した。
現れたと同時にレーザーガンを麻痺にセットし、田沼の家来たち数十人を気絶させた。
「こんなに家来が大勢だと、話がややこしくなってくるからな」
JP3が申し訳なさそうに言った。
「仕方ないでしょう、家来には眠ってもらった方が安全ですから」
JP11が言う。
「しかし、あんたらも派手だね!」
治郎吉があきれて言う。

豪勢な籠の中で田沼意次が何か言っている。
「どうした?なにが起こった?」
「わたしたちは、日光の天狗でございます、田沼様をお守りに参上仕りました!」JP3がもっともらしく言った。
「・・・えぇ・・天狗って・・・」治郎吉が驚いて言う。
続けてJP3が、田沼に言う。
「田沼様を暗殺しようと企てる無頼の輩が、もう直ぐ現れます。さあ、こちらへおいでください」
そう言いながらJP3は、田沼を大名籠から連れ出し、近くの森の中へ隠した。

静まり返った籠に、突然小型のミサイルがどこからとも無く打ち込まれ、ドーンと言う爆音とともに大名籠は跡形も無く消滅した。

「奴らが来たぜ!」治郎吉が言う。
「レーザーガンを最大殺傷にセットしとけよ!」JP3がJP11に言う。
最大殺傷にセットされたレーザーは死体を蒸発させてしまう威力がある。
時間刑事らの、その時代に証拠を残さないための手段でもあった。

独裁者の手下が十数人現れ、田沼意次の籠のあたりでうろうろしている。
その隙に、3人はレーザーを浴びせかけた。
油断していた独裁者軍団は、アッという間もなく舜殺で消えていった。

「しかし、独裁者のタヌーマンがいないのは・・・」
・・・とJP3が話している瞬間、彼の背後からレーザー光線が放たれ、JP3はもんどりうって地面に倒れた。
治郎吉とJP11は、背後から忍び寄ってきた独裁者を、同時に撃った!
タヌーマンは一瞬に蒸発した。
「JP3~!!」
2人は、JP3に駆け寄った!
「うう・・」と唸りながらJP3は気がついたようだ。
「死んだかと思ったぜっ!」治郎吉が言った。
「こんあこともあろうかと、体全体にフォースフィールドをはっておいたのさっ!」JP3が言った。
「びっくりさせるぜっ!」治郎吉が言う。
「俺のこと心配してくれたのか・・・」ふふふっと笑いながらJP3が言った。

杉の大木に身を隠していた、本物の田沼意次が近づきながら言った。
「おぬしたち・・・何物・・?天狗には見えんが」
面妖な顔つきで言う田沼の言葉をさえぎるように時間刑事が言う。
「ゆえあって人間の形に身をやつした、天狗でござる。」
納得しかねる様子だったが、意次は言った。
「そうか、それはかたじけない・・・それにしても、きゃつめらは何故ワシを襲ってきおったのだ?」
「それは、聞かぬが花ということに・・・」口ごもってJP3が言った。
「それより、あんたの家来を起こさなくてもいいんですかい?」治郎吉が田沼に向かって言った。
「おおそうじゃな、そうしよう・・」そう言いながら、田沼は気絶した家来を起こしに行った。

「これでこの件は一件落着ということですね!」JP11が言う。
「まぁ、そーゆーことだな」JP3が言った。
「でも、このラットマンの件はどうします」JP11が言う。
「えっ・・俺のこと・・・」ラットマン治郎吉があせって言う。
「ラットマンは猫に食われて死んじまったよ!」JP3が言う。
「しかし・・!」とJP11。
「間違って報告したとなると、始末書とか大変だしな・・」JP3が言った。
「そうですね・・」JP11も答えた。
「さぁ、帰るとするか」JP3がJP11に言う。
「はいっ!」JP11が言う。

「たっしゃでな!」治郎吉が2人に言った。
「死んでる奴にさよならは言えねぇ・・・」JP3が言う。
「なんか江戸弁になってませんか?」JP11が言う。
「おおっと、そうかい?・・・じゃ、あばよ!江戸時代!」
そう言いいながら時間刑事の2人は、もとの時代へと消えていった。

田沼意次の家来たちが目を覚まし始めた。
「おおっと、いけね!俺もおさらばだっ!」
そう言うが早いか、治郎吉ももとの江戸にワープして行った。


「おーい、いま帰ぇったぜっ!」
八件長屋につくなり、治郎吉がかみさんに言う。
「いつまで、ほっつき歩いてんだよ!味噌汁が冷めちまったじゃないかい!」
「おう、すまねーな、汁飯にでもして早ぇーとこすませて、子作りに励もうじゃねーか、なぁ・・・」
「いやだねぇ・・・おまいさん・・・」
「まんざらでもねーって、顔つきだぜ、おめえ・・」
「もうっ!」
江戸の夕日が静かに沈んでゆく。


短編小説 ラットマン治郎吉

2017年11月21日 17時30分02秒 | 小説

ラットマン治郎吉

夜の大江戸八百八町に「御用!御用!」の捕り物の大声が響く!
「鼠小僧治郎吉!神妙に縛につけ!」
同心の近藤勘助が叫ぶ。
「もう捕まえたも同然ですね!JP3」
岡っ引きのさね吉が、同心に向かって言った!
「さね吉!近藤様と言え!そのJP3はいかんっ!」
同心の近藤がさね吉の口を押さえて言った。
「そうでしたね、つい・・・」

同心の近藤の正体は、日本の”時間警察”のJP3という犯罪捜査官だった。
手下のさね吉の正体も、JP3の部下のJP11という捜査官だったのだ。
時間刑事の2人は、通称”ラットマン”と呼ばれている時間犯罪者を追って、はるばる江戸の町までやってきたのである。

時間警察の刑事は、怪しまれぬようその時代の人物に変装しなければならない。
JP3は同心に、JP11は岡っ引きに変装していた。
追跡してきたラットマンは”鼠小僧治郎吉”と名乗って、江戸中を騒がせているのだ。

「治郎吉は義賊と呼ばれ、江戸じゃ有名らしいですよ」
さね吉ことJP11は、同心のJP3に言った。
「義賊だろうが何だろうが、時間を乱す奴は逮捕する!それが俺たちの任務だっ!」
同心の近藤は、腕にはめたタイム・ブレスレットを指差しながら言う。

25世紀のタイムマシンは小型化され、ブレスレットの形をしている。
厄介なことに、ラットマンはタイム・ブレスレットの他に、ベルト型の物質変換装置を装備していた。
通称”トランスフォーム・マシン”とも”T・M”とも呼ばれ、物や生物を何にでも変形させてしまう。
ラットマンと呼ばれているその男は、彼がネズミになって追っ手の目をくらますのが有名なので、その名前が付いた。

「鼠小僧!!腰に光るT・Mが、ラットマンの証拠だっ!」
JP3同心近藤が言う。
「ラットマンめ!今度こそ逃がさん!!」
JP11さね吉が言う。

大江戸の屋根づたいに鼠小僧が走り抜ける
木造の瓦屋根をカタカタ音をさせながら、ラットマンこと鼠小僧治郎吉は逃げ続ける。
「しかし、おめーら時間警察もしつっこいね!」
治郎吉が大きな声で、同心と岡っ引きに向かって言った。
「俺も、江戸で平和に暮らしてんだよ、ほっといてくれないか!」
治郎吉が続けて言う。
同心の近藤が、屋根にいる治郎吉に向かって叫ぶ。
「何が平和に暮らしてるだよっ!充分町を騒がせてるだろう!」

「俺は、今じゃ義賊で通ってる有名人よ!貧乏人たちが待ってるんでな!」治郎吉が答える。
「そんなことやってたら、時間の流れが変わってしまうだろう!」同心が言う。
「知ったこっちゃね~!!」治郎吉が言う。
「止まれ!撃つぞ!」
そう言いながら、同心と岡っ引きはレーザーガンの銃口を、治郎吉に向けかまえた。

「おおっと!レーザーガンとは穏やかじゃないねっ!」
治郎吉は、とっさに物質変換装置に手をかけようとした・・・
瞬間、同心の近藤が放ったレーザーが、治郎吉の手をかすめ、治郎吉は屋根から滑り落ちた。
「鼠に変身しようたって、そーわいかねぇ!」
岡っ引きのさね吉が、屋根から落ちて倒れている治郎吉に縄をかけた。
「もう観念しろ!治郎吉!」同心が言う。

縄にかけられた治郎吉は、いきなり物質変換装置に手をやり、鼠に変身した。
とたんに縄が外れ、鼠になった治郎吉が、路地裏に逃げ込んだ。

「くそっ!逃がすもんか!」同心と岡っ引きが同時に叫ぶ!
2人が追いかける目の前を、ドブネズミが走っている。
「鼠が小さすぎて、レーザーガンは無理だ!」同心が言った。
そう言っている2人に前に、突然犬ほど大きな三毛猫が現れ、走っている鼠にいきなり食いついた。
が、早いか猫は鼠を、あっという間に食い尽くしてしまった。

「ぎゃっ!」
と叫び声が聞こえたが、もはや遅し、哀れ治郎吉は三毛猫の餌食となってしまった。
「むごい最期ですね・・・」岡っ引きのJP11が、顔をしかめて言う。
「ああ・・・酷い最後だ・・・」同心のJP3も言った。
「あれほどの犯罪者が、猫の餌になってしまうとは・・」
2人は腕のタイム・ブレスレットのスイッチを入れ、もと来た25世紀へと帰っていった。


ニャァ・・と甘えた鳴き声をたてながら、大きな三毛猫が満腹そうに男の足元に擦り寄っていく。
「ミケ之助よ!よくやった!」
その三毛猫を抱き上げながら、治郎吉が言った。
「俺は野ネズミよっ!ドブネズミじゃあないぜっ!」
三毛猫の背中の毛をなでながら、猫に向かって治郎吉が言う。
「屋根から落ちるのも、猫に食われた振りをするのも、すべて俺のたくらみどうりってもんよ!」
そして、ほくそ笑みながら、ラットマン治郎吉は言った。
「俺は死んじまったことになった以上、もう奴らも追ってはこんだろう」
「早く、かかぁんとこへ帰ろ・・ガキも待ってることだしな・・・」
そう独り言をつぶやきながら、治郎吉は八軒長屋へ帰っていったのだった。