嵐を呼ぶ本屋 2
Nonstop The 本州1/2横断2000Km! 曇りのち宮沢賢治ときどき露天風呂!
唐突に、その電話は繋ってきた。
「こんど、青森の六ヶ所村で命の祭りがあるんだけど、行かないか?」
飛騨の高山で絵本専門店をやっている中上さんからの電話だった。
「おお、またお祭りコンサートか?」と、俺は答えた。
「六ヶ所村で核廃棄施設ができるやろ、それの反対派のライブのようや」
続けて中上さんは言った。
「ほら、あの南正人が主催でやるみたいで、鳥取の大山のコンサートと同じ感じやで」
あの大麻で何度も逮捕され、それでも懲りない自称未来人の南正人は、1970年代から続いているフォークシンガーであり、ヒッピー達の兄貴的存在でもある。
俺は少し沈黙してしまった、なぜかと言えば、それは南正人の主催であるからヒッピー達がワンサカ押しかけて、結構面倒くさいことになりそうだからだ。
そして俺は言った。
「俺の場合はアナーキストなんで、そいう反対とか賛成とかのコンサートは・・・・」
街中の仙人生活推進主義者の俺としては、政治的な行動は極力慎みたいのだ。
ましてや、団体でのシュプレッヒコールやら、著名運動やらは断じて御免蒙りたい。
「あれやで、核反対コンサートやけど、ただの普通のコンサートみたいやで」
中上さんは、たいして気にもならない様子でそう言い、もう行く気でいるようだ。
「う~ん・・・・」俺はしばらく考えたが、行くことに決めた。
プラスマイナスでお祭り野郎の血が騒ぎ、ちょっとだけプラスにメーターが振れたといったところだ。
「おお、そんなら、今度の8月14日の夜に高山まで来てくれんか?」
「そうやな、青森の六ヶ所やったら日本海側を走った方がいいかもな・・・」
結局、そんなこんなで8月14日に六ヶ所で行われる「命の祭り」に参加することになってしまった。
そしてまた、あの温泉付珍道中の始まりとなるだろう。
・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・