傘を持つ女

明日天気になあれ

真っ白いシャツの女性は?

2004年11月17日 | 傘のまわりで
朝の駅構内で私の前を歩いていた初老の女性が突然バッターンと倒れた。
近くに居た女性と思わず顔を見合わせ「まず救急車ですよね?」
「駅員さんに119番してもらってきます」とその方が走っていかれたので、倒れた女性に駆け寄る・・・どうしよう・・・頭が真っ白に。(落ち着け!そうだ救命救急!)まず呼吸はしている、が荒い。意識は?アレ?ない!なにかうわごとを言っていて苦しそう・・・(そうだ!声を掛け続けて手のひらを叩くんだった)「しっかりしてください、救急車がもうすぐ来ますからね。しっかりしてください」
先ほどの女性が駅員ともう一人50歳くらいの綺麗な女性を連れて戻ってきた。
その綺麗な女性が「頭を強く打っていませんか?」「そういえば倒れた時スゴイ音がして・・・」
「絶対に頭を動かさないようにアナタ見ていてあげてください」「はいっ」
そこで初めて頭から出血していることに気づく。「血が・・・」
するとまたその綺麗な女性が「駅員さんは毛布とタオルを用意してください。そちらの方は救急隊員を誘導してください。この方の荷物はどれですか?」とまぁ鮮やかな采配ぶり。おかげで私も落ち着いてくる。
段々倒れた女性の意識が戻りかけるが、苦しくてかなり動くので
「あ、頭を打っているみたいですから動かないで、大丈夫ですよ、救急車がもう来ます」
救急隊が到着するまでその綺麗な女性と一緒に励まし続けたのだが、そんな一大事なのに何故か私はその綺麗な女性が着ていた真っ白で糊がぴーんときいた清潔そうなシャツから目が離せずに、その襟元をじっと見つめていた。
そしてその綺麗な人は倒れた初老の女性に付き添って救急車に乗って行ってしまった。
救急車に乗り際「多分大丈夫だと思いますよ。あなた落ち着いて励ますの上手でしたねぇ・・・」と私を褒めて(?)いってくれたのである!こんな場面で思いがけずびっくり。なんたる余裕・・・
去りゆく救急車を見送りつつ、最初に一緒に駆け寄った女性に「大丈夫そうですね、お疲れ様でした」と言うと「今の方が居て下さって良かったですよね、素敵でしたね~お医者さんかしら?」と。
あ、そうだ!糊のきいた白いシャツのイメージ・・・私もてっきりお医者さんだと思っていたわ・・・

あれから一ヶ月近くたつ。
駅の同じ場所を通るたび、あの初老の女性はその後お元気になられたか?と思い出す。
そしてあの時の真っ白いシャツの女性は?とつい探してしまうのである。
やっぱり彼女はお医者さんだったのかなぁ?