<A1変える事と変えないことの選別の基準は示せるか>
<A2.1最終選抜試験は占い師に依存するのは、採用側の自信喪失現象か>
<A2.2社長パフォーマンスは 中間管理職に正の相関を示せるか>
<A3.対外参加活動=技術講演会参加=予算を獲得した上司に感謝か>
<A4.グランドデザインはトップの経営方針のことか>
<A4.1経営方針の中にフェイルセイフ=安全な職場で安心して働ける従業員の方策=示されているか>
<A4.2 ESG(環境・社会問題・企業統治)は欧州市場に適合するためか>
<A4.3 部品材料事業の範囲に限定か>
<A.4.4 消費者目線は買い手目線を見上げることか>
<A5.1 新規事業を優先か>
<A6 失敗の責任を押し付け、会社を辞めていった上司部下は何名か>
<A7 役員の失敗は、任命責任者社長の失敗としての賠償責任文書を準備しているか>
「オープンイノベーション」の失敗例
中国依存のドイツが味わう「ゆでガエル」の恐怖
https://jp.reuters.com/article/germany-china-idJPKBN1HO07I
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沢田道隆
1955年大阪府生まれ、65歳。81年阪大院工学研究科修士課程修了、花王石鹸(現花王)入社。素材開発研究所室長やサニタリー研究所長などを経て2006年執行役員。12年6月から現職。
1955年大阪府生まれ、65歳。81年阪大院工学研究科修士課程修了、花王石鹸(現花王)入社。素材開発研究所室長やサニタリー研究所長などを経て2006年執行役員。12年6月から現職。
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要約:日用品国内最大手の花王。2012年に就任し、8年目の沢田道隆社長は、技術開発から商品化まで社内で完結させる自前主義の伝統を覆し、社外の技術やアイデアを取り入れる「オープンイノベーション」を進めている。売上高1兆5000億円を誇るとはいえ、グローバル市場では9位にとどまる。世界の大手と肩を並べる企業に成長するために、「率先して逸脱すること」をリーダーとしての信条とする。
Q1――リーダーとして大切にしている心構えは何ですか。
A1「無難の中から変革は生まれないと強く意識しています。日本人は先例を重視しすぎる傾向があり、積み上げていくのは上手ですが、突き抜けるのは苦手だと思います。自分が大きな変革だと思って取り組んでも、外から見るとそうでもないということは多々あります。もっと極端でいいのです。2020年までの中期経営計画『K20』では、『自ら変わり、そして変化を先導する企業へ』をスローガンに掲げています。会社は常に時代に合わせて変化していく必要があり、従来の考え方に縛られていては絶対に生き残れません」
Q2――突き抜けることが難しいと考える社員も少なくないと思います。
A2「だからこそ、リーダーが率先して逸脱する必要があります。例えば、採用に関して社内で極端な提案をしました。人材は多様性が重要ですが、選考のなかで結局自社に合う人に採用が偏っていないか、それは本当に多様性があると言えるのか――。こうした問題意識から、最終選考でくじ引きを導入することを提案しました。頭のいい人も必要、テキパキ動く人も必要、男性も女性も日本人も外国人も必要。そして、運がある人も必要なのではないかという考え方です。この案は実現していませんが、議論に一石を投じられたと思います」
「19年は入社式を思い切って変えてみました。新入社員がいて、役員がいて、起立や礼をして、という従来の方法では絶対に記憶に残りません。ワクワクして入社したのに、これから頑張ろうという意欲がわきません。そこで、新入社員の赤ちゃんのときの写真をスクリーンに映し出したり、新入社員の席の後ろから私が現れたりと、今までにない入社式にしようと工夫を凝らしました」
どうしても、従来の方法から逸脱していいものかどうか悩んだり、叱られることを恐れたりしてしまいます。社長がそこまで言っているのだから、極端なアイデアでもいいと安心してもらいたいのです。議論の幅を広げるために、あえて極端な提案をすることも重要です。極端なアイデアを下地に議論し、少しだけもともとのあり方に揺り戻しが起こることで、最適な結果に落ち着くと考えています」
Q3――逸脱が重要だと考えるようになったきっかけは何ですか。
A3「入社して10年目くらいに素材開発研究を担当し、新しいマニキュアの開発に携わりました。通常のマニキュアはシンナーやニトロセルロースを用います。色を塗るために必要なのですが、どうしても爪が黄色くなったり傷んだりしてしまいます。そこで私に与えられた命題が全く新しい『水性マニキュア』の開発でした。水性なら爪は傷みませんが、手を洗うとすぐにはがれてしまう課題がありました。それまで先輩が数年取り組んだものの、思うような結果が出ていませんでした」
「私もしばらくは先輩が積み上げてきた研究結果から離れられませんでしたが、あえて直接は関係のない技術講演会に足を運んでヒントを探りました。ある壁紙用塗料の講演でのことです。壁紙用塗料は水やアクリル樹脂を使っていますが、塗った後も湿気に強く、はがれにくいことを知りました。一緒に行った後輩と帰りの電車で『これかもしれない』と話し合い、翌日すぐに実験を始めました。1年もしないうちに完成し、『AUBE(オーブ)』というブランドのマニキュアとして商品化できました。意外なところから発想は生まれるものです。既成概念やしがらみを取り払って考えることの重要性を学びました」
Q4――自分自身はどのようなタイプのリーダーだと思いますか。
A4「グランドデザインを考える『道しるべ型』だと思います。デザイナーに近いですね。みんなの意見をまとめるよりも、自分のアイデアをまず示します。戦略の方向性を提示し、具現化するために何が必要か考えます。グランドデザインを描いていれば、想定外のことが起きてもそのデザインの中で修正できます」
Q5環境変化に合わせて臨機応変に
A5「最近力を入れているESG(環境・社会問題・企業統治)も、12年の社長就任1年目に描いた経営デザインのイメージの枠に入っています。(環境に配慮した商品やサービスを求める)エシカル消費の流れの中で、ESGに軸足を置かないと会社が取り残されると思い、焦り始めたのが17年ごろのことです」
「それまでサステナビリティー(持続可能性)については、全社の組織的には第2階層にあたる部署の取り扱いでした。それを18年に社長直轄の第1階層に格上げしました。19年にはESG戦略を発表し、30年までに環境負荷を軽減できる包装容器を年間3億個普及させる目標を掲げています。まさに全速力で進めています。グランドデザインという経営のイメージを持った上で、環境変化に合わせて臨機応変に調整できていると思います」
「オープンイノベーションに関しては、社長就任時に具体的な考えはありませんでした。ですが、世の中の変化を受け、先んじて多様な意見を取り入れるべきだと思い、18年11月にリサイクルしやすいプラスチック容器など5つの技術を公表しました。花王はこれまで自前主義の会社で、商品化の前に技術を公表するのは異例です」
「特に技術の出口をオープンにするのが重要だと思っています。開発した技術をどのように実用化に結びつけるか。出口を一緒に考えてもらったほうが技術を生かせます。19年にパナソニックと組んで、肌表面に極薄膜を形成してケアする小型機器を発売しました」
赤ちゃん用紙おむつ「メリーズ」復活の立役者。スーパーやドラッグストア、百貨店などに頻繁に足を運び、日用品に限らず幅広く売り場を見て流行を捉える。時間があるときはだし巻き卵などの料理も。「研究者の料理」と調味料はしっかり計る。
Q6――そうした発想の原点はどこにありますか。
A6 「自分は研究者です。研究は白いキャンバスに自分の考えをデザインし、その中にサイエンスを入れ、実証していくという仕事だと思います。研究はすでにあるものを変えるというよりも、新しいものをつくり出すのが醍醐味です。研究者としての原点がいまの経営にも生きています」
Q7――失敗はありましたか。
A7「失敗はたくさんありますし、そこから学びがあるのは当然です。しかし、後になって思い出すのは成功したことのほうが多いです。自分の強みは、失敗したり厳しい状況になったりしたとき素早く気持ちを切り替えられることだと思います。失敗の原因はとことん考えますが、100%結論が出ていなくても、ある程度原因を自分の中で決めつけて次に切り替えます。いつも明るく頑張っていると言われることが多いですが、ストレスをためないのは切り替えがうまくできているからだと思います。寝る前に一日を振り返り、反省することもありますが、それはそれでいいかという考え方です。切り替えて朝を迎えます」
Q8―部下と接する際、どのようなことを心掛けていますか。
A7「マイナスの部分は一切見ません。見てもどうしようもないからです。03年に就任したサニタリー研究所長時代の経験から、人の資産を最大化するにはプラスを伸ばすべきだと思っています。一般的にはプラスを伸ばしてマイナスをなくせばいいといわれますが、両方できるはずがありません。マイナスを指摘するのは1番やってはいけないことです。人間誰しも得意不得意があります。できるだけマイナスを言わずにプラスのことを言い、プラスが伸びれば、マイナスはいつの間にかマイナスではなくなっていきます」
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