グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

コナクリ通信②

2008-11-06 | 国際連帯税&リーディンググループ国際会議
11月5日 テクニカル・ミーティング

今日も快晴のコナクリ。暑いです。今日は政府関係者のテクニカル・ミーティングがあるらしいというので、参加できるかどうかわからないけれども、とりあえず会場のホテルに行ってみることにしました。行ってみると、はたして会議は行われていて、入り口では特に何も言われることもなく、他の政府代表者と一緒にラウンドテーブルにつくことができました(実はテクニカル・ミーティングは昨日から行われていたのでした)。

午前中は、デジタル製品の価格の1%を寄付してもらう「デジタル連帯基金」の設立条約の草案を、ひとつひとつ検討していました。参加者は圧倒的にアフリカの政府関係者が多く、それもほとんどフランス語圏です。本会議ではないこともあり、今日はそれほど参加者が多くないようです。

午後のスケジュールは以下の通りでした。

午後2時30分~午後6時 不正な資本フローに関するテクニカル・ミーティング
■ギニアの関係大臣によるスピーチ
■不正な資本フローに関する報告書最終案について、Baker Raymond氏(Global Financial Integrity:米国シンクタンク)、Tollan Harold氏(ノルウェー政府)がプレゼンテーション
■ワーキング・グループのセカンド・フェーズに関する行動計画について、Tollan Horold氏がプレゼン
■ギニア政府による、ANLCとITEに関する作業のプレゼンテーション

ランチ休憩のあと、ギニアの大臣が出席する予定だったのですが、この大臣がいくら待っても来る気配がありません。来ないのであればとばして会議を始めればいいのに、そうはいかないらしく、結局2時間以上待たされることになりました。外務省の植野課長もあきれ顔です。

この暇な時間に、フランス外務省でリーディング・グループ事務局のジュリアンと少し話をしました。彼によると、サルコジ大統領はこの金融危機に際して、金融を規制する革新的資金メカニズムが必要だと考えているそうです。サルコジ大統領はニューヨークのG20サミットに出席したのち、ドーハ会議にも出席するそうで、そこで何らかの新しい発表がなされるかもしれません。

さて、ギニアの大臣のスピーチはさておき、不正な資本移動に関するベーカー氏のプレゼンでは、この問題の構造を簡単に説明したうえで、汚職、マネーロンダリングなどの犯罪、商業的な租税回避によって、多額の資本が途上国から流出している現状を報告しました。同氏は、タックスヘイブンが世界には91も存在していて、タックスヘイブンに設立されるペーパーカンパニーの実態をだれも正確に把握できていない。多額の不正な資金がアメリカに入っていて、年間1-1.6トリリオンドルの不正な金融フローが国境を超えている。1ドルが途上国に行ったとすれば、10ドルが途上国から先進国への流出している計算。透明性の欠如が問題で、問題の深刻さがあまり知られていない。途上国の会計制度を高める必要がある。しかしすべての不正なフローを止めようとすると、難しい。とはいえ、技術的には解決が可能な問題なのだから、あとは政治的意思があるかどうかだ。といった内容でした。

タスクフォースの議長国、ノルウェー政府のトーラン氏は、タスクフォースの3回の会議での議論を振り返り、キーワードとして透明性の確保、ルールのハーモナイゼーション、協力の強化、キャパシティ・ビルディングの必要性を指摘しました。
同氏は、この最終報告はきっかけにすぎないもので、今後とも引き続きリーディンググループでの取り組みを強化しようと呼びかけました。

二人とも同じホテルだったので、夕食を一緒にし、有意義な意見交換をすることができました。日本政府もこの議論に加わってほしいですね。

ちなみに、オバマ勝利のニュースはこちらでも話題で、大統領が変わったらアメリカにも我々のグループに参加してもらいたいね、というアフリカ政府関係者の意見も出ていました。

明日はいよいよ総会です。その模様をお伝えします。お楽しみに。

高木晶弘

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