グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

「国際連帯税を推進する市民の会」設立趣意書を送ります

2009-03-11 | 国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)
             
「国際連帯税を推進する市民の会」設立趣意書
 
1. 国際連帯税推進の必要性

―「公正かつ持続可能なグローバル経済」実現のための「規制」と「再分配」を

 今日、世界は「100年に1度」と言われる金融危機に見舞われ、金融機関の巨額な損失や信用収縮をもたらしました。これと連動し、生産や消費など実体経済も急速に落ち込み、かつてない世界同時不況の様相を呈しています。また、つい最近まで投機資金を原因とした穀物や原油価格の暴騰があり、何十億もの世界の人々の生活が危機に瀕しました。こうした投機資金主導のマネー経済が今日の国際金融危機を招いたことを考えるならば、まさに投機資金の規制は必要不可欠といえます。そのひとつの手段として、金融取引への「国際連帯税」が注目されます。

 一方、グローバル化の深化とともに、貧富の格差は拡大しています。貧困国は、この経済危機のかなり以前からすでに危機にあり、世界銀行は「2005年、1日1.25ドル未満で暮らす途上国の貧困人口は(想定以上の)14億人」に上ると発表しています。国際社会は2015年までの「ミレニアム開発目標(MDGs)」達成に向けて努力をしていますが、途上国の取り組みを支援する開発資金の不足などが目標達成の足かせとなっており、今回の経済危機がそれに拍車をかけようとしています。さらに、地球温暖化による途上国への被害も顕著に表れはじめ、深刻化する気候変動問題に適応するための莫大な追加的資金をいかに調達するのかが、まさに大きな課題となっています。各国が経済危機対策に巨額の資金を投入する一方、世界の貧困や温暖化対策といったグローバルな課題の解決に向けて、十分な国際公共財を調達するための新しい資金メカニズムをいかに実現するかが、国際的に重要な課題です。

 このように、金融、開発、環境などの側面において「公正かつ持続可能なグローバル経済」を実現するためには、適切なルールに基づく「規制」と「再分配」の機能を持つ国際連帯税を積極的に検討し、その導入を推進していく必要があります。

2. 国際連帯税をめぐる状況と日本の市民社会の役割

―国際連帯税議論の高まり、市民による国民的世論の喚起を

 国際的には、2006年に「開発資金のための連帯税に関するリーディング・グループ」(以下、連帯税リーディング・グループ)が発足し、航空券連帯税などを各国政府がすでに導入・推進しています。また、NGO、国連機関、著名な研究者などが「開発・気候変動対策のための資金源」、「投機資金規制のツール」として、国際連帯税、特に通貨取引税についての議論を展開しています。

 日本においては、これまで一部NGOや研究者などの市民がこの課題に取り組んできましたが、国政レベルにおいても「国際連帯税創設を求める議員連盟」が2008年2月に設立されました。日本政府も国際連帯税の議論の流れを汲む「地球環境税等研究会」を発足させ、また連帯税リーディング・グループに55番目のメンバーとして正式参加をするなど、動き出しつつあります。

 とはいえ、日本において国際連帯税を実現するとすれば、議員や政府の動きだけでは決定的に不十分であり、国民的な理解と世論の高まりが不可欠です。その推進母体として、NGO、社会運動団体、研究者・専門家等による、市民社会共同の組織が必要となっています。そうした問題意識を背景に2008年11月に開催された「国際連帯税」東京シンポジウムにおいては、国際連帯税の目的、制度、運用と透明性の確保等について、市民の合意を幅広く形成していくことが、国際連帯税の実現に向けてのプロセスとなると確認されました。このような経緯から、「国際連帯税を推進する市民の会」をここに設立し、国際連帯税の実現に向けて必要なさまざまな活動を、幅広い市民の参加を得ながら積極的に推進していきます。
 
3. 活動内容

―4つの柱、積極的な市民参加をめざして
 
本会は、主に以下のような活動に取り組みます。
  
①市民による理解と議論の場の提供
 国際連帯税についての市民の理解と合意形成を促進していきます。できるだけ多くの人が、国際連帯税への理解を深め議論する場として、シンポジウム、セミナ ー、学習会等を開催するとともに、情報発信や広報活動にも取り組んでいきます。
②世界の市民社会との連携
 日本における国際連帯税の実現のためには、世界の運動との連携は不可欠です。特に、連帯税リーディング・グループ総会や他の国際会議の機会を活用して、世界の市民社会との協働関係を深めていきます。
③研究活動
 現在、「グローバル・タックス研究会」という市民と研究者による勉強会が活動していますが、同研究会との効果的な連携を図ることにより、さまざまな国際連帯税のあり方の研究活動を進めます。具体的には、通貨取引税、航空券税、航空・船舶燃料税、国際炭素税、国際フロン税のあり方などが挙げられます。また、資金運用の在り方やガバナンスについても検討していきます。
④政策提言活動
 国際的な動向を踏まえつつ、日本政府や国会議員に対して、政策提言活動を行っていきます。国際連帯税を実現するための「日本版ランドー委員会」(各界のステークホルダーで構成)等での議論にも参加していきます。

 本会の活動は、国際連帯税の実現に賛同していただける個人や団体の自発的かつ積極的な参加によって成り立ちます。それぞれの得意分野で取り組める活動として、専門的知見の提供、広報活動、翻訳作業、資金調達、その他ボランティア等がありますが、まずは知ることから始めたいという多くの市民の参加が何よりも重要です。本会は、広範かつ多様な市民参加に向けて努力するとともに、民主的かつ柔軟な組織運営を図り、将来的にはキャンペーン活動等の実施も視野に入れつつ、日本での国際連帯税の実現を市民社会の立場から積極的に推進していきます。
                                    2009年3月吉日

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。