つまんないからマイクロミニ

つまんないよ、とあたしが云う。あたしに向かって、真面目くさって。
ねえ、ギビちゃん。今のあんたって本当につまんない。つまんなすぎてアクビがとまらないよ。毎朝毎朝鏡に向かって時間かけてお化粧して、わたしは不細工じゃない、って言い聞かせないと学校にもいけない。学校の友達は自分を理解してくれてるんでしょう？不細工だっていいじゃない。書く書く書く書く大騒ぎして、今日も誰かを見つけてヒトラーごっこ。ねえ、つけ髭楽屋に忘れてるよ。そんなにあんたって偉かったっけ？あたしの知ってるあんたは自分の出せるお金全部出して、いちばん気に入ったスカート買ったら、毎日履いてたじゃない。それが今はどう？着まわし？ナニソレ。人に不快感を与えない？服だけ気い使っても、ねえ。
うるさいうるさいうるさいいい。
あたしはあまりのイライラにたえきれなくて、新宿伊勢丹に向かった。ムカついたときにはお買い物がいちばん。とびきり上等なハンカチでも買おう。それなら3000円でハッピーエンドが買える。
あれ？なんであたし二階にいるんだろ。二階はお洋服なのに。あたしはヒステリックグラマーの前に気づいたらいて、一枚のスカートに一目惚れしてしまう。アメリカのロックバンドとのコラボのデニムのマイクロミニ。正直、かなり、短い。あたしは意外にも躊躇しなかった。気づいたら合わせるレギンスの色まで選んでいた。
レジスターは鳴らない。伊勢丹だから、お姉さんが電卓を叩く。所持金マイナス440円。うん、買おう。
午後からの授業に、あたしはここ10年でいちばん短いスカートを履いて、意気揚々と出かけてく。
生きようよー。とあたしがあたしに云う。いいじゃん、つまんなくたって。やなヤツだって。
あたしはちょっとムッとする。何その手のひらを返したような態度は。
だってさあ、あんた今のままだと誰もあんたのこと愛してくれないよ。自分で自分が情けないよ。だからあたしが愛してやるから、もうあんまりさびしがんないことだね。

ギビーおはよー。
あ、おはよ。見てこのスカート。

だらだらした会話。
そして宣言。

「あたし次のお給料日までこのスカートしか履かない！」
「いいじゃんいいじゃん。あたしギビのそうゆうとこ大好きだよ」

ザッツライ。