今日は明日の前日だから

わたしはおもう。わたしはつづる。あなたにみてほしいのは、あなたがあなただから。

そろそろ短歌でもやるか。

2005-09-22 19:15:22 | Weblog
 受験勉強に行き詰まり、
 友達とカラオケで熱唱し、
 夕飯で作れるのはパスタぐらい。


 そんなわたしですが、短歌は読むのも詠むのも好きです。

 さあ、みんな集まって!短歌の会、始めるよ!

 以前の短歌の会に集まってくださったみなさんと、短歌宣言されたうさとさんにトラックバックです。

 わたしもいくつか。

 おわったね そういうとたんに 恋しくて 失敗したなと ひそかにつぶやく

 単語帳 いくつ英語を おぼえても わたしの世界 広がらなくて

 ヘッドフォン わたしの防具 アナスイの 口紅ぬって いざ電車へと

 君の部屋 男っぽいと 笑ってた マットに座れて うれしかったの

 あの人の カーテンコール うれしくて 両手をふって ただ叫ぶだけ


 今すぐに思いつくのはこれぐらいですね。



 さあ、ことばの海へ泳ぎだしましょう!

若気の至り、「雨に歌えば」

2005-09-21 17:20:42 | Weblog
「ねぇ、私のために、雨はふると思う?」
唐突に言い放ったユカリは僕のほうを見ると、ため息をついた。なきそうに潤んだ目が僕をみつめてゆれている。ユカリは何故雨など気にするんだろう。
「僕は、遠い空からふった雨が、ユカリの頭の上に落ちるのなら、それはユカリのための雨だと思う」
ユカリの頭。黒くて長くてさらさらの髪。それが雨にうたれたら。それはとてもきれいだろう。
「バカじゃないの?だいたい、何度言ったらわかるの?僕、なんていわないでよ。気色悪い。あんた、女でしょ?」
ユカリが僕をののしるとき、僕は僕でなくなる。
ユカリに、「僕なんていうな」って言われるとき、僕は僕でも私でもなくなる。

私という一人称をつかっていた頃、(一人称がややこしくなるから、ここでは自分のことを名前で呼ぼう)カナコは幸せだった。幸せだと思っていた。
それが変わったのはユカリにであったからだった。
ユカリは「ふあんていなこども」だった。
9才のユカリの髪の毛は腰まで伸び、まるでおひめさまのようだ、とカナコは思っていた。
ユカリは美しかった。
美しくて、わがままで、残酷だった。
カナコは醜かった。
その醜さが、事故などによってではなく、生まれつきのものであることも、カナコがユカリにコンプレックスを抱く理由の一つだった。
カナコはやさしい子供だった。自分でもそう思ってる。
見えているのかどうか判らないような細い目で笑いかけ、歪んだ唇でやさしい言葉をかける。
自分の顔をはじめて鏡でみたときから悲しかったから、悲しい人の気持ちになることなんて大得意だった。

ユカリはわがままで、周囲の子供に嫌われた。でも、すぐに信頼を取り戻した。

それぐらい、美しかったということだ。

ユカリはカナコを嫌った。多分、今でも。
カナコが12になったとき、ユカリはいった。
「死になよ。なんで死なないの?だいたいさぁ、そんな汚い顔、どうしようもないじゃない。これで洗ったら?あげる。バースデープレゼントだよ」
そういうと、ユカリはカナコに瓶をひとつ渡した。うらに小学校の名前と、「理科室」と書いたシールがはってある。
「硫酸だよ」
そういうと、ユカリは笑った。この世のものとは思えない、美しい微笑み。
カナコは硫酸のビンを持ったまま走り去った。

その日の夜、ユカリは事故でその美貌を失った。
残ったのは、ゆがみきった性格と、美しく黒い髪だけだった。

それからユカリはカナコとよくいるようになった。

中学に入ってすぐ、カナコが早く学校に来すぎて、机に突っ伏して寝ていると、教室に二番目に入ってきたユカリが、筆箱からはさみを取り出し、カナコのセミロングの髪を切り落とした。
すこし茶のかかったぼさぼさの髪はあまり好きでなかったカナコは、一瞬だけ、ふわりと空に浮き上がるようなふしぎな感覚を感じた。
でも、すぐにその浮遊感は憎しみとなり、細い目はユカリをにらみつけた。
ユカリは笑っていた。なきそうにも見えたし、恍惚としているようにも見えた。ユカリはカナコのかばんの中に、もうぐしゃぐしゃの髪の毛を詰め込み、自分の席にゆっくりと腰掛けると、本を読み始めた。ユカリはドストエフスキーが好きだった。

その日からカナコは、僕になった。

中学で二回目の冬、ユカリは叫んだ。
「カナコ、聞きなさい!整形よ!整形手術よ!」

ユカリはまたもとの美しいユカリになった。僕は僕のままだ。
しかし、ひとつだけ変化があった。
元に戻ったともいえるユカリは穏やかな少女になっていた。
メランコリックになっていかにも少女らしい考え事をするユカリは、天使みたいだった。
けれど、僕が自分の事を僕といったときだけ、昔の残酷なユカリになる。
カナコが僕になった日のことを、思い出すのかもしれない。
天使のようなユカリは、あの日のことをどう思っているのだろう?

二人で学校から帰っていた。誰もいない公園を近道のために歩いていた。
「ねぇ、ユカリ、雨をふらせてあげる。ユカリのための、雨を」
そういうと、僕はユカリに雨をふらせた。
12のときユカリに渡されたのよりずっとずっとたくさんの濃い硫酸が入った瓶。
それを右手で握り締め、左手で蓋を開け、ユカリの黒くてさらさらの髪に、顔に、腕に、胸に、脚に、雨をふらせる。

ユカリがうめく。くろくてさらさらのかみ。すらりとしたからだ。かわいいおかお。きれいなゆかり。きれいなゆかりみにくいぼくぼくぼくぼくぼくぼくみにくいみにくいみにくいみにくいぼくぼくぼくぼくゆかりゆかりゆかりゆかりがないているぼくはわらっているわらっているのはわたしわたしわたしカナコカナコカナコみにくいのはわたしわたしカナコカナコぼくぼくぼくぼくぼくぼくぼくぼくぼくユカリユカリユカリユカリユカリユカリ。叫ぶユカリ大すき大好き大好きだいきらいにくいころしてしまいたいでもだいすきだいすきわたし、嫌い大きらい大きらい大きらい殺してしまいたいでもだいすきだいすきだいすきだいすきあいしてるあいしてるこれはあいだ。らぶだ。あいだあいだ


「私、あんたのこと、あいしてる」

そう、ユカリに言うと、私は夕焼け赤く染まる公園を走り去った。









★☆★
これは、わたしが中二のときにかいたお話です。
いま読むと、は、はずかしいー。こんな話ばっかり書いてました。なんつーか、あれですな。ストレスたまってたのですね。

わたしのひそかに愛するシリーズ、きくさんの記事

と、そのころからの貴重な読者Kenさんの記事(と、いうよりも当時のわたしに読ませてやりたい記事です。そしたら今ももうちょっとましな文章がかけただろうに)
いや、これからがんばります。うわお!

にトラックバック。

ひかれるかなー。結構こわごわの記事です。

草間彌生 魂のおきどころ

2005-09-08 13:43:25 | Weblog
 わたしの母の実家は草間彌生の生まれた街。
 彼女にとって生まれ故郷は縛りでしかなかったのかもしれないが、わたしが草間彌生とであったのもこの街だ。

 ずいぶん前に草間彌生魂のおきどころ展をみにいった。ずっと記事にしようしようと思って、うまくかけないでいた。きくさんの記事をみたら、すこし紐がとけてきたようなので、思うままに書いてみる。

 誰かにきいた。
 絵とか、いわいるゲージツっていうのは、作者との対話に見えて、実は自分自身との対話なんだ。

 それを痛感させられる展覧会だった。
 痛い。とにかくいたい。

 わたしが一番痛かったのは、鏡をモチーフにした一連の作品だった。
 鏡を覗き込む。わたしが一番好きで一番きらいなわたしが口を半開きにしてみている。合わせ鏡。どこまでも続くわたしの群れ。
 お前は、生きているんだ。生きなければならないのだ。そういわれているような気がした。
 草間彌生という人の才能は、わたし自身への見方すら変えた。


 醜くて、汚くて、つまらない、とるにたらない自分。
 そんな自分をまざまざと見せ付けられた。

 体が、酸素を欲するように、こころは痛みを欲するのかもしれない。
 マゾヒスティックな快感。


 やっぱりまとまらなかった。


 でも、わたしが云いたいのは、そんなとるにたらない自分でも、生きている、っていうのを感じさせられた、ってこと。
 それをネガティブにとらえるか、ポジティブにとらえるかは、各個人の自由、ってことですね。
 わたしはわりとネガティブシンキングですが、まあ、それはそれでアリなのかもしれません。

 さきほどのきくさんの記事と、忘れてはならない、という大事なことを思い出させてくれた、とっても素敵なKenさんの記事に、トラックバック。

わすれたいもの、わすれたくないもの

2005-09-02 13:54:07 | Weblog
 初恋なんてもう忘れた。
 相手の名前ももう忘れた。

 でも、あのときの気持ちは憶えているよ。


 悲惨な過去を忘れようとして、自暴自棄にならないで。

 過去はあなたを作ってきたものだから。

 わたしは過去をなくしたいと思ったことが何度もある。

 超進学校だった中学で、先生に
「この問題がとけなかったのはクラスで一人です」
って云われた。それはもちろんわたしだった。

「ギビってさあ、わがままだよね」
親友だと思っていた人に云われた。

 でも、忘れたくない過去もある。
 初めて彼女と会ったK駅での高揚感。
 紫色の長いスカートをはいた君が、あまりにも想像通りで、うれしかった。


 実らないのが初恋だ、という。
 けして実らない恋だって、初恋じゃなくたって、きっとそれは輝いていたよ。


 一年無駄にしたっていうけど、その一年は休養期間だったんだよ。

 出会えてよかった。一緒にたくさん映画みましょうね。映画研究部として。

 ねえ?


 この文章をわたしのすべての親友と、ずいぶんずれてしまったけどうさとさん
(ずれすぎてごめんなさい)とKenさんにささげます。

 おーい、君のことだよ?